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水草の肥料 2

2008-04-13 23:34:45 | 肥料 用土

水草水槽のカリ肥料についての続編です。

前回、カリ肥料について長々と書いたのですが、今回もおもいっきり長文です。

水草水槽にカリ肥料を使うなら園芸用肥料の硫酸カリウムではなく即効性の「炭酸カリウム」ということで、以前から気になっているものがあり、話のついでに試してみることにしたのですが、結果から言うとこれが予想以上にカリ肥料として水草水槽で使えるものでした。

トップの画像の黒っぽい粉状のものですね。ホームセンターの園芸用品のコーナーで500g入りの袋が¥300ほどで売られている「草木灰」(そうもくばい)です。



肥料が置かれている棚のとなりぐらいの棚に用土などにまぎれて置かれている場合が多いので気が付きにくいのですが酸度調整やカリ肥料として使われます。カリ成分が硫酸カリウムではなく炭酸カリウムだそうです。窒素分を含まないのでどうにかすれば水草水槽に使えそうでしょ!でも化学肥料のように水に溶けないのでネットで調べてみても水草水槽には殆ど使われていないようです。



草木灰の袋に書かれている成分表を見ると結構カリが含まれています。植物を焼いて作ったものなので微量要素も期待できます。カリ成分が全て炭酸カリウムかどうかは不明ですが、十分に肥料と言える量が含まれています。イニシャルスティックの粉もなんとなく灰っぽくて、ちょっと似ているような気がするので(こじつけですが…)低床に埋めてみたい気はします。でもどう考えてもそのままではあっという間に濁った水になって細かい炭が水面に浮くのは目に見えているので、成分が水に溶けやすい炭酸カリウムであることを前提に草木灰に水を加えてカリウムを溶かし出して液肥として使ってみることにしました。

草木灰100gを500ccのペットボトルに入れ、水を加えて500ccにしてよく振って数日間置いておきます。

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上澄み液を別のボトルにそっと移してから使うのですが沈殿物と上澄みが分離するのに日数がかかります。よく見ると沈殿物の中に目立つ量の砂が混ざっています。製造工程で混入するのでしょうがこの砂の重さも含めて草木灰として表示の量のカリ成分が含まれているのかちょっと疑問ですがこの草木灰には砂の重さも含まれています。
100g/500CCにした理由は成分表どおりカリが含まれているとするとこの割合がおそらくフローラプライドに近い濃度になるだろうとの予想です。違っているかも知れませんが使う時にイメージしやすいのでそう信じて投入量の目安にします。ただし草木灰にはリン酸(P)も含まれています。

草木灰の上澄み液は透明になってもちょっとチャコールグレーです…というか本当の「炭色」ですね。

水槽の状態はパールグラスが茶ゴケでグラデーションになっていてあまり状態は良くないのですが新芽は残っているので水を8割換水してから草木灰をまず3cc/10Lで投入してみました。
2日目:水草のあちこちから小さい泡が結構出ています。水を換えたからなのか前の肥料が残っているのか草木灰がいきなり効いているのか判断ができませんが水面のアオコも発生していないので3cc/10Lの割合で草木灰液を追加。
3日目:2日目と同じように水草のあちこちから時々泡が上がってきています。なかなか調子が良さそうなのでひるまず3cc/10Lで草木灰液を追加投入。アオコもまだ目立っていません。
4日目:水面がアオコで薄く覆われていますが水槽面もハイグロの葉もまだコケは目立っていません。アオコの状況からみると炭酸カリウムの10倍液よりも草木灰液は薄目な感じがしますがハイグロの新芽の伸び方をみると草木灰液が効いているようです。この日は草木灰液の追加はしていません。
5日目:この日も3cc/10Lで草木灰液を追加投入。よく見るとパールグラスの新芽がちぎれてなくなっています。他の水草の状態は悪くはないので以前のダメージの影響か草木灰液の影響か判断ができません。ハイグロの新芽の状態から窒素分を含む液肥を投入しようかと思っていたのですがこのまま様子をみることにします。
6日目:あいかわらず水草からは泡はでていますが殆どのパールグラスの新芽が飛んでしまいました。ハイグロも成長はしているのですが新芽が縮れています。草木灰液を入れすぎて影響が出ているのか他の栄養素が不足しているのか原因がよく分かりません、パールグラスに付いている茶ゴケの色が下葉になるほど濃くなってきているので草木灰液は入れすぎのような気はします。
7日目:6日目と状況は同じです。ハイグロの新しく出てくる葉が少しづつ小さくなっています。相変わらず水面にアオコはありますが水槽面や水草の葉面に目立ったコケはありません。
8日目:水面のアオコが濃くなりパールグラスが茶ゴケでグラデーションがきつくなってきました。



ハイグロの新芽が縮れたままであまり大きくならないので換水しようかと思いましたが水替え時にベースになる窒素分を含む肥料をあえて入れていなかったので有機液肥(N:P:K:=5.5:7:7)を1cc/100Lの割合で入れてみました。



9日目:前日と様子に変化はありません。何かが足らないのかカリ分が多すぎるのかよく分かりません、状況を判断するために再度有機液肥を2cc/100Lで入れてみました。
10日目:ハイグロの新芽が相変わらず縮れているものの前日より少し大きくなっていたので有機液肥を2cc/100で追加。これで数日間様子を見て、状況が変わらなければ水替えです。
11日目:水面のアオコは相変わらずですが濃くはなっていません。ハイグロの葉に茶ゴケが目立ってきました。相変わらず新芽は縮れたままです。パールグラスは全ての新芽がちぎれて無くなってしまいました。ただ窒素分が効いてきたのか一部のハイグロの新しく出た葉が大きくなりはじめています。
12日目:ハイグロの縮れた葉はそのままで殆ど成長していませんがその内側から新芽が少し伸びてきています。ハイグロの新芽が委縮しているのはトリミングをして差し戻したものばかりです。普通に成長している株もありますが茶ゴケが目立ってきました。
13日目:ハイグロの芽の出方が少し良くなって来ているようなのでこのまま観察続行です。



ロタラもハイグロと同時に差し戻したのですがこちらはいじけることなく成長を続けています、有機液肥を入れてからは葉の大きさが下葉より明らかに大きくなってきています。ちなみにここまで水換えは全くしていません。
14日目:茶ゴケが付いて枯れたようになっていて、もうだめかとあきらめかけていたパールグラスから脇芽が出ているのを発見。やはり窒素分を入れてからは明らかに様子が変ってきました。
15日目:水草は全体的に復活傾向です。やっぱり肥料はNPKをバランスよく入れないといけないということですね。2週間以上無換水なのでぼちぼち水換えをします。私個人的には炭酸カリウムより草木灰液の方が気に入ってしまったのでこのまま草木灰液を使うことにします。また気がついたことがあったら報告をさせていただきます。

補足
■園芸用肥料を使って調子を崩した時にクリプトで復活する理由が少し分かったような気がします。ポイントはカリ肥料は炭酸カリウム?かな。

■今回作った草木灰液は5cc/10L前後が無難な量といったところでしょうか。効き方からみると成分はやはり炭酸カリウムのように思われます、草木灰液は水草水槽にはカリ肥料としてかなり使えるものです。ただし底床にベースになる肥料が入っていたり液肥を定期的に入れている場合には量を加減して下さい。成長の早い有茎草だと効果が数日中に現れるので草木灰液を入れながら1~2週間観察をすれば適量の見当がつきます。

草木灰は カリ分も含まれているので コケ(藻類)が出ないか 気になるところで phの変化も気になります。


■即効性の炭酸カリ肥料を多めに入れても目立った効果が見られない時は他の養分などが不足しているかも知れません。水草水槽では魚の糞などから窒素分が供給されるので入れる必要がないとか言われていますが。水草と魚の量によって窒素分は不足します。ハイポネックス微粉の100倍液などを水槽の様子を見ながら入れてみてください きっと変化があるはずです。

コケには気を付けてくださいね。

■草木灰は焼き加減によって成分が変わるので同じ商品でも成分比にばらつきがあるかもしれません。試される場合には少量から水槽をよ~く観察しながら入れて下さい。

■生体への影響も気になりますが結構濃い目でもヤマトヌマエビは元気でした。ノソブランキウス・ラコビーも餌を食べていますのでそれほど心配はしなくてもよさそうです。あくまでもうちの水槽での話ですが。

■炭酸カリウムも草木灰液もこれのみの使用では肥料としては効果薄です。肥料分が供給されている水槽でのカリ分の補給用として使うと効果的です。園芸用肥料を使っていると水草専用の肥料に比べてカリ分が不足気味になるようなので特に効果が期待できます。

■草木灰は園芸用としてはよく使われているのでホームセンターや園芸店に行けば簡単に手に入ると思います。小型水槽だと通販で売られている炭酸カリウムの量では多すぎるので買おうか迷っている場合には価格も安いのでこちらを一度試してみてはいかがでしょうか。使わなくなってもガーデニング用に転用?(こっちが本来の使用方法ですが)出来ます。

■今回作った草木灰液の濃度は炭酸カリウムの10倍液から比べるとやや薄めのようですがどれくらい薄いか?と言われても水草の成長具合だけでは判断ができないので返答に困ってしまいます。感覚的には炭酸カリウム10倍液の1/2~1/3ぐらいの濃さかな?

■新芽が縮れてしまったハイグロは水面まで成長してしまったので差し戻したばかりの個体ばかりでした。普段ならトリミングをしても問題無く成長するはずなのですが肥料分が濃いのかバランスが悪いのかが影響しているようです。極端な量を入れてしまったのでいくつかの条件が重なって出た現象だと思われますが、水換えついでにトリミングをしてカリ肥料を多い目に足すと同じような現象が出るかも知れません。トリミング、水換え、フィルターの掃除は同時にしないのが水草にダメージを与えないための基本ですね…やっぱり。

■もう少し濃い草木灰液を作ろうと500のペットボトルに200gの草木灰をいれてみたら残留物が多すぎて上澄み液は200ccほどしか出来ませんでした。濃い色の上澄液ですが上記で作ったものよりどれほど濃いものなのかよく分かりません。

ここにはあくまでうちの水槽での結果を感じたままに書いています。水草の種類もCO2添加無しでも育つような強健種ばかりです。水槽の環境や水草の種類によっては皆さんが同じ事をされても今回と同じような結果になるとは限らないので
試される場合には必ずご自身の責任にてお願いします。


その後 色々と園芸用肥料を試しています。

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4 コメント

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くさいはい、では無かったのですね。 (cheepappa)
2008-04-14 12:15:51
園芸コーナーで「くさきはい」と読んでいました。焼き畑の頃からある人類最古の肥料ですね。トマトの甘みが増すそうです。
ちょっとリン(P)とアルカリ度が怖いです。クロヒゲとリンの関係って疑われてますよね、海水アクアの方はリン除去イコール、コケ対策などと・・・。
カリとリンの過剰は鉄やカルシウムなどの欠乏を助長するそうです。新芽(成長点)の不良は、多分これら流転が少ない元素の欠乏でしょうか。窒素肥料で回復する所もこの線が怪しいのでは?
今出ているアクアジャーナルにアマゾニア(1のほう)にはかなりの窒素系肥料成分が入っている事が書いてあります。アマゾニアの方にはカリ液肥はちょうどいいのかもしれません。
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アルカリ (mizuwarabi)
2008-04-14 18:06:44
cheepappaさん
草木灰液はもちろんアルカリ性ですが無茶な量を入れなければそれほど気にしなくても大丈夫だと思います。市販の水草用の肥料にも炭酸カリウムが含まれてそうな気がするのでよく似たものかと楽観的に考えています。水に溶けやすいということは入れすぎたと思ったら水換えで対処できるかな?とも思っています。この2か月ほどの検証でクリプトコリネ・ペッチー(のはず)とピグミーチェーンアマゾン(のはず)が水面に届いてしまいました(水槽の高さは45cmです)
窒素分を含む園芸用の液肥のみを使っていた時とは効き方が違います。
しばらくはこの2種類の肥料を使って安全な範囲での適当な使用量を見つけようと思っています。
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私も (ossyan)
2008-04-20 19:22:21
cheepappaさんと同じく「くさきはい」と読んでいました。人前では言ったこと無いのでセーフ(ここで書いてしまいましたが)。
その草木灰液ですが、またまたcheepappaさんと同じくリンが気になります。でも水溶性のリン酸が1.5%ということは、溶けきらなかった沈殿物のほうに多く含まれているのかもしれませんね。

園芸用の肥料は成分が記載されているので、まだまだ面白そうな肥料がありそうなのですが、窒素だけの液肥って無いですよね。水草の調子を見ながら好きな比率で上げれたら便利そうだと思ったもので。
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N P K (mizuwarabi)
2008-04-20 23:48:13
ossyanさん
窒素とカリの不足は比較的分かりやすいのですがリンは足りているのか少ないのかが判断が難しいですよね。
今のところ「草木灰液」で問題なく育っているように見えるのであまり深く考えていません(相変わらずノー天気です)
また何か分かれば記事にさせていただきます。
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