ことば咀嚼日記

日々読んだ活字を自分の頭でムシャクシャ、時にはゴックン、時には、サクサク咀嚼する日記

読書感想文 前半

2010-11-12 | 日記
私は、この秋休み、ふと本屋で「イワン・イリイチの死」というきれいな本を見つけました。
本屋さんが作った広告の紙に「これ、読まなきゃ死ねないよ、これ、読まなきゃ生きられないよ」と書いてありました。
そして、その本を買って、家でよんでみました。
テレビとお仕事の合間に、毎日少しずつ読んだので1ヶ月もかかりました。
そして昨日、やっと読み終わりました。
イワンさんは、とても有能な役所の裁判官でした。誰にでも好かれて、どんな仕事でもスイスイこなしてしまいました。こんなイワンさんですが、あるとき困ったことが起こりました。
イワン・イリイチさんは、役所の地位が上がって、新しい家を買って、その家の飾り付けをするのに、職人がへたくそなので自分で壁貼りの模範をみせてやろうと脚立に載った時、たまたまバランスを崩して、脚立から落ちてお腹かどこかを打ちました。
最初は全然どうってことのない、打ち身だと思っていました。
でも、だんだん体の調子が悪くなり、機嫌も悪くなりました。
お医者さんが手を当てて、どこが悪いかを調べてもよく分かりませんでした。お医者さんは「多分、この薬を出しとけば大丈夫だろう」と薬を飲ませました。ダメでした。ホメオパシーの先生やお祈りの先生も毎日イワンの病室に来ましたが、治りませんでした。
そのうち、イワンさんは、いつも喧嘩していた奥さんが、つやつやしたお肌で「大丈夫?」と、看病のために病室に入ってくるだけで「忌々しい!この女」と思うようになりました。 でも黙って我慢していました。
そんなイワンさんの心の慰めになったのは、下男のゲラーシムでした。
この人は、イワンさんが、苦しいとき、「ご主人、足を私の肩におかけなさい」と言って、何時間でも、イワンの足を自分の肩にかけさせて、そのままベッドで、イワンさんの話を聞いていました。
イワンさんは、他の人の「元気・健康・力・活気」にはいらいらさせられましたが、ゲラーシムの力と元気だけは、イワンさんを慰めました。
そして、イワンさんは、「ひょっとして、自分の人生は失敗だったのでは?」と思うようになりました。