前回の『厄介な人』に続きがありました。
あの日の騒ぎを見ていたチーフが、その日の昼礼のときに言いました。
「タイムカードは45分より前に押しても構いません。
あそこに20人も並んだら46分になったり、47分になるかもしれない。
5分ぐらい前だったらいいです」
・・・だから、20人なんて並ばないっつーの。
チーフ、あなたは異動になって4ヶ月間も、
タイムレコーダーの前に並ぶわたしたちを見ていて、
なんにも言わなかったのに、
パートのおばさんたちがもめていたから、
ひとこと言ってやろうって感じですか?
「じゃあ、40分になったらタイムカード押していいんですか?」
とわたしが言うと、
「ま、40分でいいというわけではないけど」
チーフ、それじゃ現場の責任者として曖昧過ぎじゃないですか。
そう言いたかったけど、またもめそうなので止めました。
翌日、ロッカー室でユニフォームに着替えていると、
「あのさ、昨日のことだけどさ、あの人ってちょっと怖いよね」
とIさん。
他の人がいたので軽くうなづいて返事をしました。
「それにさ、あの人、兄貴がぶっ倒れちゃってなんて言うんだよ。
一緒に住んでるお兄さんにそういう言い方はないよね」
「Iさんのこと信頼しているからそう言ったんでしょ。
仲がいいから聞いてほしかったんでしょ」
そう言いながらロッカー室を出ると、
ロッカー室とは反対方向に歩いていくSYさんが見えました。
しまった、今の会話聞かれちゃったかも・・・。
そのまま、道具を取りに行くと、私服のSYさんが待っていました。
「〇〇さん、きのうはすみませんでした。
わたしちょっとコーフンしちゃって・・・」
「でも、SYさんが正しかったんじゃない?
ただ、突然だったから、みんなびっくりしたと思うのよ。
タイムカードを押す前にひとことあったら、
様子が変わっていたと思うけど」
「ええ」
SYさんの謝罪は勇気がいることだし、
謝ることは悪い事じゃないけれど、
本音を言えば、謝るくらいなら、
初めからもう少し冷静に行動すべきだったと思います。
60過ぎのいい歳をした大人です。
残り少なくなっていく人生は、楽しむために使いたいのです。