ことば咀嚼日記

日々読んだ活字を自分の頭でムシャクシャ、時にはゴックン、時には、サクサク咀嚼する日記

今朝の驟雨と香港の「アメニモマケズ」

2011-06-21 | 日記
今朝の明け方の雨は凄かった。

地響きとともに、轟音がして、天からドドドッと力強い雨粒のかたまりが落ちてきて、目が覚めました。

今月から読解では「雨にまつわる話」をいろいろ読んでいます。
今日学生さんが持ってきた、台湾の余光中さんという詩人の「親情傘」という詩を、一緒に訳しながら読みました。
原文の方がいいのですが、訳すとこんな感じ。


最難忘記是江南    何より忘れ難きは江南の
孩時的一陣大雷雨   幼き頃の雷(いかづち)にわか雨
下面是漫漫的水鄉   下は水郷穏やかに
上面是閃閃的迅電   上は閃光走る稲妻が
和天地一zhan的重雷  天地(あまつち)とどろかす如くに 鳴り渡り
我瑟縮的肩膀,是誰  竦む私の小さな肩を 
一手抱過來護衛    伸ばした腕で抱きかかえ
一手更挺著油紙傘   かたわらに傘をさしかけ守ってくれし人
負擔雨勢和風聲    私に代わって雨風を担いし人よ
多少江湖又多少海   これまでいくつ湖水を渡ってきたことか
一生已渡過大半    あまた湖水を渡りし後、
驚雷與駭電早慣了   雷も稲妻も早(とう)になれてしまった
只是颱風的夜晚    ただ、台風の夜の日だけは
遙念母親的孤墳    母親の寂しき墓を遥かに思い出す
是怎樣的雨勢和風聲  そこにもこれほど強い雨風が降りしきっているのかと
輪到該我送傘去    今度は私が母に傘をさしかけるべき刻なれど
卻不見油紙傘     傘はもうない
更不見那孩子     あの子もいない                 
訳 伊勢さきゑ


余光中さんは、江南の水郷地帯の出身で、香港や台湾やアメリカで過ごされた後、今は台湾で90歳ぐらいらしいのですが、まだお元気で詩作に励んでおられるそう。
もうひとつ有名な「郷愁」というのも中国の高校の教科書に載っているそうです。そちらも訳してみたいです。
いい詩だな、と詩心が萌えました。

お返しに宮沢賢治の「アメニモマケズ」を教えたら、さっそくこの歌知ってる、知っているといいながら、i-padで歌を探して聞かせてくれました。香港の有名俳優たちがずらりと並んで、大震災の東北と日本に向けて、「雨にも負けず、風にも負けず・・・」と皆で歌ってくれている画面が出てきました。香港では震災後、よく歌われているそうです。初めて聴く歌でしたが、歌詞は賢治の詩から抜粋した歌詞でした。
そのときのメロディが今も耳に残っています。一度聞いただけですぐ覚えられる歌ですが、全然知りませんでした。日本のテレビ局ももっとこういうのを放映してくれたらいいのにと思います。