夜会巻きマスター

いつも100均のバレッタで無造作に髪をまとめているのですが、親類の結婚式などもあって、髪留め専門店に、もうすこしましな髪留めを捜しに行きました。

お店に行くと、「夜会巻き」の巻き方トレーニングビデオがかかっていて、「フーム、こうするのか」とつぶやいたら、後ろからそっと若い女性の店員さんに声をかけられました。

一度、お試しになりませんか？って。

数ある中から、ぱっと目に付いた模造真珠の櫛型の髪留めをとって、親切な店員さんの、手取り足取り指導の下、ポニーテールにした髪をクルクルと時計方向に巻き上げ、櫛を斜めから差込み、くるっと反対側に傾けて、しっかり差すと、ビデオと同じの美しい夜会巻き。

この櫛型の髪留めをこんな風にして使うなんて、これまで生きてきて初めて知りました。
江戸時代のかんざしのように、上から刺すだけだと思っていました。
「虫は玄関から入ってくるのよ～」という真実も今年、初めて知りましたが、
この年になって、新しいことを知ることができるのは、恥ずかしさよりも嬉しさがこみ上げてきました。

店員さんは、あわせ鏡をもってきて、ぜひ後ろの髪の流れを見るようにと言います。
後ろから見ると、本当にこれから夜会に行ってもいけそうな感じでした。
ユニクロのＴシャツとパンツとのミスマッチも絶妙です。

「これ、いただきます」と迷うことなく、いつもの髪留めが15個は買えるその一品を買いました。

家に帰って、試すことしばし・・・・お店でやってもらったように上手くまとまりません。
差し方がゆるいのか、方向がちがっているのか、指の力がないのか、もともと不器用なのか、この時ほど、指に目があったらと思ったことはありません。

どうしても上手くいかないので家人にヘルプを頼みました。
家人が櫛の向きを確かめて、スッと頭に差し、クリッとひっくり返すと、櫛はバチっと頭に決まりました。見事、美しい夜会巻きの完成です。
髪結いの亭主って言う言葉は本当だったんだ～！！！と感激して、家人のコメントを参照に、再度髪を解いて、今度は自分でやってみました。

できました！

その瞬間、

10粒はめ込んであった模造真珠の真ん中の大粒真珠がポロリと落ちました。
試行錯誤しているうちに触りすぎたのかもしれません。

娘が、「せっかく今日買ったばっかりなのにショックだね」と言いました。

たしかに、ちょっとショックでしたが、明日、アロンアルファを買ってきて、くっつけます。
こんなことで挫折するようでは、夜会には行けません。
シンデレラの義姉さんたちが、王子様の夜会に行くために味わった大足の苦労を思えば、これっきしのこと、何でもありません。