海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん(指定難病141)のページを更新
- てんかん原性焦点を側頭葉の内側に有する部分てんかんで、かつ病理学的に海馬硬化を呈するもの。推定病因、臨床経過、発作症状、脳波所見、画像所見などがおおむね共通している。上腹部不快感などの前兆、強直や自動症を伴う複雑部分発作を認める。薬物治療に極めて抵抗するが、一側の海馬硬化症の場合は外科的治療の成績はよい。
- 【原因】
- 不明。4~5歳以下の乳幼児期に先行損傷の既往(熱性けいれん、熱性けいれん重積、外傷、低酸素性脳症、中枢神経感染症など)をもつ症例が多いが、全例ではない。MRIで海馬硬化を示唆する海馬萎縮とFLAIR法での海馬の高信号を認める。海馬硬化及びてんかん原性が獲得される過程には、先行損傷、年齢、遺伝負因、形成障害など、多くの要因が複雑に関与していると考えられる。
- 【症状】
- 上腹部不快感などの前兆の後に(前兆がない場合もある。)意識減損し、強直あるいは口や手などを動かす自動症を呈するてんかん発作を示す。発作自体の持続は数分程度であるが、発作後にもうろう状態となり、意識が清明となるまでに更に数分経過することが多い。ときに二次性全般化発作もみられる。記憶障害などの認知機能障害、抑うつ、精神病などの精神医学的障害を伴うこともある。
- 【治療法】
- 抗てんかん薬による初期の薬物治療で発作がいったん寛解することもあるが、再発した後は難治に経過する。一側性の海馬硬化症の場合は、扁桃体、海馬及び海馬傍回を含む側頭葉内側構造を外科的に切除することにより約80%の症例で発作は消失するが、両側性での外科的治療は難しく、また、術後に発作が残存する場合には発作抑制は非常に困難である。
<出典:難病情報センター>
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