天王寺公園を突っ切って、左の坂を下ると天王寺動物園、右の階段を超えると大阪市立美術館。
最近その存続をめぐってゴタゴタが有りましたね。
→大阪市立美術館:東洋古美術に特化し存続へ

今開催されているのは「ボストン美術館 日本美術の至宝」。
入り口を入るとそこには記念撮影コーナー。
東京国立博物館→名古屋ボストン美術館→九州国立博物館と場所を替えて開催されてきましたが、
ついにここ大阪での開催で終了となります。
ボストン美術館は日本美術作品を数多くコレクションしており、
またその作品の保存状態が良いことで有名です。
その理由は作品保護を目的に作品の展示期間を厳格に制限しているためです。
今回の出品作品もほとんどが5年間展示されなかったそうです。
今回は「まぼろしの国宝」ともいうべき一級作品による、ボストン美術館史上最大の日本美術展です。
在外二台絵巻の全巻、全場面、全期間展示されていてます。
また、大規模修繕後、世界に先駆けて曽我蕭白の超大作「雲龍図」が公開されています。
しかし、このような作品はどうやってコレクションされたのか。
その背景は、明治維新による社会情勢の変化。
貴族や大名が所有していた美術品が売りに出されたこと、
廃仏毀釈によって寺院の所有していた仏像、仏画が次々に流出したこと、のようです。
岡倉天心、アーネスト・フェノロサらの努力も見逃せませんね。
フェノロサといえば、昔から秘仏で、白布でくるまれていた救世観音を、初めてその封印をといたという、
奈良にもゆかりの人ですし、
岡倉天心もそう、現在修復されて東大寺ミュージアムから法華堂へ戻された不空羂索観音像を初めとした
奈良の諸仏像を廃仏毀釈の嵐から守ってくれました。
さて、今回の美術展は第一~五章に分けられています。
第一章 仏のかたち 神のすがた
第二章 海を渡った二大絵巻
第三章 静寂と輝き-中世水墨画と初期狩野派
第四章 華ひらく近世絵画
第五章 奇才曽我蕭白
図録も欲しかったけど、重そうなので購入せず、絵葉書を購入。
第一章の、法華堂根本曼荼羅図(奈良時代)
奈良時代の絵画でこれほど美しく残っているのは奇跡に近いそうです。
もともと東大寺の法華堂にあった図らしいです。

快慶作弥勒菩薩立像(鎌倉時代)
修復されてピカピカ。
法隆寺の釈迦三尊像も、釈迦如来の左右の脇侍のうち、右の脇侍(向って左)は金ピカで、釈迦如来と左の
脇侍はくすんだ色。
自分が思うに、くすんだ姿を残念に思って磨いたところ、古色蒼然としていたほうが風情があると思い、
残りの仏像はそのままにしていたのではないか、と。
でも、昔の人たちは金色の仏像のほうがありがたかったでしょうね。

第四章から、長谷川等伯作竜虎図屏風(江戸時代)

伊藤若沖の鸚鵡図(江戸時代)

第五章から曽我蕭白作雲龍図(江戸時代)

それにしてもいい展覧会でした。
2008年に名古屋ボストン美術館でひらかれた「ボストン美術館浮世絵名品展」でもそうでしたが、そのクォリティーの高さはすごいです。
もういちど観に行きたい。