マルタには、ムディーナといって、ローマ帝国滅亡後、アラブ人の入植によって造られた街があります。迷路のような細い道が続く、不思議な空間でした。道が曲がりくねっていて「矢の範囲の届くだけの道しか見えない」つまり、それ以上長い直線道路がないということです。だからここで迷子になると困ると思い、できるだけ連れと別れないように歩くことにしましたが、いざとなれば携帯もある今の時代はありがたいです。
そのムディーナから歩いてすぐのところにラバトというこれまた古い町があって、ちょうどお葬式をやっていました。黒いベンツの上に十字架を立ててあるのが霊柩車のようです。黒い服を着たおばあさんがたくさん歩いていました。おじいさんをあまり見かけなかったのは、おじいさんは、おばあさんより早く天に召されるのでしょう、この国でも。
葬式をやっていた教会の広場をはさんだ反対側には、きれいな色のケーキやクッキーをショーウィンドウにぎっしり並べたお菓子屋があって、店主みずから、ショーウィンドウの向こう側に立って、通りすがりの客に声をかけながら、お菓子を売っていました。「ハルチャンの店」と言う名前です。店主の男性は、恰幅が良くて、気前もよくて、ものめずらしげに眺めているお客に「ほれ」「ほれ」といって、でっかいクッキーを丸ごと一つ味見させてくれるのです。私も手のひらの半分ほどのクッキーを食べました。こんなに大きなクッキーを味見して、そのまま通り過ぎることは、律儀な日本人の性格からしてできません。
ウィンドウの右から5つ目まで、それぞれ2個ずつクッキーを買うことにしました。「ひとつ、ふたつ・・・」とハルチャンは日本語で数えながら○○ユーロと日本語で言いました。
「何でそんなに日本語上手なんですか」と英語で聞くと、奥さんが日本人の友達のはるかと言う人に日本語を勉強していて、自分もできると英語で答えてくれました。
数字のほかは、挨拶が出来るぐらいだと思いますが、数字ができるとはすばらしい才能です。
やっぱり商売人は、どこの国でも数字に強いのでしょうか。
前に、ある研究者の卵のような人に日本語を教えたとき、1ヶ月かかっても「ひとつ、ふたつ、・・・とお」までついに覚えさせることができませんでした。その人は、「いち、に、さん」と「ひとつ、ふたつ、みっつ」の言い方の相関性を昨日一晩かかって考えたとか、そういうことばっかり言っていて、どんなに一生懸命教えても、10円から200円までのお買い物ごっこの勉強ができませんでした。
こういう人は、たぶん母国語でもお買い物が下手なのではないでしょうか。
商売人ハルチャンのお店は、次から次へと客足が途絶えず、ハルチャンは買おうかどうしようか迷っている人に、「ほい」「ほい」とでっかいクッキーをまるごと食べさせ、その客はやはり私と同じようにたくさん買っていくのでした。
そのムディーナから歩いてすぐのところにラバトというこれまた古い町があって、ちょうどお葬式をやっていました。黒いベンツの上に十字架を立ててあるのが霊柩車のようです。黒い服を着たおばあさんがたくさん歩いていました。おじいさんをあまり見かけなかったのは、おじいさんは、おばあさんより早く天に召されるのでしょう、この国でも。
葬式をやっていた教会の広場をはさんだ反対側には、きれいな色のケーキやクッキーをショーウィンドウにぎっしり並べたお菓子屋があって、店主みずから、ショーウィンドウの向こう側に立って、通りすがりの客に声をかけながら、お菓子を売っていました。「ハルチャンの店」と言う名前です。店主の男性は、恰幅が良くて、気前もよくて、ものめずらしげに眺めているお客に「ほれ」「ほれ」といって、でっかいクッキーを丸ごと一つ味見させてくれるのです。私も手のひらの半分ほどのクッキーを食べました。こんなに大きなクッキーを味見して、そのまま通り過ぎることは、律儀な日本人の性格からしてできません。
ウィンドウの右から5つ目まで、それぞれ2個ずつクッキーを買うことにしました。「ひとつ、ふたつ・・・」とハルチャンは日本語で数えながら○○ユーロと日本語で言いました。
「何でそんなに日本語上手なんですか」と英語で聞くと、奥さんが日本人の友達のはるかと言う人に日本語を勉強していて、自分もできると英語で答えてくれました。
数字のほかは、挨拶が出来るぐらいだと思いますが、数字ができるとはすばらしい才能です。
やっぱり商売人は、どこの国でも数字に強いのでしょうか。
前に、ある研究者の卵のような人に日本語を教えたとき、1ヶ月かかっても「ひとつ、ふたつ、・・・とお」までついに覚えさせることができませんでした。その人は、「いち、に、さん」と「ひとつ、ふたつ、みっつ」の言い方の相関性を昨日一晩かかって考えたとか、そういうことばっかり言っていて、どんなに一生懸命教えても、10円から200円までのお買い物ごっこの勉強ができませんでした。
こういう人は、たぶん母国語でもお買い物が下手なのではないでしょうか。
商売人ハルチャンのお店は、次から次へと客足が途絶えず、ハルチャンは買おうかどうしようか迷っている人に、「ほい」「ほい」とでっかいクッキーをまるごと食べさせ、その客はやはり私と同じようにたくさん買っていくのでした。