野球映画は断然アメリカでしょ!
と思っていたけれど、アジアも全然負けていない。
夢と奇跡が詰まった嘘のようなトゥルー・ストーリーに大興奮。
で、気がついたら泣いていた。観終わった後は爽やか~。
1月24日。初日の大阪は高齢の人々から10代~20代ぐらいの若者
まで、本当に幅広い年齢層に人気のある映画だと実感した。
<TV番組>
2月15日(日)14:30~14:54 BSフジ
甲子園台湾代表?!KANO(カノ)感動の歴史秘話 情報
映画『KANO~1931海の向こうの甲子園~』の製作現場を訪ね、
撮影舞台裏から歴史に埋もれていた感動の物語に迫る。
まだ映画を観ていない人は、まずこれを見てくださいね!
*****************************************************
台湾の映画といえば「非情城市」と「牯嶺街少年殺人事件」ぐらい
しか知らなかった私が、急にこの映画を観たいと思ったのには
ささいな理由がある。
去年、玉岡かおるさんの『お家さん』を読んだときのこと。
その後半部分、鈴木商店が台湾に進出した件で、現地を統治する
日本人の様子に触れ、ふしぎな感慨を覚えた。
あれれ、今まで自分が想像していたイメージと違うぞ、と。
なさけないことに、いまこの歳になるまで知らなかった日本統治
時代の台湾のことを無性に知りたいと思った。
その後手探りで読んだのが、
『台湾人と日本精神ー日本人よ胸をはりなさい』(蔡焜燦 著)と、
『司馬遼太郎 街道をゆく40 台湾紀行』(司馬遼太郎 著)の2冊。
遅ればせながら、いまごろ一人プチ台湾まつりの最中なのだ。
背景を知っていればより映画を楽しめるけれど、もちろん、この
映画を観るのにそんな予備知識は全く必要なし。
<KANO~1931海の向こうの甲子園~ あらすじ>
日本統治時代に台湾代表で甲子園に出場し、決勝まで勝ち進んだ
嘉義農林学校=KANO(嘉農)の1931年の実話。
今まで一勝もしたことがない弱小チームを率い、甲子園をめざすの
は元松山商業の監督だった近藤兵太郎。
チーム最大の特徴は日本人、台湾人(漢人)、台湾原住民の混成
チームであること。民族の分け隔てなく熱血指導にあたる監督の
下、台湾予選をみごと勝ち抜き、夢の甲子園へ!
3民族の長所を結集したプレースタイルに次第にファンが増え、
ついに甲子園の決勝戦へ。最後まであきらめない彼らの渾身の
プレーにスタンドからわき起こる声援。その結果は・・・。
いやはや。まるでドラマの筋書きのような試合展開!
初期の甲子園球場を等倍のセットで再現したというそのリアリティ。
おかげで一球一球の出来事をまるでスタンドで見守るように観られた。
球児たちがほんとに一所懸命で、そのひたむきさに泣ける。
観終わったあとは清々しい気持ち。
生徒たちがそれぞれに個性があって、みな可愛い~♪
エースで4番の呉明捷役のツァオ・ヨウニンさんがほんとに魅力的。
一切笑わない男、近藤兵太郎監督を演じるのは、永瀬正敏さん。
鬼監督だけれど単純なスポ根モノに終わらないのは、一見無表情の
顔にも挫折を味わった男の弱さや苦しみがにじみ出ているから。
野球への情熱を断ち切れない男が、生徒たちといっしょにゼロから
一つ一つ勝ち取ってゆく過程は一人の人間の再生物語にもなっていて、
ドラマとして見応えがある。
嘉農の練習風景として、広大な農地の間を生徒たちがランニングする
シーンが何回も出てくる。
その農地に水を引く技師として登場するのが、大沢たかおさん演じる
八田輿一(はったよいち)。実在の八田輿一は台湾ではよく知られた
人物だそうで、東洋一と言われる烏山頭ダムを設計、施工した人。
国家事業に携わる技師が、現地の人とともに額に汗し働く様子に、
昔の日本人の誠実さの一端を見る思いがする。
嘉農が台湾で勝ち進んでゆく様子と、灌漑工事が完成に向かう様子が
リンクして、希望にふくらむ元気な台湾というイメージがした。
国家の思惑がどうであれ、大事なのは人間その人。
いま自分がやるべきことにどう向き合うか、なのだと思う。
灌漑事業に心血を注いだ技師も、自分の持てるすべてを注ぎ込み野球
の面白さを選手たちに伝えようとする監督も。そして、一球一球に
魂を込めて戦い抜く選手たちも。
誠実さ、ひたむきさ、あきらめない精神力。
人の心を打つのはいつの時代も、シンプルで普遍的なものだ。
イチ、ニイ、サン、小鳥さん~という歌がしばらく耳から離れず、
YouTubeで思わずリピート再生した。のんびり大らかで明るくて、
台湾人選手たちの気質、気分をよく表していると思った。
嘉義農林の濱田先生役の吉岡そんれいさん、いいキャラ~♪
パパイヤに釘、ってキュウソネコカミと同じ効果?
<メモ 司馬遼太郎『街道をゆく』より>
「千金の小姐」に嘉農の上松耕一選手(プユマ族)の話が出てくる。
また、「八田輿一のこと」には八田技師のことが書かれている。
それによれば、八田は機関車ではなく無蓋貨車に乗って移動していた
ためパナマ帽が風に飛ばされたことがあったらしい。
嘉義農林の野球部と八田輿一が出会うシーンで、そのエピソードが
うまく使われていた。トラックの荷台に乗った八田の帽子が風で
飛ばされ、それをランニング中の生徒がナイスキャッチするシーンだ。
と思っていたけれど、アジアも全然負けていない。
夢と奇跡が詰まった嘘のようなトゥルー・ストーリーに大興奮。
で、気がついたら泣いていた。観終わった後は爽やか~。
1月24日。初日の大阪は高齢の人々から10代~20代ぐらいの若者
まで、本当に幅広い年齢層に人気のある映画だと実感した。
<TV番組>
2月15日(日)14:30~14:54 BSフジ
甲子園台湾代表?!KANO(カノ)感動の歴史秘話 情報
映画『KANO~1931海の向こうの甲子園~』の製作現場を訪ね、
撮影舞台裏から歴史に埋もれていた感動の物語に迫る。
まだ映画を観ていない人は、まずこれを見てくださいね!
*****************************************************
台湾の映画といえば「非情城市」と「牯嶺街少年殺人事件」ぐらい
しか知らなかった私が、急にこの映画を観たいと思ったのには
ささいな理由がある。
去年、玉岡かおるさんの『お家さん』を読んだときのこと。
その後半部分、鈴木商店が台湾に進出した件で、現地を統治する
日本人の様子に触れ、ふしぎな感慨を覚えた。
あれれ、今まで自分が想像していたイメージと違うぞ、と。
なさけないことに、いまこの歳になるまで知らなかった日本統治
時代の台湾のことを無性に知りたいと思った。
その後手探りで読んだのが、
『台湾人と日本精神ー日本人よ胸をはりなさい』(蔡焜燦 著)と、
『司馬遼太郎 街道をゆく40 台湾紀行』(司馬遼太郎 著)の2冊。
遅ればせながら、いまごろ一人プチ台湾まつりの最中なのだ。
背景を知っていればより映画を楽しめるけれど、もちろん、この
映画を観るのにそんな予備知識は全く必要なし。
<KANO~1931海の向こうの甲子園~ あらすじ>
日本統治時代に台湾代表で甲子園に出場し、決勝まで勝ち進んだ
嘉義農林学校=KANO(嘉農)の1931年の実話。
今まで一勝もしたことがない弱小チームを率い、甲子園をめざすの
は元松山商業の監督だった近藤兵太郎。
チーム最大の特徴は日本人、台湾人(漢人)、台湾原住民の混成
チームであること。民族の分け隔てなく熱血指導にあたる監督の
下、台湾予選をみごと勝ち抜き、夢の甲子園へ!
3民族の長所を結集したプレースタイルに次第にファンが増え、
ついに甲子園の決勝戦へ。最後まであきらめない彼らの渾身の
プレーにスタンドからわき起こる声援。その結果は・・・。
いやはや。まるでドラマの筋書きのような試合展開!
初期の甲子園球場を等倍のセットで再現したというそのリアリティ。
おかげで一球一球の出来事をまるでスタンドで見守るように観られた。
球児たちがほんとに一所懸命で、そのひたむきさに泣ける。
観終わったあとは清々しい気持ち。
生徒たちがそれぞれに個性があって、みな可愛い~♪
エースで4番の呉明捷役のツァオ・ヨウニンさんがほんとに魅力的。
一切笑わない男、近藤兵太郎監督を演じるのは、永瀬正敏さん。
鬼監督だけれど単純なスポ根モノに終わらないのは、一見無表情の
顔にも挫折を味わった男の弱さや苦しみがにじみ出ているから。
野球への情熱を断ち切れない男が、生徒たちといっしょにゼロから
一つ一つ勝ち取ってゆく過程は一人の人間の再生物語にもなっていて、
ドラマとして見応えがある。
嘉農の練習風景として、広大な農地の間を生徒たちがランニングする
シーンが何回も出てくる。
その農地に水を引く技師として登場するのが、大沢たかおさん演じる
八田輿一(はったよいち)。実在の八田輿一は台湾ではよく知られた
人物だそうで、東洋一と言われる烏山頭ダムを設計、施工した人。
国家事業に携わる技師が、現地の人とともに額に汗し働く様子に、
昔の日本人の誠実さの一端を見る思いがする。
嘉農が台湾で勝ち進んでゆく様子と、灌漑工事が完成に向かう様子が
リンクして、希望にふくらむ元気な台湾というイメージがした。
国家の思惑がどうであれ、大事なのは人間その人。
いま自分がやるべきことにどう向き合うか、なのだと思う。
灌漑事業に心血を注いだ技師も、自分の持てるすべてを注ぎ込み野球
の面白さを選手たちに伝えようとする監督も。そして、一球一球に
魂を込めて戦い抜く選手たちも。
誠実さ、ひたむきさ、あきらめない精神力。
人の心を打つのはいつの時代も、シンプルで普遍的なものだ。
イチ、ニイ、サン、小鳥さん~という歌がしばらく耳から離れず、
YouTubeで思わずリピート再生した。のんびり大らかで明るくて、
台湾人選手たちの気質、気分をよく表していると思った。
嘉義農林の濱田先生役の吉岡そんれいさん、いいキャラ~♪
パパイヤに釘、ってキュウソネコカミと同じ効果?
<メモ 司馬遼太郎『街道をゆく』より>
「千金の小姐」に嘉農の上松耕一選手(プユマ族)の話が出てくる。
また、「八田輿一のこと」には八田技師のことが書かれている。
それによれば、八田は機関車ではなく無蓋貨車に乗って移動していた
ためパナマ帽が風に飛ばされたことがあったらしい。
嘉義農林の野球部と八田輿一が出会うシーンで、そのエピソードが
うまく使われていた。トラックの荷台に乗った八田の帽子が風で
飛ばされ、それをランニング中の生徒がナイスキャッチするシーンだ。