「mRNAは非常に壊れやすく、人体に長期間影響を及ぼさないから安全だ。」などと言っていた専門家もいましたが、確かに一般的なmRNAは壊れやすいことは事実でした。それを改善するために、ノーベル生理学・医学賞を受賞したカリコ博士とワイスマン博士が注目したメッセンジャーRNA(mRNA)の改善方法がありました。
細胞内で作られるmRNAの塩基は化学的な修飾を受けていることに着目し、そうした修飾をもった人工mRNAを合成して細胞に導入しました。すると免疫細胞は人工mRNAを異物と認識せずに炎症反応が起きなかったのです。この発見をもとに、人工的にmRNAを合成するときにウラシル(U)とリボースが結合した物質であるウリジンを、構造がわずかに異なるシュードウリジンやその誘導体である1-メチル-シュードウリジンに置き換えると、体内で炎症反応が劇的に抑えられることを2005年に報告しました。2008年と2010年には、塩基を修飾したmRNAを使うと、体内で作られるタンパク質の量が著しく増えることも発見しました。
修飾されたヌクレオシド(例えば、メチル化やウリジンの修飾)を使用することで、mRNAの分解を防ぎ、安定性を高めることができます。修飾されたヌクレオシド(例:1-メチルプソイドウリジン)の使用により、分解酵素(リボヌクレアーゼ)による分解を減少させることができるのです。
他にも、特定の配列を選択してmRNAを最適化することで、二次構造の形成を抑制し、分解を防ぐことができます。(配列最適化)
mRNAをリポソームやナノ粒子で包むことで、細胞内での分解を防ぎ、効果的に標的細胞に届けることができます。リポソームは、脂質(二重層)で構成された小さな球状のキャリアです。細胞膜の成分に似ているので、生体内での親和性が高く、薬物や遺伝子治療の運搬体として優れています。薬物を効率的に標的細胞に届けるために設計されています。
また、キャップ修飾も安定化に寄与しています。mRNAの5'末端にキャップを付け、3'末端にポリアデニル化することで、翻訳効率を向上させ、安定性を保つことができるのです。
最初はmRNAワクチンも、-75℃という超低温での保管が必要だとか、衝撃でmRNAが分解するとか言われていました。今はどうでしょう?
安定化の改善のおかげで、mRNAを体内に入れてもいろいろな細胞への輸送が行われて、希望の場所でない正常な細胞にmRNAが侵入しスパイクタンパク質(抗原)を作り出すのです。そして自然免疫系の素晴らしいシステムを混乱させて、いろいろな障害を起こすのです。
実際ワクチン接種後何カ月後でもスパイクタンパク質が生成されたり、死亡原因になった組織にスパイクタンパク質が残っていたりするのです。