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三段目 松の間の段
七段目 一力茶屋の段
〘 … ■ 二つ玉の段
またも降りくる雨の足、人の足音とぼとぼと、道は闇路に迷わねど、子ゆえの闇につく杖も、すぐなる心、堅親仁。一筋道の後から、
斧定九郎 ( おの さだくろう )
ヲ~イ ヲ~イ 親仁殿、良い道連れ。
と呼ばわって、斧九太夫がせがれ、定九郎。身の置所、白浪(盗賊)や、この街道の夜働き。だん平物(幅の広い刀)を落し差し、
さっきにから呼ぶ声が貴様の耳へ入らぬか。この物騒な街道を、よい歳をして大胆、大胆。連れになろう。
と、向こうへ回り、
きょろつく目玉、ぞっとせしが、さすがは老人。
與市兵衛 ( よいちべえ )
これはこれは、お若いに似ぬ御奇特な。私もよい歳をして一人旅は嫌なれど、サァ いづくの浦でも金ほど大切な物はない。去年の年貢に詰まり、この中から一家中の在所へ無心にいたれば、これも、びたひらなか才覚ならず。埓のあかぬ所に長居はならず、すごすご一人戻る道。。
と、半分言わさず、
斧定九郎
ヤイ やかましい! 有様が年貢の納らぬ? その相談を聞きには来ぬ。コレ、親仁殿、俺が言う事、とくと聞かしゃれや。マァ こうじゃわ。こなたの懐に金なら四・五十両のかさ、縞の財布にあるのを、とっくりと見、つけてきたのじゃ。貸してくだされ。男が手を合わす。定めて貴様も何ぞつまらぬ事か、子が難儀に及ぶによってというような、ある格な事じゃあろ。けれど俺が見込んだら、ハテ しよことが無いと諦めて、貸してくだされ、貸してくだされ。
と懐へ手を指し入れ、引きずり出す縞の財布。
與市兵衛
アヽ申し、それは!
斧定九郎
それはとは? これほど、ここにある物。
と、引ったくる手にすがり付き、
與市兵衛
イヱ イヱ この財布はあとの在所で草鞋買うとて、はした銭を出しましたが、後に残るは昼食の握り飯。霍乱せんようにと娘がくれた和中散・反魂丹でござります。お赦しなされくだされませ。
と、ひったくり逃げ行く先へ立回り、
斧定九郎
ヱヽ 聞き分けのない。むごい料理するが嫌さに、手ぬるう言えばつき上がる。サァ その金、ここへまき出せ! 遅いと、たった一討ち、
と、二尺八寸、拝み打ち。
與市兵衛
なふ悲しや、
と言う間もなく、唐竹割りと斬りつくる。刀の回りか、手の回りか、外れる抜き身を両手にしっかと掴みつき、
どうでもこなた、殺さしゃるの?
斧定九郎
ヲヽ 知れたこと。金のあるのを見てする仕事。小言吐かずと、くたばれ!
と、肝先へ刺しつくれば、
與市兵衛
マヽヽヽヽ まぁ待ってくださりませ。ハァ 是非に及ばぬ。なるほど、なるほど、これは金でござります。
けれども、この金は、私がたった一人の娘がござる、その娘が命にも代えぬ大事の男がござりまする。その男のために要る金。ちと訳ある事ゆえ、浪人していまする。娘が申しまするは「あのお人の浪人も、元はわし故。何卒、元の武士にして進ぜたい、進ぜたい」と、かかとわしとへ毎夜さ頼み。
ア 身貧にはござりまする。どうもしがくの仕様もなく、婆と色々談合して、娘にものみ込ませ、婿へは必ず沙汰無しと示し合わせ、ほんにほんに、親子三人が血の涙の流れる金。それをお前に取られて、娘は何となりましょう。コレ拝みます。助けてくだされませ。お前もお侍の果てそうなが、武士は相身互い。この金がなければ、娘も婿も人様に顔が出されぬ。たった一人の娘に連れ添う婿じゃもの、不便にござる。かはいござる。了簡してお助けなされてくださりませ。ヱヽ お前はお若いによって、まだお子もござるまいが、やんがて、お子を持って御覧ろうじませ。親仁が言いおったは、もっともじゃと思し召して、この場を助けさしやってくださりませ。マァ 一里行けば私在所。金を婿に渡してから殺されましょ。申し申し 娘が悦ぶ顔見てから死にとうござります。コレ申し、アヽ あれ あれ あれ。
と、呼ばれど、あと先遠く、山彦のこだまに哀れ催せり。
斧定九郎
オオ 悲しいこっちゃわ。もっと、とこぼえ。ヤイ 老いぼれめ、その金で俺が出世すりゃ、その恵みでうぬが倅も出世するわやい。人に慈悲すりゃ悪うは報わぬ。アァ かわいや。
と、ぐっと突く。「うん」と手足の七転八倒、のたくり回るを脛にて蹴り返し、
ヲヽ いとしや。痛かろけれど、俺に恨みはないぞや。金がありゃこそ殺せ、金が無けりゃ何のいの。金が敵じゃ、いとしぼや。南無阿弥陀仏。南無妙法蓮華経。どちらへなりと失せおろ。
と、刀も抜かぬ芋刺しゑぐり、草葉も朱に置く露や、歳も六十四苦八苦、あえなく息は絶えにけり。
「しすましたり」と件の財布、暗がり耳の掴み読み。
斧定九郎
ヒヤ 五十両。ヱヽ 久しぶりの御対面。かたじけなし。
と首に引っ掛け、死骸を直ぐに谷底へ、跳ね込み蹴込む泥まぶれ。はねは我身にかかるとも知らず、立ったる後ろより逸散に来る手負い猪。
「これはならぬ」と身をよぎる。駆け来る猪は一文字。木の根・岩角、踏み立てて、鼻怒らして泥も草木も、ひとまくりに跳び行けば、「あわや」と見送る定九郎が背骨をかけて、どっさりと肋へ抜ける二つ玉(2連の鉄砲玉)。「うん」とも「ぎゃっ」とも言う間もなく、ふすぼり返りて死したるは、心地よくこそ見えにけれ。
『猪、撃ちとめし』と勘平は、鉄砲ひっさげ、ここかしこ探り回りて、『さてこそ』と引っ立つれば、猪にはあらず。
早野勘平
ヤアヤア、こりゃ人じゃ! 南無三宝。仕損じたり!
と思えど、暗き真の闇。「誰人なるぞ」と問われもせず、まだ息あらんと抱き起こせば、手に当たる金財布。掴んでみれば、四・五十両。天の与えとおし戴き、おし戴き、猪より先へ逸散に、飛ぶがごとくに、
急ぎける。… 〙
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横浜・強盗殺人事件 犯行車両から通帳など見つかる
横浜市青葉区で起きた強盗殺人事件で、犯行に使われた車両から被害者の通帳やキャッシュカードが見つかったことが新たに分かりました。宝田真月容疑者(22)は、今月15日ご...
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〘 横浜市青葉区で起きた強盗殺人事件で、犯行に使われた車両から被害者の通帳やキャッシュカードが見つかったことが新たに分かりました。 宝田真月容疑者(22)は、今月15日ごろ、仲間2人と横浜市の後藤寛治さん(75)の自宅に侵入して殺害し、現金などを奪った疑いが持たれています。 その後の捜査関係者への取材で、自宅からなくなっていた後藤さん名義の通帳やキャッシュカードが、宝田容疑者らが乗っていた車から見つかったことが新たに分かりました。 宝田容疑者らは奪ったキャッシュカードで現金を引き出そうとしましたが、失敗しています。 警察は、男らが後藤さんから暗証番号を聞き出すために激しい暴行を加えた可能性もあるとみて調べています。〙
私は、文楽(人形浄瑠璃)で、『仮名手本忠臣蔵』を、国立劇場で観劇したことがありますが、
文楽は、大阪に国立文楽劇場があり、
能楽は、国立能楽堂がありますが、
やはり、往年のあの隼町の国立劇場の、大劇場が、歌舞伎に向いている、最適だと思います…
私は、文楽を鑑賞しましたので、中小劇場だったと記憶していますが、文楽に最適なように作られているんですよ。
私は、未だ、歌舞伎は鑑賞したことはないのですが、
歌舞伎の大きな特徴として、「観客席にまで、入り込んでくる!」
という、他の国にはない、斬新な演出(!?)があります。
また、音響面も含めて、国立劇場は、大中小各劇場が、其々の古典(伝統)芸能に、最適化されて、設計・施工されていると思われます。
文楽と能楽については、大阪(日本橋)と千駄ヶ谷に、最適な劇場がありますが(特に、能楽堂は、まだ新しくて綺麗で、素晴らしいところだと思われます。いつか、鑑賞に行きたいです。)
それ以外は、やはり、国立劇場が必要なのだろうなと思います。
国立劇場は、新国立より半世紀以上も前に(間違っていたら、コメント欄でご指摘ください)開場した、由緒正しき、日本の中心となる劇場ですので、
関係各位が、いろいろ知恵を出して話し合い、創意工夫をしながら、何とか、無事に、再開して欲しいです。
【速報】32歳の会社員の男を保護責任者遺棄容疑で逮捕…85歳自営業男性をワンボックスカーではねたあと長和町の国道142号から数メートル下の斜面に遺棄した疑い
長野県長和町の山林で、佐久市内の85歳の自営業の男性が、頭から血を流した状態で発見された事件で、警察は、11日午後、事情を聴いていた32歳の会社員の男を保護責任者遺棄...
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〘 … 佐藤容疑者は、10日の午前4時過ぎに、ワンボックスカーを運転中に佐久市岩村田で中澤さんをはね、乗用車で中澤さんを長和町の山中に遺棄した疑いです。
警察では、10日の昼過ぎに、関係者から中澤さんが自宅に戻ってこないと通報があり、捜索していました。〙
「赤穂浪士」が討ち入った日 「吉良公」地元の寺では名君をしのんで法要 愛知
12月14日は「忠臣蔵」で赤穂浪士が吉良上野介義央(よしひさ)公に討ち入った日です。吉良公の地元、愛知県西尾市の寺では法要が営まれました。CBC「忠臣蔵」の映画や舞台...
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〘 12月14日は「忠臣蔵」で赤穂浪士が吉良上野介義央(よしひさ)公に討ち入った日です。吉良公の地元、愛知県西尾市の寺では法要が営まれました。
「忠臣蔵」の映画や舞台では敵役となる吉良公ですが、地元の西尾市の吉良町では治水や塩田の整備に力を尽くした名君として今もなお慕われています。
320年前の元禄14年12月14日、吉良公は赤穂浪士の討ち入りによって命を落としました。
吉良家の菩提寺である華蔵寺では毎年、命日の12月14日に法要が営まれています。
きょう(14日)は午前9時から僧侶の読経が流れる中、保存会の役員や地元住民ら約200人が寒空の下、吉良公の墓前で次々と焼香して手を合わせ、名君の遺徳をしのんでいました。〙
「吉良上野介」は悪人だったのか~「忠臣蔵」敵役の真実【にっぽん歴史夜話23】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
文/砂原浩太朗(小説家) 「お手前いつの間にやら鮒(ふな)に似て参ったな。おうおうそのように力(りき)んだ所は鮒そのままじゃ……鮒だ、鮒だ、鮒侍だ、ハハハハハハ」 ...
サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト