このカー(湧水・井戸)は瀬名波川平から長浜へと下る県道6号を左折し、さらに下った海岸にあります。海浜の岩陰からコンコンと水が湧き、今でも海水浴などの行楽時には盛んに利用されている泉です。かつては、やんばるから那覇へ資材を運んだマーラン船やヤンバル船が瀬名波ガーに立ち寄り飲料水として利用したというほどの知名度のある湧水だったようです。瀬名波の人々は正月の若水をここから汲み、赤子が生まれる時にはウブガー(産井)としても利用してきました。また水道が普及するまでここで洗濯や水浴をするなど生活と密着してきたカーです。
沖縄の古い歌謡集「おもろさうし」に
「瀬名波とむかちがよ 瀬名波ゑけりしやがよ 又 瀬名波川坂に 瀬名波磯坂に」と謡われています。
「瀬名波川坂(川平)で、とむかち(人名)兄様がたたずんでいるよ。」
という簡単な意ですが、この歌謡から川坂(川平)一帯が昔の人々にとってオモロに詠むほどの絶景であったことがわかります。人々が坂道を行き来する姿が想像でき、瀬名波ガー一帯にはオモロ風景が残っていると言えます。
1935年に石灰岩などで囲いを造成して集落で大きなお祝いをしたのが始まりという瀬名波ガースージ(祝い)、12年に1度いのしし年、亥の日の大安に催されています。
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