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『水戸黄門』と視聴率至上主義

TBS(またはパナソニック、C.A.L)による『水戸黄門』の終了を「視聴率至上主義による文化切り捨て」と批判する向きもあるだろうが、『水戸黄門』が42年も続いたのは正に視聴率至上主義の結果であった。
印籠シーンも入浴シーンも史実と違う諸国漫遊も光圀の外見も、視聴率至上主義によって支えられてきた。『水戸黄門』にとって最大の支えだった視聴率至上主義が、今では『水戸黄門』を終わらせる結果となったわけだ。

『水戸黄門』が最高視聴率を記録した1979年の直後、1980年代になると『歴史への招待』で「水戸黄門漫遊せず」という回が放送され、『水戸黄門』の史実との乖離が指摘されたし、漫才ブームの中でビートたけしも『水戸黄門』の設定の無理を批判していた。
それでも『水戸黄門』が続いたのは正に視聴率至上主義による判断だった。
水戸黄門 視聴率至上主義 - Google 検索

水戸市が署名を提出し、年明け後の3月まで続けるつもりのようだが、TBSは今後『水戸黄門』を復活させないだろうし、しないほうがいい。
水戸市でやっている署名でわかったのは、水戸市が自分で制作費を出す意志がないということだ。ただ「『水戸黄門』が終わって残念だから続けてほしい」と言うだけで、財源が示されていない。自治体として財源を示すべきであろう。これは民間団体がやったことで自治体とは別だろうが、署名を市長が受け取って視聴がTBSに提出した以上、市長は何らかの財政的な支援(あるいは自力更生)の案を示すべきであった。
また7月15日の終了報道から5箇月間で、番組の視聴率は一向に上がっておらず、12/19の最終回スペシャルは13.9%と健闘したが、前の週の12/12の「嗚呼、人生に涙あり」は9%に満たない8.7%と惨敗であり、もはや視聴者は『水戸黄門』を見捨てたと考えていいだろう。

『水戸黄門』は「視聴率が10%まで下がったから終わった」というより「視聴率まだ10%近くあったのに終わった」と見るべきかも知れない。つまり終了の理由は視聴率ではない。
2011年当時の番組HPの掲示板(今では削除された)への投書で「視聴率より放送文化」というのがあったが、製作側が「終了は視聴率ではない」としている。「視聴率が重要ではない」なら「視聴率が低くても番組を続ける」ことがある一方、「視聴率が高くても番組を終わらせる」こともある。『水戸黄門』の終了直前の10%前後は全盛期の30%代や40%代と比べれば確かに低いが、今の時代で考えれば10%は及第点かも知れない。それでも終わるのは、視聴率が10%あっても視聴者層がパナソニックの商品を買ってくれそうになかったからだろう。

石坂浩二以降、ナショナル劇場では『水戸黄門』の合間の現代劇を見る層が形成されていった、『水戸黄門』終了後、スタッフが狙ったのはその視聴者層であり、『こちら本池上署』や『ハンチョウ』を見ていた層を狙ったのだろう。

関連語句
水戸 視聴率 

参照
『水戸黄門』終了と『半沢直樹』高視聴率
Y!Blog>『水戸黄門』の視聴率
Y!Blog>『半沢直樹』と『名もなき毒』【作品】  
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