毎日が遺言

お通夜

 おばの実家のお母さんが90歳で亡くなった。大往生。亡くなる二日前まで元気だったのに、少し調子が悪くなって、医者にかかり、一度は快復したものの、翌日再び体調を崩し、そのまま亡くなったという。
 短歌をたしなみ、交際も広く、社交的なおばあさんだったが、家では息子さんと二人暮らしで、気が晴れないことも多かったように聞く。息子さんに当たることも多かったようだが、「正直うるさいと思うこともありましたが、いなくなるとなんだかさびしいです」とおっしゃっていた。
 このばあさん、私は一度だけ家でお話をしたことがあるのだが、軍馬に乗った軍服姿のお父様の写真を何度も見せてくださっていた。またそれがおばあさんのご自慢であったようなのだ。
 思えば、こういう世代の人は、私の周りにはもういない。生まれは、大正9年。私の亡き父より5つも年上だったんだなぁ。
 ご冥福をお祈りいたします。
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