春の不思議

今日は目覚めて、枕元の時計を見たら、針が横一直線ぴったりでできれいでした。
9時15分です。いつもは縦一直線にセットしてあるので、もしほおっておけばここまで熟睡できるのかと、われながらよく眠ると思います。
昼食後、最近、同じ町内（といっても駅では一駅離れていますが）に引っ越してきたという旨の年賀状を受け取った方の家の方面に散歩でもしてみるかと、テクテク歩き始めました。いつもの池のあるお気に入りの公園でもよかったのですが、なんとなく足がそちらに向きました。
その方が引っ越したというマンションの大体の位置はわかっていましたが、同じような坂がいくつもある町なので、結局分からないままに、一号線を横切り、古い町並みが続くパン屋さんでパンを買おうと思い立ち、パン屋のトングを握ったとたん、携帯がなりました。
5分前にぼんやりと考えていたその知人からでした。内容は家族の仕事に関することでした。私が取次役をしているのでいつもまず私にかかってくるのです。
要件が終わった後、「最近こちらに引っ越されたとか、住みごこちはいかがですか」とお聞きしましたが、「ああ、引越しね、偶々、同じ町内だけど、ほんと、偶然なんだよ。前のところが改築工事をするからその間、引っ越すのもめんどうで、買っちゃったということ」ということでした。
たった今、お宅のあたりを散歩していたと言いそびれてしまって、電話を切りました。
この方とは一年に2回ぐらいしか電話しません。実際に会ったのは、2年ぐらい前です。
この電話は、吉報だったのですが、最近家族を含め周りの人の吉報を耳にすることが多いです。それも偶然私がそうなったらいいなあ、と思っていることがピンポイントに自分にではなく、周りの人に起きるのです。その周りの人は、ひそかに私が尊敬している人たちです。一瞬、「ああ、いいなあ、羨ましいなあ」と思いますが、その人にとってはそれは偶然のことなのです。ひょっとしたら必ずしも、本人が望んでいたこととはかぎらないのです。だから次の瞬間、私の人生には、どんな偶然が待ち受けているのか、それは私が考えていることとは全然違うことかもしれない、たぶん考えてもいない方向に導かれるのかもしれない、その方が面白いかもと心がワクワクします。
今、毎日楽しくしている仕事も自分でこうなろうとしてなったものではまったくありません。
本当に人生は不思議です。