父が亡くなった時、
遺影にする写真がありませんでした。
母の姉妹会の旅行の写真は山のようにありましたが、
横を向いたり、目を閉じていたり、
そんなスナップ写真ばかりで、
そのうえサービス版のプリント写真。
父の認知症が始まったころ、
伯母やいとこたちに頼んで最後の会食をしました。
そのときに撮った集合写真が一番新しく、
デジカメで撮ったのでそのデータから、
遺影用に引き伸ばしてもらいました。
父はわがままでワンマンな人でした。
多分やさしい時もあったのだと思いますが、
その記憶はあまりなく、
いつも怒っていて、
いつも怒鳴っていて、
いつも母を殴っていた父の恐ろしい顔が、
わたしの父の顔の記憶です。
遺影にした父の顔は笑ってはいません。
カメラも見ていません。
すでに認知症でしたので所在ない感じでした。
顔は心が作るものだと、
父の顔を見るとつくづくと思ってしまいます。
認知症になる前は、
父に内在した黒々としたコンプレックスが、
あの顔を作り出し、
認知症になると、
父のぼんやりとした不安感が、
あの顔を作り出したではないでしょうか。
10年後、わたしはどんな顔をしているのでしょう。
今を楽しんで、気負わずに、わたしらしく暮らすこと。
そうすれば、
穏やかで優しい笑顔のわたしに会えるかもしれません。
わんこは美味しいものを見るといいお顔になりますが、
ひとは 心豊かになるためには・・・??
もしかしたら わんこが気持ちよく寝ている姿を
見ているときとかって きっと 優しい顔してるんだろうな。
いつも優しさに満たされた心持でいられると
いいのだけど・・・
いつもいい顔するのは無理でしょうね。
ワンズの母としては、いい顔している回数は増えるかもしれません。
素の顔はできるだけ穏やかで豊かなものにしたいです