14日昼につづいて、22日昼の部観劇。
「SHIROH」にしろ「天保十二年のシェイクスピア」にしろ、この「染模様~」
にしても、主役が最後にあの世にいっちゃうというのは、どうもあとをひいてい
けません。あの日から私、ため息以上、身もだえ未満(笑)。
とうとうリピートしてしまった。お芝居としてやっぱり理屈抜きに面白い。
全面的にネタバレです。ご注意!!
<3階席からの眺め>
22日は3等席。
3階から観ると舞台の見え方がずいぶん違う。前回の観劇では役者さんの表情アッ
プ状態で、背景はあまり見ていなかったことに気づく。
浅草伝法院での見染めのシーン。
前回は友右衛門と数馬が絡む一輪の花しか見ていなかったが、舞台奥の上部一面に
もたくさんの杜若の花が並べてある。たしかラスト、数馬が残された場面では花び
らがたくさん舞っていて、この出逢いの場面の背景を思い出した。
回り舞台を上から見るのも面白い。
特に私の好きなシーンは、玄庵宅で図書の居所を知った友右衛門と数馬が二人いっ
しょに早足で屋敷に戻るところ。客席通路に下りてぐるっと回って反対側の通路か
ら上がる時、回転した舞台の階段が通路正面に来るタイミングに二人がピタリ戻る。
ココきれい~!!
二人が階段を昇って2階の道に出たところで数馬がころんで、そこで友右衛門が
「数馬ーーーっ!!」。客席はここで拍手喝采。二人の必死さ、互いに想い合う
二人の可愛らしさが微笑ましくて、とっても好きな場面。
火事のシーンも上からの眺めはひと味違う。
客席側壁の数カ所から、シューッ、またシューッと、音を立てて煙が吹き出して
くるのだが、3階席はこの煙が近い。下では半鐘の音、煙がたちこめ、やがて火
の粉が降ってくる。(赤い光沢紙でできた火の粉。これは1階席がリアル。)
花道に飛び込んでくる友右衛門! 着物に火が燃え移っている感じは遠くからの
ほうが本当らしく見えた。
右列の席だったので右端が見切れたけれど、花道の顔は全部見えるし、火事場の
階段で果てる友右衛門もよく見えた。
細かいところでは、会津の料亭での料理が見える! お鍋の横にあったのは大き
な赤い魚、もしかしたら、にらみ鯛かな?(笑)
<笑いか、泣きか>
1週間前の観劇と比べると、たぶんリピーターが増えたせいだろう。
もうあのシルエットの場面で笑い声は起きなかった。
着物の帯クルクルでは少し笑いが起きたけれど、その後に続くシルエットでの濡
れ場はそれはそれでゆったりと落ち着いてみられるシーンに客席の雰囲気が変わっ
ていたと思う。私はこっちのほうがいいなと思った。
シルエットは二人向かい合ったまま、帯の解けた着物を友右衛門が脱ぎ、それか
ら数馬の着物に手をかけ、はらりとなったところで二人抱き合い、口づけたまま
シルエットが沈み込んで・・・暗転。
「勧進帳」の場面も同じく、笑い声はほとんどなかった。というか拍手大喝采。
火事場で朱印状を自らの腹に入れて守るために、割腹してはらわたを出す友右衛
門がえらくカッコよかったからだと思う。
友右衛門が自分のお腹から順番に内蔵を出すときに、講談師の声が。
「肝臓。腎臓。大腸。三つ合わせて、カン・ジン・チョウ!!」
ギリギリ限界グチャグチャの情けない顔で、上半身だけで見得を切る友右衛門。
ウケ狙いという感じは全然なくて、満身創痍の悲惨なヒーローがめちゃくちゃ
カッコよく見えた。笑いじゃなく、笑い泣きに近い。この場面。
このシーンがこんなふうに見られただけでも、私は大満足♪
幕間インタビューで染五郎さんがアンケートに答えていたことを思い出す。
質問「あす地球が滅びるとしたら、何をしたいですか?」
染五郎さん「勧進帳の弁慶の衣装を着たい。1回もやったことないですからね。
市川染五郎と名乗っている限りは、やらないとご先祖様に申し訳ない。盗んで
でも着たい」。
<敵討ち、忠義>
あざみの告げ口により、不義密通の罪で詮議にかけられる場面。
細川のお殿様の前で、恋情を抱いたのは自分のほうで、悪いのは自分。
ただ数馬の敵討ちの大望を知り、力になりたい一心で義兄弟の契りを結んだ。
数馬の敵討ちだけは叶えさせてやってほしい、と。
友右衛門がそういえば、数馬も必死になって友右衛門をかばう。
このシーンは友右衛門も数馬も声に感情がのっていて、1週間前よりもかなり
よくなっている気がした。
細川のお殿様。やっぱり面白い♪
・不義密通の申し開きを聞いているうちに、いつのまにか殿様の関心事は敵討
ちの話へ。助太刀をする覚悟だったという友右衛門に、ゆっくりと見得を切り
ながら言う。「その心根、あっぱれ、あっぱれーっ!」
・横山図書が屋敷内に来ていることがわかり、お殿様にゆるしを得て敵討ちに
向かう二人。行きかけたところをわざわざ呼び止めて(笑)激励の言葉をかけ
るので、友右衛門も数馬も2回も頭をつけて礼をいう。
・図書と対決するシーン。4年間稽古を積んだ数馬は強く、図書もそう簡単に
は斬れない。が、数馬危うし!の場面で友右衛門登場。友右衛門と図書の殺陣
がちょっとした見せ場で、数馬の対決シーンよりもさらにスピードアップ。
華麗な助けにより、ついに数馬が図書を討ち果たす。ここで殿様、タイミング
よく登場。数馬に本懐をとげたことをねぎらってから、しっかり席を設けて二
人がとどめを刺すシーンに立ち合う。
お殿様がいちいち形、儀式にこだわるところ、歌舞伎ってほんとに面白い。
敵相手の図書。たしかに悪いヤツなのだが・・・イカンイカンと思いながらこ
の日は、猿弥さん演じる図書がなんだかかわいそうに思えてきた。会津で皆に
そそのかされ、あの刀を手に入れたばっかりに、妻と数馬の父を斬ってしまっ
たわけで。妻のことが忘れられず、女々しい事に再婚相手は妻に生き写しの
きくを選ぶなんて・・・。要するに心のヨワイ人間なのかな。
とはいえ、数馬にとっては明らかに<父の敵>。・・・ゴメンネ、数馬さま。
リピーターが増えたせいか、歌舞伎らしい予定調和の反応も心地いい。
カーテンコールでは友右衛門も数馬も笑顔というわけにはいかなさそうだった。
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・・・お客のノリが日々違う・・・って
よく、役者さんが仰るけど、よく分かりました。
・・・っていうかぁ~~~、私は結局さ~~
三階席でクルクル~~が見れなかったんだけど、
全く笑いがおきなかったんですよ!
これには(私は・・)不満!!(笑)
↑ムンバリさまにはこれが正道なのですよね(笑)
私がおかしいのねん・・・(汗)
そのかわり、その一段上であざみ様の
「くやしい!くやしい!」発言には異常に笑いがおこっていました!!
ちょっとびっくり♪
ていうか、昨日は楽しかったです~。そういえば迷子の話を聞きそびれたよね。うーん、あれだけしゃべってもまだ聞き忘れがあったとは(笑)。
えー、笑いの場。
同じ3階右列でも私の席からはクルクルが見えましたよ。でね、クルクルだけは笑ってもOKかな、と。でも、シルエットの時はピタッとやんでほしいな~と思うのであります。好みやね、きっと。
東京でもやるかもしれないという話は確定ではなくて、<かもしれない>という程度ですね。こちら、舞台美術製作の方のブログで読みました。
http://blog.goo.ne.jp/o-dougu/e/e7f1d95f93e7311bac48344aafd9dcfa