もともと『水戸黄門』は『七人の孫』のような現代ホームドラマで老人と若者の対照を描いていた時間枠に時代劇をぶつけた結果であった。
42年たって、『水戸黄門』の後継番組が何がいいか考えると、「旅」「日本各地の名産の紹介」「日本の傳統文化」「老人と若者の対比」といった要素を継承する作品が望ましい。
そうなると「旅」であれば旅刑事物で、高橋英樹や愛川欽也主演の作品、あるいは三浦洋一主演の『さすらい刑事旅情編』のような作品になる。
『ハンチョウ~神南署安積班~』は刑事物だが、それに旅が加われば『水戸黄門』に近くなる。なお『水戸黄門』現代版では『特命!刑事どん亀』がある。『ハンチョウ~神南署安積班~』の「安積(あづみ)」が安積覚兵衛の「安積(あさか)」と同じ表記なのは何かの因縁か。
ハンチョウ ファン 水戸黄門 - Google 検索
また「日本の傳統文化」であれば『あんどーなつ』や『浅草ふくまる旅館』のような和風の仕事を扱った現代ドラマがいいだろう。
「老人と若者の対比」は『渡鬼』でさんざんやったと思われるので、別のドラマでもいいだろう。
なお、『大岡越前』『江戸を斬るII』の路線を引き継いだ裁判ドラマはどうだろうか。例えば裁判官が実は目撃者の一人だったというのを現代ドラマでやったら、荒唐無稽ではあるが、受けるかも知れない。
『神様の女房』
NHKで松下幸之助の結婚後の生涯をドラマ化している。毎週土曜、全3回で先日は第2話。これをTBSがパナソニックドラマシアターでやらないのが不思議だ。
入浴シーンは現代ドラマかバラエティでやればいい
なお、一部で『水戸黄門』では由美かおるの入浴シーンが人気だったという評がある。これが定番化したのは、シリーズが始まって17年後、1986年の第16部からであった。それが2010年の第41部まで24年続いたわけだ。
時代劇は現代劇より制作費がかかるし、出演者を京都の撮影所に集めないといけない事情がある。そんな手間をかけて、視聴者が注目するのが「女優のお風呂シーン」だけでは、もはや、時代劇の本放送として続ける意味はない。過去の再放送だけで充分である。
もし『水戸黄門』のファンが入浴シーンを目当てにしているのなら、『水戸黄門』を打ち切って、後継番組の現代ドラマなどでそういうシーンをやればいい。入浴シーンは温泉の旅や旅館を扱った現代ドラマでやるのが妥当であるし、ドラマでなくバラエティ番組でやってもいいものだ。
また印籠シーンは再放送でいくらでも観られる。視聴者が1時間のストーリーでなく、こうした場面だけに注目するなら、もう新作の『水戸黄門』は不要で、BSやCSで再放送をすればいい。
あるいはTBS news iのようにネット配信すればいい。
GyaO!ストアで月形龍之介時代の『水戸黄門漫遊記』が有料で配信されている。
TBSまたはC.A.Lもこれをやればいい。
講談と芝居、映画への回帰
『水戸黄門』の場合、もとは講談と芝居だったので、林家三平が落語で『水戸黄門漫遊記』を題材にするのもいいだろう。
茨城の水戸黄門漫遊一座も署名運動などする暇があったら、「芝居で『水戸黄門』をどうぞ」と全国にPRすべきであろう。
現代の時代劇は映像が鮮明になりすぎて、カツラと地肌の境目は前から見てわかるものだったが、今の時代劇ではそれがさらに鮮明になっているだろう(個人的に時代劇を観ているときは話に集中しているので気にならないが、中にはそういう点を集中的に観ている人もいるだろう)。
それが不自然で、視聴率も減るのであれば、初めから作り物であることが明確な舞台の芝居にすればいい。
テレビの連続時代劇ではCGで画像処理するほどの予算がないなら、映画にすればいい。
要するに時代劇はテレビの時代が終わり、月潟龍之介の『水戸黄門』までの映画や講談の時代に回帰しているのである。
『水戸黄門』の終了といっても、それはTBS月曜夜8時の「パナソニックドラマシアター」でのシリーズが終わっただけの話だ。映画も含めれば100年の歴史があるし、幕末から150年ほどたっている。文化・文政から190年、元禄時代から300年と少し経過している。
『水戸黄門』は現在までよく続いたと言えるし、今後、10年、20年以内に別の形で復活する可能性もある。
週一の前後編の後編を見られないような高齢者には気の毒だが、『水戸黄門』は「毎週観る時代劇」としては役割を終えたのである。
再放送やDVD、BSやCS、ネット配信なら毎日観られるころもあるだろう。
何より時代劇は若者に持てもらって、10年、20年先まで観てくれるファンを獲得するのが重要課題だ。
定番時代劇の矛盾
時代劇が「毎週放送する連続ドラマ」になったことは内容の面で不自然さを生んでいる。
『水戸黄門』が「毎年」旅をして、忍びと言いながら「毎週」印籠を出しているのはおかしいし、隠居して10年で他界した光圀が42年も旅を繰り返したわけがないし、それは世直し旅の効果がなかったことを意味する。ああいう旅は家臣に任せ、一度やったら、将軍に報告し、あとは将軍が日本各地に監視役を派遣し常駐させ、適度に交代させればすむことであった。
『暴れん坊将軍』も同様で、放送期間は1978年から2008年までの足掛け30年で、吉宗が将軍だった1716年から1745年までの30年弱と一致するが、ドラマのように年中、吉宗が城を留守にしていては将軍などいてもいなくても同じである。あれだけ幕臣から悪人が出るのは将軍の人事が下手なことを証明しているし、逆に吉宗がいない江戸城で政治が継続されているのは幕府の老中たちが優秀なこと(吉宗は不要であること)を示している。
必殺シリーズも、もとはと言えば『仕掛人・藤枝梅安』を『必殺仕掛人』にしたもので、毎週依頼があって殺しがおこなわれる話になってシリーズ化された。よく考えると、そうしょっちゅう、依頼があるわけがない。奉行所は何度か仕事人狩りを強化したがそれは民間人(善良な市民)に影響が及ぶ危険な制度であった。それより一般人に「仕事人に依頼などしないように」と釘を刺せばいいだけの話だ。また悪人に斬られたりして虫の息の被害者が秀や勇次や主水に仇討ちを頼むとき、いつも都合よく金を渡すのは不自然である。
『遠山の金さん』も同様で、毎週、裁きのたびに桜の彫り物を出していては、遊び人としての金四郎の正体が江戸中に知れ渡ってしまう。本来、あれは金四郎の奉行としての在職期間に一度か二度、大博打のようなときにやるべき非常手段である。金四郎が目撃者であること以外に悪人を裁く手はない。それを示すには桜の彫り物を見せる必要がある。奉行が桜の彫り物をして町人姿で町を出歩いていたと公儀に知られれば、奉行には切腹の処分が下される危険性もある。そのリスクを犯しても奉行は桜の彫り物を見せるか。そういうスリルに意味があったはずだ。確かそういう意見を雑誌か何かで見た記憶があり、同感である。
こういった定番は、映画やスペシャルであれば、その繰り返しの不自然さはないのである。
定番時代劇の手法は、警察署の署長が身分を隠して自分で聞き込み捜査をしているようなもので、リーダーとしては無能であることを意味している。署長が外出中、署内の執務は部下が代行しているのだろう。外回りと幹部職の人事を逆にすべきだということになる。
そのような定番時代劇の時代が終わったということであろう。
前に提案した「裁判官が目撃者でもある現代ドラマ」などは、現代ドラマとして描くと、まことに漫画的で荒唐無稽に見え、むしろ裁判制度の破綻を示す作品になるだろう。
時代劇を好む心理は現代社会への拒否反応か - Yahoo!ブログ
『水戸黄門』の後番組が決まった。
12月19日の最終回スペシャルのあと、12月26日と2012年1月2日の休みを挟んで、1月9日から上川隆也主演の『ステップファザー・ステップ』が始まる。もっとも『水戸黄門』の各シリーズの間には『大岡越前』『江戸を斬る』を初めとした他のドラマが入るのが慣例となっており、2011年の『こちら第三社会部』からは現代劇が入っている。2011年の『水戸黄門』第42部後半と第43部の間は『ハンチョウ~神南署安積班~』の第4シリーズだった。もし『水戸黄門』が2011年で終わらなくても。第43部が2011年師走まで続く以上、2012年の正月に現代ドラマが入るのは予想できたことだ。
むしろ『ステップ』が終わったあと、2012年春または夏に始まるドラマ(おそらく現代劇)が名実ともに『水戸黄門』後継作品となるだろう。
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2011年10/14 10月
42年たって、『水戸黄門』の後継番組が何がいいか考えると、「旅」「日本各地の名産の紹介」「日本の傳統文化」「老人と若者の対比」といった要素を継承する作品が望ましい。
そうなると「旅」であれば旅刑事物で、高橋英樹や愛川欽也主演の作品、あるいは三浦洋一主演の『さすらい刑事旅情編』のような作品になる。
『ハンチョウ~神南署安積班~』は刑事物だが、それに旅が加われば『水戸黄門』に近くなる。なお『水戸黄門』現代版では『特命!刑事どん亀』がある。『ハンチョウ~神南署安積班~』の「安積(あづみ)」が安積覚兵衛の「安積(あさか)」と同じ表記なのは何かの因縁か。
ハンチョウ ファン 水戸黄門 - Google 検索
また「日本の傳統文化」であれば『あんどーなつ』や『浅草ふくまる旅館』のような和風の仕事を扱った現代ドラマがいいだろう。
「老人と若者の対比」は『渡鬼』でさんざんやったと思われるので、別のドラマでもいいだろう。
なお、『大岡越前』『江戸を斬るII』の路線を引き継いだ裁判ドラマはどうだろうか。例えば裁判官が実は目撃者の一人だったというのを現代ドラマでやったら、荒唐無稽ではあるが、受けるかも知れない。
『神様の女房』
NHKで松下幸之助の結婚後の生涯をドラマ化している。毎週土曜、全3回で先日は第2話。これをTBSがパナソニックドラマシアターでやらないのが不思議だ。
入浴シーンは現代ドラマかバラエティでやればいい
なお、一部で『水戸黄門』では由美かおるの入浴シーンが人気だったという評がある。これが定番化したのは、シリーズが始まって17年後、1986年の第16部からであった。それが2010年の第41部まで24年続いたわけだ。
時代劇は現代劇より制作費がかかるし、出演者を京都の撮影所に集めないといけない事情がある。そんな手間をかけて、視聴者が注目するのが「女優のお風呂シーン」だけでは、もはや、時代劇の本放送として続ける意味はない。過去の再放送だけで充分である。
もし『水戸黄門』のファンが入浴シーンを目当てにしているのなら、『水戸黄門』を打ち切って、後継番組の現代ドラマなどでそういうシーンをやればいい。入浴シーンは温泉の旅や旅館を扱った現代ドラマでやるのが妥当であるし、ドラマでなくバラエティ番組でやってもいいものだ。
また印籠シーンは再放送でいくらでも観られる。視聴者が1時間のストーリーでなく、こうした場面だけに注目するなら、もう新作の『水戸黄門』は不要で、BSやCSで再放送をすればいい。
あるいはTBS news iのようにネット配信すればいい。
GyaO!ストアで月形龍之介時代の『水戸黄門漫遊記』が有料で配信されている。
TBSまたはC.A.Lもこれをやればいい。
講談と芝居、映画への回帰
『水戸黄門』の場合、もとは講談と芝居だったので、林家三平が落語で『水戸黄門漫遊記』を題材にするのもいいだろう。
茨城の水戸黄門漫遊一座も署名運動などする暇があったら、「芝居で『水戸黄門』をどうぞ」と全国にPRすべきであろう。
現代の時代劇は映像が鮮明になりすぎて、カツラと地肌の境目は前から見てわかるものだったが、今の時代劇ではそれがさらに鮮明になっているだろう(個人的に時代劇を観ているときは話に集中しているので気にならないが、中にはそういう点を集中的に観ている人もいるだろう)。
それが不自然で、視聴率も減るのであれば、初めから作り物であることが明確な舞台の芝居にすればいい。
テレビの連続時代劇ではCGで画像処理するほどの予算がないなら、映画にすればいい。
要するに時代劇はテレビの時代が終わり、月潟龍之介の『水戸黄門』までの映画や講談の時代に回帰しているのである。
『水戸黄門』の終了といっても、それはTBS月曜夜8時の「パナソニックドラマシアター」でのシリーズが終わっただけの話だ。映画も含めれば100年の歴史があるし、幕末から150年ほどたっている。文化・文政から190年、元禄時代から300年と少し経過している。
『水戸黄門』は現在までよく続いたと言えるし、今後、10年、20年以内に別の形で復活する可能性もある。
週一の前後編の後編を見られないような高齢者には気の毒だが、『水戸黄門』は「毎週観る時代劇」としては役割を終えたのである。
再放送やDVD、BSやCS、ネット配信なら毎日観られるころもあるだろう。
何より時代劇は若者に持てもらって、10年、20年先まで観てくれるファンを獲得するのが重要課題だ。
定番時代劇の矛盾
時代劇が「毎週放送する連続ドラマ」になったことは内容の面で不自然さを生んでいる。
『水戸黄門』が「毎年」旅をして、忍びと言いながら「毎週」印籠を出しているのはおかしいし、隠居して10年で他界した光圀が42年も旅を繰り返したわけがないし、それは世直し旅の効果がなかったことを意味する。ああいう旅は家臣に任せ、一度やったら、将軍に報告し、あとは将軍が日本各地に監視役を派遣し常駐させ、適度に交代させればすむことであった。
『暴れん坊将軍』も同様で、放送期間は1978年から2008年までの足掛け30年で、吉宗が将軍だった1716年から1745年までの30年弱と一致するが、ドラマのように年中、吉宗が城を留守にしていては将軍などいてもいなくても同じである。あれだけ幕臣から悪人が出るのは将軍の人事が下手なことを証明しているし、逆に吉宗がいない江戸城で政治が継続されているのは幕府の老中たちが優秀なこと(吉宗は不要であること)を示している。
必殺シリーズも、もとはと言えば『仕掛人・藤枝梅安』を『必殺仕掛人』にしたもので、毎週依頼があって殺しがおこなわれる話になってシリーズ化された。よく考えると、そうしょっちゅう、依頼があるわけがない。奉行所は何度か仕事人狩りを強化したがそれは民間人(善良な市民)に影響が及ぶ危険な制度であった。それより一般人に「仕事人に依頼などしないように」と釘を刺せばいいだけの話だ。また悪人に斬られたりして虫の息の被害者が秀や勇次や主水に仇討ちを頼むとき、いつも都合よく金を渡すのは不自然である。
『遠山の金さん』も同様で、毎週、裁きのたびに桜の彫り物を出していては、遊び人としての金四郎の正体が江戸中に知れ渡ってしまう。本来、あれは金四郎の奉行としての在職期間に一度か二度、大博打のようなときにやるべき非常手段である。金四郎が目撃者であること以外に悪人を裁く手はない。それを示すには桜の彫り物を見せる必要がある。奉行が桜の彫り物をして町人姿で町を出歩いていたと公儀に知られれば、奉行には切腹の処分が下される危険性もある。そのリスクを犯しても奉行は桜の彫り物を見せるか。そういうスリルに意味があったはずだ。確かそういう意見を雑誌か何かで見た記憶があり、同感である。
こういった定番は、映画やスペシャルであれば、その繰り返しの不自然さはないのである。
定番時代劇の手法は、警察署の署長が身分を隠して自分で聞き込み捜査をしているようなもので、リーダーとしては無能であることを意味している。署長が外出中、署内の執務は部下が代行しているのだろう。外回りと幹部職の人事を逆にすべきだということになる。
そのような定番時代劇の時代が終わったということであろう。
前に提案した「裁判官が目撃者でもある現代ドラマ」などは、現代ドラマとして描くと、まことに漫画的で荒唐無稽に見え、むしろ裁判制度の破綻を示す作品になるだろう。
時代劇を好む心理は現代社会への拒否反応か - Yahoo!ブログ
『水戸黄門』の後番組が決まった。
12月19日の最終回スペシャルのあと、12月26日と2012年1月2日の休みを挟んで、1月9日から上川隆也主演の『ステップファザー・ステップ』が始まる。もっとも『水戸黄門』の各シリーズの間には『大岡越前』『江戸を斬る』を初めとした他のドラマが入るのが慣例となっており、2011年の『こちら第三社会部』からは現代劇が入っている。2011年の『水戸黄門』第42部後半と第43部の間は『ハンチョウ~神南署安積班~』の第4シリーズだった。もし『水戸黄門』が2011年で終わらなくても。第43部が2011年師走まで続く以上、2012年の正月に現代ドラマが入るのは予想できたことだ。
むしろ『ステップ』が終わったあと、2012年春または夏に始まるドラマ(おそらく現代劇)が名実ともに『水戸黄門』後継作品となるだろう。
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2011年10/14 10月
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