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実験してます! 色々な稽古方法を…。

2011年10月13日 23時00分00秒 | 演劇塾
今回の公演では、スタニスラフスキー・システムにちなんだ色々な稽古方法を実験しています。

1.原作からリサーチして人物造形からはじめる。
2.その際、「イマジナリー・ボディ」を作り、役を被り物のように着る。
3.そして、「ホット・シーティング」で人物に質問をしていき、即興で答える。
4.本編の25年前から年表を作り、11年前からの場面の即興をする。
5.本編では死んでいるヴェーラ役(ワーニャの妹)を配役して、全員で看取るシーンを即興で行い、共通の体験(思い出)を作る。
6.即興で全編を通して演じる。
7.その際、台詞は“自分の言葉”に置き換える。
8.それらを元に、テキスト・レジーをする。
9.8月初旬に出来たレジー台本を元に全体を通す。
10.その際、文楽の太夫と人形のように、台詞は演出家が読み、俳優は無言で動きだけをする。
11.俳優に台詞を覚える作業をさせない。
12.だから、一人ひとりにプロンプターをつけて、立ち稽古でも台本を手に持たせない。
13.毎回、「葛藤」を伴う、違う「アクション」(行為・所作)をすることを要求する。
14.台詞を使った「レビティション」(相手との交流)を行う。
15.ブロッキング(動き・位置)が固まってきたところで、段取り芝居になることを防ぐために、舞台美術の位置を変える。
16.人物を存在させるために、役の深層心理を体に埋め込む「サイコロジカル・ジェスチャー」(PG)を試してみる。
17.自意識を低下させる稽古をする。
18.体の軸を保つ稽古をする。
19.指先や足の裏など体の感度UPさせる稽古をする。

俳優のニーズあわせて実験をしてるので、まだまだあったような気がします。

やってみて思ったのは、余計な〈自意識〉を低下させるのが難しく、これさえ出来れば俳優たちの潜在能力が開花できるということです。
これは、演技トレーニングとは別のジャンルなのかもしれません。

スタニスラフスキーがいう「役を生きる」ためには、人物造形を身体レベルで行い、それぞれの歴史を埋める作業が必要だと改めて実感しました。
7月と8月はほとんど即興ばかりしていました。
9月になってレジー台本を使った稽古ですが、台詞は覚えていません。

実は本番になっても台詞を覚えていない(本人に覚えた意識がない)俳優がいます。
また、毎ステージ、所作が変わっています。
もちろん、人物の「目的」は変わっていません。
役の解釈が深くなり、相手役が変化すれば柔軟に対応(交流)できているという意味です。
つまり、「役を生きている」ため、出演者には本番の意識がありません。
俳優の〈創造的な状態〉に少しでも、近づけているのではと思っています。

創造的状態を知るということが生まれつき天才に与えられていることなら、普通の人々は自分に関して努力した挙句、その近くまでたどり着くことは可能だ。完全にとはいかなくても、部分的には。
もちろん、これは平凡な人を天才に押し上げることにはならないが、それに似た者になるのを助けることはできる。
〈by スタニスラフスキー〉


天才でもない、才能があるわけでもない、ごくごく普通の私たちが少しでも上達できればと思っています。


(by 脚本・演出)





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