「NINAGAWA十二夜」のプレトークを聞きに行った帰りのプチオフ。
歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」は一度も見たことがない~~~~~という私に
いい本があるから、とスキップさんが紹介してくださったのがこれ。
関容子さんの『芸づくし忠臣蔵』(文春文庫)です。
『芸づくし忠臣蔵』
おもしろーい!
(スキップさん、ありがとうございました!)
もっぱら通勤読書組の私は、毎回電車を乗り過ごしそうになりました(笑)。
ひらたく言えば、ひと頃流行った「○○○を10倍面白く見る方法」歌舞伎版
という感じなんですけどね。
著者である関容子さんの幅広い取材から引き出された歌舞伎芸談の数々。
それに恐るべき観察眼と、とてもありえない記憶力!
もちろん根底にあるのは歌舞伎への広く深い愛情。
私はといえば、そこに書かれていることをイチイチ脳内再現する作業付き。
大序から十一段目まで、さながら一人忠臣蔵をしちゃった気分です(笑)。
客席には見えていないところでどんなことが行われているか、とか。
上方と江戸ではどんなふうに見せ方が違う、とか。
あるいは同じ江戸でも、家によって、人によってどう表現が違うか、とか。
ちょっとエロティックな(?)お話とか。
立役が多い中で女形の役者さんがどんな想いで役を勤めておられるか、とか。
それを主な配役だけじゃなく脇役、その他大勢、鳴り物、附け打ち、大道具
にいたるまであらゆる人にインタビューして、まるでマルチアングルカメラ
で見るように構成していってるのが面白いんですね。
大序から十一段目まで。
ここに描かれているのは芝居に一生をかけている人たちの人生ドラマでもあ
るんだなあ~と(感涙)。
五代目上村吉弥さんのくだりで涙をこぼしているタイミングに、うめだ~、
うめだです~、と車内アナウンスが流れた時はマイッタけど(笑)。
この本の一番の自慢はここ!
つまり、キモの部分については読んでいるだけでは未見の私にはまったくわ
かりません。本当にそう見えるのかどうか、自分で感じとってから観劇メモ
で触れたいと思います。
明日、御園座「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」。昼夜通しで観劇です。
さすがムンパリさんのように熱心に読んでくださって、しかも脳内再現つきとはご紹介した甲斐もあるというものです。
あの時も申しあげましたが、歌舞伎好き、忠臣蔵好きのバイブルのような本ですが、普通の書物としてもとてもおもしろいですよね。
私もこの本を読んだ後は「仮名手本忠臣蔵」の見方もずい分影響を受けましたが、さて、ムンパリさんが御園座でどんなふうにご覧になったのか、興味シンシンです(笑)。
関容子さんが書かれた成田屋さんの本もよかったのですが、
この「芸づくし忠臣蔵」はさらにさらに面白かったです。
観劇にあたっては、大序の前の口上のこととか、贔屓の役者さん
の出の様子とか、前もって読んでおいて役に立ちました。
もちろん、一番のキモである、判官と勘平の見方についても。
逆に、本のことはカンペキに忘れて、舞台にのめり込んで
しまった場面もけっこうありました。
脳内再現の話ですけど・・・・・・
昔の役者さんはお名前は知ってても、お顔のわからない人が
多くて困りました。そんな時は知っている現代の役者さんに
顔が置き換わります。(←こまかっ! 笑)