●テレビ大阪『歴史紀行 平家物語の人々』9月19日放送
第12回 平家一門断絶
なにぶん放送を見たのが初めてなので、ちょっととまどいました。
これってメインは「語り」なのですね。その部分が朗読だったり、上原まり
さんのような琵琶奏者の語りだったり。
映像はむしろ補足でついている感じ。
しかも、語り手自身がその役を演じていたりもする、不思議な構成。
平家一門断絶3エピソードのうち、愛之助さんが登場するのは2つ目。
平清盛の生き残った最後の子である、平重衡(しげひら)役です。
映像では愛之助さんが和服で朗読している姿と、物語の中の重衡役を交互に
見せてくれます。ちなみに重衡の妻役は若村まゆみさん。大納言佐殿(だい
なごん すけどの)、または北の方、と呼ばれています。
<物語>
一の谷の戦いで捕虜となっていた重衡は、奈良の寺社に身柄を移すため鎌倉
から連行される途中、妻である大納言佐殿に逢うことを許されました。
(佐殿は壇ノ浦で入水後、捕えられ、その後、生き延びて隠棲していた。)
朗読と映像は、妻の暮らす家に重衡が立ち寄った時の様子を描いたもの。
以下、約6分。朗読(青字)と映像と私の雑感を混ぜて書いています。
<朗読と映像>
愛之助さんの朗読、凄くいいです。
地の語りの部分は静かな抑えた口調で語られ、反対に会話部分では感情がこ
もり、ぐっと引き込まれます。
とくに大納言佐殿、つまり女性の言葉には息をのみました。8月の弁天小僧で
はあくまでも男が女に化けているという面白みを持たせた発声だったと思いま
すが、こちらはどう聞いても女形の声。低めのいいお声に聞き惚れます~。
北の方聞きもあへず、「いづらや、いづら」
走り出て夫を迎える北の方(大納言佐殿)。御簾の外には夫の姿が・・・。
重衡は妻のほうをじっと見たまま、すでに涙目になっています。
二人ともしばらく声も出ず、ただ立ったまま。
藍摺の直垂(ひたたれ)に折烏帽子着たる男の、痩せ黒みたるが
縁に寄り居たるぞ、そなりける。
北の方御簾の際近く寄ッて「いかに、夢かや現か。これへ入りたまへ」
と宣ひける御声を聞きたまふに、いつしか先立つものは涙なり。
(重衡の少し乱れた髪には苦労がしのばれます。でも、その目元、口元は隠
しようのない気品と色気が感じられ、あはれの中に美しさが匂い立ちます♪)
中に入り、ようやく自分の身に起こった事を涙ながらに話した後、いまこう
して逢えたので、もう思い残すことはない、と重衡。
ここで烏帽子の下の額の髪に手をやり、引き分けて口の届くところで喰いち
ぎって妻に手渡します。その一連のきれいな所作がいっそう哀れ。
「これを形見に御覧ぜよ。」
髪を持った手に妻の手を重ね、見つめ合う二人。
最後に妻は、夫が着ていたみすぼらしい服を着替えさせます。
(袷小袖に白の浄衣に着替えた重衡には高貴な風情さえ感じます。でもこれが
死装束になることは二人ともわかっているんだよね~。)
三位中将これを着替へて、もと着たまへるものどもをば、「形見に御覧ぜよ」
とて、置かれけり。
この「形見に御覧ぜよ」には特に情感がこめられています。
最後の言葉を残す重衡のなんとも切ない表情。これにかぶる妻の悲痛な声。
その喚き声ははるか家の外まで聞こえたという・・・。
その後、重衡は木津川の河原で斬られ、これにて清盛の男の子供は絶えて
しまったのでした。
・・・・・・
この撮影がいつ頃のものなのか、はたまた発売されているDVDと今回のTV
放送が同じものなのか、にわかファンの私には全くわからないのですが、推
測するに、たぶん今より何年か前のものなのでしょう。
幅広く様々な役を演じておられる愛之助さんのなかでも、とりわけ哀しく
美しい。それが平重衡じゃないでしょうか。
緊急・告!明朝の番組に愛之助さんが♪(このブログ内の関連記事)
第12回 平家一門断絶
なにぶん放送を見たのが初めてなので、ちょっととまどいました。
これってメインは「語り」なのですね。その部分が朗読だったり、上原まり
さんのような琵琶奏者の語りだったり。
映像はむしろ補足でついている感じ。
しかも、語り手自身がその役を演じていたりもする、不思議な構成。
平家一門断絶3エピソードのうち、愛之助さんが登場するのは2つ目。
平清盛の生き残った最後の子である、平重衡(しげひら)役です。
映像では愛之助さんが和服で朗読している姿と、物語の中の重衡役を交互に
見せてくれます。ちなみに重衡の妻役は若村まゆみさん。大納言佐殿(だい
なごん すけどの)、または北の方、と呼ばれています。
<物語>
一の谷の戦いで捕虜となっていた重衡は、奈良の寺社に身柄を移すため鎌倉
から連行される途中、妻である大納言佐殿に逢うことを許されました。
(佐殿は壇ノ浦で入水後、捕えられ、その後、生き延びて隠棲していた。)
朗読と映像は、妻の暮らす家に重衡が立ち寄った時の様子を描いたもの。
以下、約6分。朗読(青字)と映像と私の雑感を混ぜて書いています。
<朗読と映像>
愛之助さんの朗読、凄くいいです。
地の語りの部分は静かな抑えた口調で語られ、反対に会話部分では感情がこ
もり、ぐっと引き込まれます。
とくに大納言佐殿、つまり女性の言葉には息をのみました。8月の弁天小僧で
はあくまでも男が女に化けているという面白みを持たせた発声だったと思いま
すが、こちらはどう聞いても女形の声。低めのいいお声に聞き惚れます~。
北の方聞きもあへず、「いづらや、いづら」
走り出て夫を迎える北の方(大納言佐殿)。御簾の外には夫の姿が・・・。
重衡は妻のほうをじっと見たまま、すでに涙目になっています。
二人ともしばらく声も出ず、ただ立ったまま。
藍摺の直垂(ひたたれ)に折烏帽子着たる男の、痩せ黒みたるが
縁に寄り居たるぞ、そなりける。
北の方御簾の際近く寄ッて「いかに、夢かや現か。これへ入りたまへ」
と宣ひける御声を聞きたまふに、いつしか先立つものは涙なり。
(重衡の少し乱れた髪には苦労がしのばれます。でも、その目元、口元は隠
しようのない気品と色気が感じられ、あはれの中に美しさが匂い立ちます♪)
中に入り、ようやく自分の身に起こった事を涙ながらに話した後、いまこう
して逢えたので、もう思い残すことはない、と重衡。
ここで烏帽子の下の額の髪に手をやり、引き分けて口の届くところで喰いち
ぎって妻に手渡します。その一連のきれいな所作がいっそう哀れ。
「これを形見に御覧ぜよ。」
髪を持った手に妻の手を重ね、見つめ合う二人。
最後に妻は、夫が着ていたみすぼらしい服を着替えさせます。
(袷小袖に白の浄衣に着替えた重衡には高貴な風情さえ感じます。でもこれが
死装束になることは二人ともわかっているんだよね~。)
三位中将これを着替へて、もと着たまへるものどもをば、「形見に御覧ぜよ」
とて、置かれけり。
この「形見に御覧ぜよ」には特に情感がこめられています。
最後の言葉を残す重衡のなんとも切ない表情。これにかぶる妻の悲痛な声。
その喚き声ははるか家の外まで聞こえたという・・・。
その後、重衡は木津川の河原で斬られ、これにて清盛の男の子供は絶えて
しまったのでした。
・・・・・・
この撮影がいつ頃のものなのか、はたまた発売されているDVDと今回のTV
放送が同じものなのか、にわかファンの私には全くわからないのですが、推
測するに、たぶん今より何年か前のものなのでしょう。
幅広く様々な役を演じておられる愛之助さんのなかでも、とりわけ哀しく
美しい。それが平重衡じゃないでしょうか。
緊急・告!明朝の番組に愛之助さんが♪(このブログ内の関連記事)
本当にいい内容なので(1回しか見てませんが)
テレビ東京でも放送してほしいですよね。
それになんといっても愛之助さんの朗読が聞けるなんて
貴重ですもんねえ。
ぜひみんなでテレビ東京にメールを送りましょう♪
DVDはさすがに手が出ませんね…。テレ東メール作戦、私も参加してみます♪
http://www.hagoromo.com/heike/index.html
いろいろ調べていると平成17年に「平家物語の夕べ」というイベントの第5回に愛之助さんが
出演されていますね。
http://www.heikemonogatari.jp/thepast%20.html
DVD制作はこの時期なのでしょうか。
なにげにこの過去のイベント、出演者が豪華!!最新イベントの11月5日(木)大阪市中央公会堂の分には秀太郎さんが。
朗読イベントってどういう感じなのでしょうね。気になります。
http://www.heikemonogatari.jp/event.html
またまたありがとうございます。
あれは4年前の愛之助さんなんですかぁ~♪(はぁと)
どうなんでしょうか。
先日のTVでも愛之助さんのほかに、緒川たまきさんと
上原まりさんが語り手として登場されましたが、よかったです。
役者さんの朗読って魅力ありますね。
11月のイベントもふだん、それぞれ活躍の場が違う方たちで
味わいがいろいろあって楽しいんじゃないでしょうか。
平日じゃなければ行きたいんですけど・・・。
あ、テレ東メール作戦、やってみましょうね♪