昨日の東北地方太平洋沖地震。
私は東京で勤務中に被災しました。
最初は普段発生する地震と大差が無かったのですが、やけに揺れが長く続き何かいつもと違う事に気付きました。
と、次の瞬間。尋常でない揺れに襲われました。
東京では震度5強だったそうで、居室から出る際、壁の至る箇所に大きなヒビが入っており、愕然としました。
私が所属する部署では普段から居室や実験室には整理整頓され、耐震対策も万全であった為それ程大きな被害には遭いませんでした。
しかし、経験した事もない程の大きな揺れで恐怖を感じました。
東京でこの状況であったので、震源地での被害は甚大な物だと想像します。
心からお見舞いを申し上げます。
**************************************************************************************************************
さて、こんな状況ではありますが記事を書こうと思います。
被災された方の暇潰しにでもなれば幸いです。
今回は予告通り、超速▲3七銀急戦(星野流)に対する△3二金・軽快型の攻防です。
この形は杉本昌隆七段がよく用いています。
ところで、昨日のB級1組順位戦で、屋敷伸之九段が念願のA級へ昇級を決めました。
その一方で、杉本昌隆七段のB級2組への降級が決まってしまいました。
ゴキゲン中飛車で、豊川孝弘七段、深浦康市九段、佐藤康光九段、山崎隆之七段に敗れて1勝もできなかったのは痛かったと思いますが、
井上慶太九段、屋敷伸之九段、鈴木大介八段に横歩取りの先手番で3敗を喫しているのも大きかったと思います。
今季は先手番勝率が大きく勝ち越しているそうなので、やはり先手番で負けるのは痛かったか。
ところで、ゴキゲン中飛車4局の内容は以下の通りになります。
vs 豊川孝弘七段 ▲5八金右超急戦:当時タイトル戦で出たばかりの▲6五香打に対して△5一桂と受ける新手を出したが負け。
vs 深浦康市九段 超速▲3七銀急戦:△3二金・軽快型で負け。
vs 佐藤康光九段 超速▲3七銀急戦:△3二金・軽快型で負け。
vs 山崎隆之七段 ▲7八金型持久戦:山崎流の右銀保留に向かい飛車で逆棒銀を試みるが、右の金銀を保留された効果で攻略できず。
ご覧の様に、超速▲3七銀急戦(星野流)に対し下図(パターンA)で対抗したものの2つ敗れています。
この軽快型のメリットは7六歩を取りやすい事なのですが、5三の地点に傷が出来るデメリットの方が大きい様です。
これから解説する内容は、豊島将之の定跡研究と、ライバルに勝つ最新定跡を使って
解説する部分もありますので、お持ちの方は是非ご参照頂きたいと思います。
豊島将之の定跡研究 ライバルに勝つ最新定跡
それでは、本題に入ろうと思います。
まず、下図(パターンA)から考えられる先手の指し手は①▲5八金右(第1図)と、②▲7八玉(第2図)。
先に①▲5八金右と上がると、後で▲6八銀~▲7七銀の進出が一手遅れるので、選択肢を狭める意味があり少数派ではあります。
ですが、中央からの仕掛けが見えているので守りを厚くする考えは理にかなっています。
第1図からの指し手①
△5六歩▲同歩△8八角成▲同銀△5六飛▲2四歩△同歩▲5五歩(第3図)
◇前例は1局
この進行は前例が1局のみで、前述の順位戦B級1組 ▲佐藤康光九段vs△杉本昌隆七段です。
▲6八玉型で△5六歩と仕掛けられた場合、▲同歩の一手になります。
▲3三角成とすると、一度王手で△5七歩成とされて形が乱れてしまうからです。
角交換から△5六飛に一度▲2四歩を利かせるのが好手。
効果は後から出て来ます。
▲5五歩(第3図)の局面は▲6五角が見えている為暴れるよりありません。
第3図からの指し手
△7六飛▲7七銀△7四飛▲2四飛△2三歩▲2六飛(第4図)
まで、後手不満。
△3九角は▲3八飛△8四角成▲6五角で敗勢なので、△7六飛の一手。
▲7七銀△7四飛に▲5三角は、△3九角で後手にも馬が出来てしまうので不満です。
そこで、先程突き捨てた効果で▲2四飛と走るのがベスト。
突き捨てていなければ一度△3九角が利いていました。
第4図は既に後手の指す手が難しい局面です。
△5四歩は放置されて、△5五歩▲同銀となって中央を制圧されるだけなので、
飛車を自陣に生還させるのは難しい。
△3三桂と跳ねれば▲5六角~▲3五歩があるので早い動きも難しい。
以上により、すぐに△5六歩では後手もうまく行かないのである。
第1図からの指し手②
△4二銀(第5図)
◇行くか溜めるか
△4二銀は△5六歩と仕掛けた時に、角交換に対して形良く取れる意味があり、①▲4五銀の仕掛けを誘っています。
しかし、▲6八玉型でこの仕掛けは成立しないので見て行きたい。
最善は②▲7八玉であるので後述します。
第5図からの指し手①
▲4五銀△2二角▲2四歩△同歩▲3四銀△3三銀▲2三歩△3一角▲3三銀成△同金▲2二銀△6四角
▲3三銀成(A図)△同桂▲6五金△5六歩▲6四金△5七歩成▲同金△6四歩(第6図)
◇王手で△5七歩成が入り結論が逆転
ライバルに勝つ最新定跡をお持ちの方はご用意を。
先ず、p.13の△5四飛~△4四飛は、▲5八金右の効果で先手になっていないので論外。
その為、p.17の△3三銀で対抗しなければなりません。
先手が▲6八玉型でp.13の進行を踏襲した場合、▲6五金に強く△5六歩と突き出す反撃が利きます。
飛車取りである為▲6四金と根元の角を取る一手ですが、△5七歩成が王手で入るので状況が急変します。
▲同金に△6四歩と手を戻したときに、△5六歩と△4五桂の狙いが同時に受かりません。
▲3三角成は△5六歩▲5八金引△5七銀▲7八玉△5八銀不成▲同金△5七歩成でと金の生産に成功。
(2011.3.23修正)▲同金△同飛には▲4五角の王手飛車がある。
(▲5六歩は△4五桂▲6六金△5七銀▲7八玉△6六銀成▲同角△5六飛で取られそうだった桂馬と、飛車が捌けて優勢です。)
以上により、A図で変化する必要がある。
A図から△5六歩でどうか。(B図)
B図以下、①▲4三成銀には△5四飛(C図)とし、
(a)▲4四成銀△5七歩成▲同金△同飛成▲同玉△2八角成(D図)は金得で玉が露出しているので後手優勢。
(b)▲1八飛△5七歩成▲同金△5六歩(E図)は「5三のと金に負けなし。」
②▲2四飛には△5七歩成▲同金△5六歩▲同金△同飛▲6四飛△5七金▲7八玉△6四歩
▲4五角△8二玉▲5六角△同金(F図)。
F図は駒の効率、玉の安全度に勝る後手が優勢でしょう。
第5図からの指し手②
▲7八玉△5六歩▲6六歩△5七歩成▲同金△4四歩▲6八銀△4三銀(第7図)
◇昔ながらの将棋へ
▲7八玉とすれば△5七歩成が王手にならないのですが、ここでも△5六歩の仕掛けがあります。
ここで先手は▲6六歩と止めて△5七歩成に▲同金と手順に手得しながら厚みを築く手段があります。
金であれば、△5六歩に▲6七金と形良く逃げられます。
後手は△4四歩として次に△4五歩を見せて△4三銀が間に合い、第7図は1局の将棋です。
また、△5六歩と仕掛けずに△8二玉とすればパターンB:左銀活用型に合流します。
①▲5八金右(第1図)だけで盛り沢山になってしまいました。
②▲7八玉(第2図)は次回にまわそうと思います。
参考棋譜:2010/9/24 順位戦B級1組 ▲佐藤康光九段vs△杉本昌隆七段(名人戦棋譜速報)
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私は東京で勤務中に被災しました。
最初は普段発生する地震と大差が無かったのですが、やけに揺れが長く続き何かいつもと違う事に気付きました。
と、次の瞬間。尋常でない揺れに襲われました。
東京では震度5強だったそうで、居室から出る際、壁の至る箇所に大きなヒビが入っており、愕然としました。
私が所属する部署では普段から居室や実験室には整理整頓され、耐震対策も万全であった為それ程大きな被害には遭いませんでした。
しかし、経験した事もない程の大きな揺れで恐怖を感じました。
東京でこの状況であったので、震源地での被害は甚大な物だと想像します。
心からお見舞いを申し上げます。
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さて、こんな状況ではありますが記事を書こうと思います。
被災された方の暇潰しにでもなれば幸いです。
今回は予告通り、超速▲3七銀急戦(星野流)に対する△3二金・軽快型の攻防です。
この形は杉本昌隆七段がよく用いています。
ところで、昨日のB級1組順位戦で、屋敷伸之九段が念願のA級へ昇級を決めました。
その一方で、杉本昌隆七段のB級2組への降級が決まってしまいました。
ゴキゲン中飛車で、豊川孝弘七段、深浦康市九段、佐藤康光九段、山崎隆之七段に敗れて1勝もできなかったのは痛かったと思いますが、
井上慶太九段、屋敷伸之九段、鈴木大介八段に横歩取りの先手番で3敗を喫しているのも大きかったと思います。
今季は先手番勝率が大きく勝ち越しているそうなので、やはり先手番で負けるのは痛かったか。
ところで、ゴキゲン中飛車4局の内容は以下の通りになります。
vs 豊川孝弘七段 ▲5八金右超急戦:当時タイトル戦で出たばかりの▲6五香打に対して△5一桂と受ける新手を出したが負け。
vs 深浦康市九段 超速▲3七銀急戦:△3二金・軽快型で負け。
vs 佐藤康光九段 超速▲3七銀急戦:△3二金・軽快型で負け。
vs 山崎隆之七段 ▲7八金型持久戦:山崎流の右銀保留に向かい飛車で逆棒銀を試みるが、右の金銀を保留された効果で攻略できず。
ご覧の様に、超速▲3七銀急戦(星野流)に対し下図(パターンA)で対抗したものの2つ敗れています。
この軽快型のメリットは7六歩を取りやすい事なのですが、5三の地点に傷が出来るデメリットの方が大きい様です。
これから解説する内容は、豊島将之の定跡研究と、ライバルに勝つ最新定跡を使って
解説する部分もありますので、お持ちの方は是非ご参照頂きたいと思います。
豊島将之の定跡研究 ライバルに勝つ最新定跡
それでは、本題に入ろうと思います。
まず、下図(パターンA)から考えられる先手の指し手は①▲5八金右(第1図)と、②▲7八玉(第2図)。
先に①▲5八金右と上がると、後で▲6八銀~▲7七銀の進出が一手遅れるので、選択肢を狭める意味があり少数派ではあります。
ですが、中央からの仕掛けが見えているので守りを厚くする考えは理にかなっています。
第1図からの指し手①
△5六歩▲同歩△8八角成▲同銀△5六飛▲2四歩△同歩▲5五歩(第3図)
◇前例は1局
この進行は前例が1局のみで、前述の順位戦B級1組 ▲佐藤康光九段vs△杉本昌隆七段です。
▲6八玉型で△5六歩と仕掛けられた場合、▲同歩の一手になります。
▲3三角成とすると、一度王手で△5七歩成とされて形が乱れてしまうからです。
角交換から△5六飛に一度▲2四歩を利かせるのが好手。
効果は後から出て来ます。
▲5五歩(第3図)の局面は▲6五角が見えている為暴れるよりありません。
第3図からの指し手
△7六飛▲7七銀△7四飛▲2四飛△2三歩▲2六飛(第4図)
まで、後手不満。
△3九角は▲3八飛△8四角成▲6五角で敗勢なので、△7六飛の一手。
▲7七銀△7四飛に▲5三角は、△3九角で後手にも馬が出来てしまうので不満です。
そこで、先程突き捨てた効果で▲2四飛と走るのがベスト。
突き捨てていなければ一度△3九角が利いていました。
第4図は既に後手の指す手が難しい局面です。
△5四歩は放置されて、△5五歩▲同銀となって中央を制圧されるだけなので、
飛車を自陣に生還させるのは難しい。
△3三桂と跳ねれば▲5六角~▲3五歩があるので早い動きも難しい。
以上により、すぐに△5六歩では後手もうまく行かないのである。
第1図からの指し手②
△4二銀(第5図)
◇行くか溜めるか
△4二銀は△5六歩と仕掛けた時に、角交換に対して形良く取れる意味があり、①▲4五銀の仕掛けを誘っています。
しかし、▲6八玉型でこの仕掛けは成立しないので見て行きたい。
最善は②▲7八玉であるので後述します。
第5図からの指し手①
▲4五銀△2二角▲2四歩△同歩▲3四銀△3三銀▲2三歩△3一角▲3三銀成△同金▲2二銀△6四角
▲3三銀成(A図)△同桂▲6五金△5六歩▲6四金△5七歩成▲同金△6四歩(第6図)
◇王手で△5七歩成が入り結論が逆転
ライバルに勝つ最新定跡をお持ちの方はご用意を。
先ず、p.13の△5四飛~△4四飛は、▲5八金右の効果で先手になっていないので論外。
その為、p.17の△3三銀で対抗しなければなりません。
先手が▲6八玉型でp.13の進行を踏襲した場合、▲6五金に強く△5六歩と突き出す反撃が利きます。
飛車取りである為▲6四金と根元の角を取る一手ですが、△5七歩成が王手で入るので状況が急変します。
▲同金に△6四歩と手を戻したときに、△5六歩と△4五桂の狙いが同時に受かりません。
▲3三角成は△5六歩
(2011.3.23修正)▲同金△同飛には▲4五角の王手飛車がある。
(▲5六歩は△4五桂▲6六金△5七銀▲7八玉△6六銀成▲同角△5六飛で取られそうだった桂馬と、飛車が捌けて優勢です。)
以上により、A図で変化する必要がある。
A図から△5六歩でどうか。(B図)
B図以下、①▲4三成銀には△5四飛(C図)とし、
(a)▲4四成銀△5七歩成▲同金△同飛成▲同玉△2八角成(D図)は金得で玉が露出しているので後手優勢。
(b)▲1八飛△5七歩成▲同金△5六歩(E図)は「5三のと金に負けなし。」
②▲2四飛には△5七歩成▲同金△5六歩▲同金△同飛▲6四飛△5七金▲7八玉△6四歩
▲4五角△8二玉▲5六角△同金(F図)。
F図は駒の効率、玉の安全度に勝る後手が優勢でしょう。
第5図からの指し手②
▲7八玉△5六歩▲6六歩△5七歩成▲同金△4四歩▲6八銀△4三銀(第7図)
◇昔ながらの将棋へ
▲7八玉とすれば△5七歩成が王手にならないのですが、ここでも△5六歩の仕掛けがあります。
ここで先手は▲6六歩と止めて△5七歩成に▲同金と手順に手得しながら厚みを築く手段があります。
金であれば、△5六歩に▲6七金と形良く逃げられます。
後手は△4四歩として次に△4五歩を見せて△4三銀が間に合い、第7図は1局の将棋です。
また、△5六歩と仕掛けずに△8二玉とすればパターンB:左銀活用型に合流します。
①▲5八金右(第1図)だけで盛り沢山になってしまいました。
②▲7八玉(第2図)は次回にまわそうと思います。
参考棋譜:2010/9/24 順位戦B級1組 ▲佐藤康光九段vs△杉本昌隆七段(名人戦棋譜速報)
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大変ありがたいです。
僕は時間がありましたので、相中飛車の研究にふけっていました。
ようやくすべての変化を研究し尽くしました。
超急戦が完成しました。
少し種明かしをすると、
▲5六歩△3四歩▲5八飛△5四歩▲7六歩
△5二飛
の局面から
な、、、なんと!!
▲6五角と打ちます!
僕の研究では、この局面から後手からの反撃として、
①7二銀
②7二金
③4五角
④7四角
があり、いずれも先手優勢です。
あなた様から見てほかに手があれば教えてください。お願いします。
ただ、変化を述べて頂かないと何ともコメントのし難いです。^^;
①△7二銀には▲5五歩と言う事でしょうか。
一直線に進めて…、
△4五角▲5四歩△6七角成▲5三歩成△5八馬
▲同金右△5三飛で上手く行かないように思います。
▲8二角には△6七飛です。
それとも、もっとうまい手順があるのでしょうか。
△2七角成▲5四角
と、すすめます。
ここから、△同馬と、△4九角成が、あります。
述べる気が無いのであれば、こちらも議論の
余地がありませんよ。
何も示されていないのにこちらも意見を述べるのは無理です。
あなたから示された4つの変化を何時間も使って
考えるメリットは私にありません。
私にとっては何も生産的な話ではない事を理解頂きたいと思います。
申し訳無いのですが、ご自分だけの秘密にするのであれば、
コンピューターを相手に試せば良いと思います。
僕もいつか自分で公開しようとおもいます。
ほんとうにすいませんでした。
どうもすいませんでした。
いつか公開に辿り着けると良いですね。
頑張って下さい。
今回は気付いたことがあるので書きこんでみます。
第6図から▲3三角成△5六歩には▲同金が利きそうですね。△5六同飛▲4五角です。
というわけで第6図の形勢はどうなのでしょう? やっぱり先手よしかなぁと思います。
ご指摘頂きありがとうございます。
仰る通り、△5六歩は無効ですね。
代替案として、第5図から第6図へ至る変化の途中で
▲3三銀成に△5六歩と突き出してどうでしょう。
この時点で駒の損得なしと均衡が取れています。
以下、①▲4三成銀には△5四飛として、
(a)▲4四成銀△5七歩成▲同金△同飛成
▲同玉△2八角成
(b)▲1八飛△5七歩成▲同金△5六歩として
「5三のと金に負けなし。」
②▲2四飛には△△5七歩成▲同金△5六歩
と手順を尽くせば▲6四飛からの王手飛車の
筋もありません。
あとは、▲5八金△5七銀▲7八玉△5八銀不成
で勝勢でしょう。
あとでこの手順に修正しておきます。
どうもありがとうございました。^-^