公演名 | 松竹大歌舞伎 夜の部 |
劇場 | 神戸文化ホール 大ホール |
観劇日 | 2006年9月9日(土) 16:30開演 |
座席 | 2階 2列(最後列) |
平成18年度 東・西コース 松竹大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露
夜の部
一、十八代目中村勘三郎襲名披露 口上
二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 木の実 小金吾討死 すし屋
昼の部で観た「身代座禅」は勘三郎さんの祖父、六代目尾上菊五郎さんが初演し
たもので、菊五郎家の家の芸を集めた<新古演劇十種>の一つだそう。
家の芸。勘三郎さんがひたすら先代を真似ることで芸を習得していったいう意味が
それで少しわかった気がする。
夜の部の口上ではこんなふうに言われた。
「いがみの権太の役は祖父も父も、粋に、カッコよく演じるよう心がけてたんで
すが、僕はちょっと違うように演じたいと思います。人間臭くやります・・・」
家の芸ではないこの役に関しては、先代をただ真似ることはしないという。
歌舞伎の古典のなかでも、役によって勘三郎さんがスタンスを変えているのだと
知った。(なにぶん歌舞伎ビギナーな私。)
「義経千本桜~木の実、小金吾討死、すし屋」
「義経千本桜」は源氏に敗れたあとの平家の武将たちの後日談を描いたもので、今
回の公演では三段目のなかから3つの場面を取り上げて上演。
勘三郎さんは、いがみの権太の役。実質、この役が主役といってよいと思う。
初見だったけれど、パンフレットの詳細なあらすじを事前に読まなくてヨカッタ。
いがみの権太という人物がとことん悪いヤツだと思いながら<おとっつぁん>と
いっしょにだまされたから、最後にいっしょに泣けたんだと思う。
旅人をだましてお金をまきあげたり(これがかなり巧妙。クライマックスの伏線に
もなっている)、親に金を無心したり。お芝居が始まってから、権太=ならず者と
いう図式が私の中にどんどん蓄積されてゆく。
とはいえ、権太はなんともお茶目で憎めない。(勘三郎さんのキャラとかぶる。)
権太のおとっつぁん、鮓屋弥左衛門(坂東弥十郎さん)。父は自分の子は根っから
の悪党だろうと決めてかかっているフシがあって、そのねじれた親子関係がラスト
の悲劇につながっていく。ほんとによくできたお話だと思う。
が、感動的なラストで涙ぐみながら私は、実は予期せぬデキゴトと闘っていた。
年末にも勘三郎さんの「義経千本桜」があると知り、急遽取った座席は2階最後列。
大阪の松竹座では3階最後列で観てもすごく感動したのに。
神戸文化大ホール2階最後列の眺めはあまりに無慈悲な遠さだった。
持参の双眼鏡を多用し、凝視しすぎたせいで後半はほとんどプチ船酔い状態。
(舞台は「大物の浦」じゃなく「すし屋」なのに・・・。)
おまけにイヤホンから聞こえてくる台詞は、座席で聞く実台詞と微妙に時差がある!
表情が見たい。見ると目がまわる。顔が見たい。見ると吐き気が。
双眼鏡はあきらめ、ラストは悲劇の輪郭だけを見届けることに。
あの時、権太はどんな表情をしていたんだろう・・・・・・?(涙々々)
次回もしも機会があったら、いがみの権太だけは前の席で観たい~~~!!
そんなワケで、ゆっくり感動に浸ってはいられなかったけれど、わかったことは、
何より権太はおとっつぁんが大好きらしいということ。
父親が平維盛(中村扇雀さん)をかくまっていることが梶原景時による詮議でバレ
ないようにと、自分の妻子まで差し出して一世一代の大芝居を打ったのに。親孝行
をしたのに。瀕死の状態で権太が親を想う気持ちが一番切なかった。
あとから梶原はすべて承知で、権太のやったことがすべて意味のないことだったと
わかった時の理不尽さには呆然としてしまった。
勘三郎さんは人間臭い役とは言ってたけれど、カッコよさがないわけではない。
片肌脱いだ着物の裾をからげている姿は粋で、ビジュアル的にとても素敵だった。
「小金吾討死」での七之助さんの小金吾は、大勢を敵に回しての大立ち回りがやた
らカッコイイ。その小金吾、怪我で出演できない勘太郎さんの代役だったが、七之
助さんは続いて権太の妹、お里役で登場。源氏に追われて身を隠す維盛のことをそ
うとは知らずに好きになったという役どころ。娘のおきゃんな感じとか、維盛を口
説く時の演技がコミカルでうまいなあと思った。
権太の女房役の中村芝のぶさんはアカ抜けた艶っぽさがあった。
幕間のインタビューをまとめたいけれど、週末になりそう。
(もしもお読みくださっている方がいらっしゃったらごめんなさい!
必ずアップしますが少し遅れそうです。9/17追記)
「浅草に江戸芝居小屋をつくる会」の署名はこちら
松竹大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露 昼の部 □観劇メモ
(このブログ内の関連記事)
松竹大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露 観劇メモ番外編(1)(このブログ内の関連記事)
松竹大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露 観劇メモ番外編(2)(このブログ内の関連記事)
ありゃ~~~そんなことがあったですね。
集中してたら起こりえそうなことで、もう
お気の毒・・・としかいえない。
しかし、トイレに駆け込むことも無く最後まで
見れてよかったですね(・・・って、そうか?!)
それはそうと、うん♪♪うん♪
確かにめっちゃかっこよかったですよね♪勘三郎さん♪
おうちに帰ってすぐ、2人の対談見させて
頂いたのですが、熱い人達は
カッコイイ♪
豊エツのように背が高くなくても、キムタクのように
見た目がどうこうじゃなくても
カッコイイ人はカッコイイね~~~♪
私が持ってるのはオペラグラスじゃなくデカ~イ双眼鏡なんですよ。(アッハッハ!)。ソレ持ってずうっと凝視してたら、ちょっとした手ブレで画面が波に揺られてる感じになってしまったみたいで(笑)。2階席といっても、勘三郎さんが3階と間違えるくらい一段高くて遠かった~。
つまり、そんな席で観るくらい観客が多かったってことですね! 大ホール2,043席がほぼ満席!! ほんにこの方は人気役者ですなあ~♪ タイトルの言葉は幕間に勘三郎さんが語った言葉です。
対談、いいでしょ! かずりんさんに見てほしかったんです。そっ。カッコイイ人と思える人がカッコイイ(笑)。
こちらは運良く2階の最前列でした。
「すし屋」は、筋書きを知っていても泣けました。勘三郎さんの演技が誘った涙だったと思います。ほんとうにうまいなあ、と感心すると同時に、芝居にかける情熱をいつも舞台から感じています。
「千本桜」もヨカッタですが、口上がこれまた素晴らしかったですね。勘三郎さんは、いつも、どうやれば客席に自分が近付いていくことができるのかを考えて舞台を作っているように見えます。舞台を通じて、これほど親しみを感じさせてくれる歌舞伎役者は、そういないのではないかと思います。
そうそう。勘三郎さんの舞台には、よく女性の大向こうさんから声がかかりますね。ほかの役者さんでは、あまり聞かないけど。
あの2階席でごいっしょだったのですか。嬉しいです!!
筋書きを知ってても泣ける! ごもっともです。
歌舞伎のほとんどが皆さんごぞんじの筋書きですものね。それをいろんな役者さんが毎回どんなふうに演じるか、また同じ役者さんでも年齢を経てどのように変わっているか、そういう点も大きな見どころなんでしょうね。
私はまだ歌舞伎ビギナーですが、勘三郎さんを初めて観劇したときにその人気の理由がわかりました。女性の大向こうさんから声がかかるって、イイナァ~。あの普通の文化ホールでも声がかかってましたよね。
年末の南座にもまた行くつもりです。よろしかったらまたこちらにいらしてくださいませね。