ことば咀嚼日記

日々読んだ活字を自分の頭でムシャクシャ、時にはゴックン、時には、サクサク咀嚼する日記

久しぶりのヒット

2011-12-07 | 日記
薄墨の雲幾重にも冬の空

冬空や校旗うねりゆく風中へ

目に見えぬ輪郭ありき花八ツ出

吾の目に君の瞳に冬薔薇(ふゆそうび)

走り去る子の顔白し夕時雨

ここそこに銀杏黄葉(いちょうもみじ)や街明し
 
靴よりも大きなカラスと並びゐる



高浜虚子著『俳句への道』を岩波文庫で読みました。

1時間ぐらいであっというまに読めました。
昭和27年に書かれたものらしいですが、とても読み易く、これまで少し読んだどの俳句作りの本よりも具体的で面白かったです。

第一部では、俳句論が分かりやすく書かれています。
第二部では、実例つきで、俳句がたくさん載せられており、季語となる言葉が四角でくくられていたり、ゲーム感覚で読めます。
第三部は、虚子先生とお弟子さんたちの俳句座談会が会話形式で収録されていてライブ感覚です。

読み物としてとっても面白く、虚子は俳句だけでなく、普通の文章も無駄なく、ユーモアがあって楽しくて、ファンになりました。今度は『虹』という小説を読んでみたいです。
この本の文章は、なんでも娘さんの立子の「玉藻」という俳句雑誌に寄せた、初心者のための俳句作りのコツを編集したものらしいです。

いままで虚子は杉田久女を苛めた爺さんという悪い印象がありましたが、ちょっと誤解だったかな~。
軽い感じのユーモアのある人なので、久女のような生真面目タイプが苦手だっただけかも知れないと、思い直しました。