きのうは『偽りなき者』を観てきました。
7、8年前にテレビで観て印象に残っていた映画でした。
3日間の再上映、料金は誰でも1,000円。
中華街にも行きたかったのもあって、横浜へ1時間半かけて行ってきました。
デンマークの小さな町で幼稚園の先生をしているルーカスは、
園児たちに人気の男の先生。
他の先生が女性ばかりとあって、ルーカスは男の子たち相手に取っ組み合いの毎日。
その幼稚園にはルーカスの親友の娘クララも通っていました。
忙しい両親に代わりクララと一緒に幼稚園に通うこともしばしば。
クララにとってルーカスは、頼もしい先生というだけでなく、
ほんの少し異性を意識するような存在でした。
ある日、クララはルーカスに手作りのビーズのハートをプレゼントします。
そしてルーカスの唇にキスします。
ルーカスから唇のキスはダメだよと言われて、
ビーズのハートは他の男の子たちに上げなさいと返されてしまいます。
その日の帰り、暗い園長室の中でうつむいているクララ。
心配した園長先生がクララに聞くと、
ルーカスが下半身を自分に見せて、ビーズのハートをくれたと言います。
そこから、ルーカスにきちんとした弁明の場も与えられないまま、
異常者として、犯罪者として、職場を追われ、
親友の家族や、親しかった仲間たち、町の人たちから、
迫害され、村八分にされて、飼っていた犬までも殺されてしまいます。
そして・・・。
衝撃的な内容ですが、人間の心理がとても丁寧に描かれています。
クララの初恋とも言えない淡い思いと小さな嘘、
ルーカスを異常者と決めつけ暴力的になる町の人たち、
自分の娘を汚されたと思いルーカスとの関係を断つ親友、
離れて暮らしていたルーカスのひとり息子の父親への愛、
ルーカスのことを冷静に応援してくれていた仲間、
どのシーンをとっても、全てに繋がりがあって、
人間の心模様の複雑さ、虚しさ、愚かさを強く感じました。
そして、何よりルーカスの冤罪の深い孤独と強い苦しみを感じました。
この話は映画の中だけでなく、わたしたちのすぐそばにも起こり得ること。
そして、1度起きてしまえば真実は見えずらくなって、
復活の難しさは大変なもの、ネット社会ではなおさらでしょう。
重くて辛い部分もあった映画ですが、観た後の充足感はとてもありました。
そして、主役のマッツ・ミケルセンが何と言っても素晴らしかった。
わたしのおすすめの映画です。
以前から食べたかった中華街の〇〇飯店の海老ワンタンソバ。
でも、期待しすぎました。こちらはおすすめしません。
別のお店の方がよさそうです。