蛸壺やはかなき夢を夏の月 芭蕉
『笈の小文』の中の一句です。
夏の月が照らす下、明日までの命とも知らず、海底の蛸壺の中ではかない夢を見る、という意味らしいです。明石、須磨あたりを通ったときの句ということ。
蛸の脳のつくりは実は人間とよく似ていて、五感の感じ方も同じかもしれないというニュース記事を読んで以来、蛸の酢の物を食べるのにちょっと抵抗があります。
「たこあたま」の男の人を見るとき、いつもこの句を思い出してしまいます・・・そしておかしさを隠すため、ニコニコしてしまうので、「たこあたま」の人からは好感をもたれることが多いです。
『芭蕉全句集』を文庫でときどきパラパラ見ています。芭蕉は今だったら、ツイッターとかラインとか、したでしょうか。
行く先々で目にしたものを詠んでいますが、実は旅から帰って、いろいろああでもない、こうでもないと、工夫を重ねた後があります。
朝つゆに汚れて涼し瓜の土
最近気に入っている芭蕉の句。「朝露に汚れて涼しい」というところが、さすが!芭蕉先生。
こんな風に詠めないなあ・・・・勉強になります。
「涼し」は夏の季語。暑いからこそ「涼し」が季語として成立するのでしょう。