特定非営利活動法人精神医療サポートセンター

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大阪都構想(大阪市廃止分割構想)は、精神障害福祉サービスを‟確実に”低下させる

2020年10月31日 | 精神科看護

 

 

 

『大阪市廃止・特別区設置』に関する住民投票が令和2年11月1日に実施される。

 

 

これが、いわゆる大阪都構想だ。大阪都構想の賛否を判断するにあたり、巷では、情報が大氾濫し、一般の方はもはや何をどう信じたらいいのかわからない状況となっていることだろう。

 

大阪都構想の真実については、こちら

 

都構想の真実 「大阪市廃止」が導く日本の没落 

https://www.amazon.co.jp/%E9%83%BD%E6%A7%8B%E6%83%B3%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E3%80%8C%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%B8%82%E5%BB%83%E6%AD%A2%E3%80%8D%E3%81%8C%E5%B0%8E%E3%81%8F%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%B2%A1%E8%90%BD-%E8%97%A4%E4%BA%95-%E8%81%A1/dp/4899920725/ref%3Dpd_rhf_dp_p_img_4?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=D74J0E0EC3158PREG9AR

を参照すると手っ取り早いのだが、

 

 

まず都構想の支離滅裂さを理解するにあたり、以下の事実を知る必要がある。

 

「大阪市が廃止されても、大阪都にはならない」

 

つまり、大阪市(政令指定都市)という強大な自治権を放棄し、大阪府に各種判断をゆだねることになるのだ。こうした事実は、大阪市民には十分に理解されていない(分割区の区長にも各種判断を委ねる等の考えのようだが、自治権は政令指定都市とは雲泥の差であることは明々白々)。

 

そして、大阪市廃止を推している者の大半は

 

「住民サービスは向上する」

 

と連呼する。しかしそんなお花畑の発想はありえない。

大阪市を廃止し、それが4つに分割される事態を真剣に想像してみてほしい。

 

現在の大阪市制度を廃止し、4つの分割区を新たに設けるということは、3万人以上の大阪市職員を再配分する(しかも役割は、再配分してから考えるらしい、、、)わけであるから、実際に生じる費用やコストは膨大に増加することは火を見るより明らかで、分割された大阪市が大混乱することは間違いない。この事実から、「サービスが向上する」といわれても、もはやそれは、「大阪都」という北の楽園とをイメージするほかないのである。

 

大阪市の廃止・分割は、ざっくりと考えて、200億円ほどのコストが必要になるといわれている。これをデマだと騒ぐ方々がいるが、大阪市を廃止し、新たに4つの分割区を設置するにあたり、費用やコストが発生しないということの方がどう見てもデマであることは、冷静に考えてみればわかる話である。

 

二重行政を解消することで無駄が省けて1.1兆円の金が浮く、という都構想推進派のチラシも目にするが、そんな錬金術はあり得ない。費用的・時間的・物理的コストがどれだけ莫大に膨らむか、普通に現場レベルで想像して考えればわかる話だ。そもそも二重行政などと言う概念に誤りがあるなかで、世論が誘導されていること自体に大きな問題がある。大阪府の中にある大阪市、いずれも『大阪』という言葉が同じなだけで、二重行政と言うプロパガンダがいまだに流布される始末となっている。兵庫県の神戸市、愛知県の名古屋市、というと、神戸市を廃止しようとも思わないし、名古屋市を廃止しようとも思わない、ところが、大阪府の大阪市、となると「二重行政だ!」と騒ぐ始末である。定義が無茶苦茶なこの二重行政(ここでいう大阪市を廃止することで二重行政が解消されるという支離滅裂な発想)を解消することで無駄が省けるのなら、日本中の市制度を廃止すればいい(これはつまり地方自治権の破壊)ということになる(つまるところ、大阪周辺の市制度を破壊して、大阪都を目指し、道州制にもっていきたいのだろうが、それは都構想と同じくらいばかげた話である)。都構想推進派は、都構想を正当化させる理由の一つに、大阪府市の対立をその理由にするが、それなら、「日本政府と大阪府の意見が対立した場合も、大阪府を廃止して、分割区を設置する」のだろうか、都構想はそのくらい無茶苦茶な話なのである。言い出せばきりがないが、「大阪の成長を止めるな!」と言っている集団があるが、大阪はこのデフレ下で、他府県より成長していないことも知っておく必要があるだろう。騙されてはいけない。勉強すればするほど、大阪都構想がいかに怪しい代物かということがわかってくる。シルク姉さんがその良い一例だと思う。

 

したがって、ありもしない二重行政を解消(つまり、大阪市を廃止)することで、「住民サービスは向上します」と言われても、ただの虚言としか捉えようがない。実際に、どのようにサービスを整え、金が動き、住民サービスが向上するのか、イメージばかりが語られ具体的な説明はどこにもない。実際は、教育・防災・経済・何もかもが破壊される。そもそも、あらたに4つの分割区を設置することは手間(というか、壮大な無駄!)でしかないわけであるから、サービスが向上する根拠を説明できるはずがない。(あまり知られていないが)4つの分割区にしたうえ、分割区の上に「一部事務組合」というものを設置する(つまり、バーチャル大阪市を作り直す、、、)というのであるから、もはや意味不明である。二重行政を解消するといって、新たな階層をつくるのだから、2重行政どころか3重行政を生じさせることになる。

 

このようなことから考えると、大阪市を廃止して4つの分割区を設置することで、大阪市の精神障害福祉サービスの質はどうなるのか、当事者の手続き等からはじまり地域の保健師などの活動などにも大混乱をきたす、サービスが著しく低下することは免れないだろう。

 

精神障害福祉サービスを維持するため、大阪市民には明日の住民投票で、大阪市の廃止をなんとか阻止していただきたい。

 

※ちなみに、「これまでの住民サービスが十分じゃなかったんだから、大阪市を廃止して4つの分割区を設置すべきなんだよ!」という論理は支離滅裂であることをここで確認しておきたい。これまでの大阪市サービスが不十分であったとしても、その問題を解決するために、大阪市廃止という恐ろしいデメリットを被ってまでやることではないし、そもそも解決しないだろう。やるべきは大阪市を維持したまま改善を目指すことだ。比喩的には、家にゴキブリが出たときに、そのゴキブリをやっつけるのに、ダイナマイトで自宅を破壊するようなほど無茶苦茶な発想なわけである。自宅が破壊されてしまえば、ゴキブリ退治よりも失うものが甚大すぎる。そもそも、自宅を爆破したのに、ゴキブリはその自宅にいなかったというようなことも十分あり得る。つまり、ただの自爆に終わる可能性が十分にあるのである。大阪市諸々の課題を、大阪市を破壊して解決しようとする。これが、大阪都構想の(無茶苦茶な)発想である。

 

※ちなみに、都構想に対する対案はあるのかとよく言われるが、大阪市を廃止せず、政府からの交付税交付金を調整し、積極財政を敷くことがその対案である。政府と協調して、大阪府市が、インフラ網を整備、あらゆるサービスに適切なところに適切な資金を大量投入することが対案である。都構想は、基本的に支出を削って、資金を捻出しようとする緊縮の発想である。したがって、公務員の給与や人員を削り、サービスの低下を招いてきた現状、大阪市が廃止されるとそのスピードの拍車がかかるだろう。市民病院が二重行政だといわれ廃止され、コロナ禍で迅速な医療サービスが提供できなかったのがその一例だ。

 

 

※一部事務組合について、各分割区に設置するのではなく、「4つの分割区に1つの一部事務組合を設置する」というのが正しい認識でした。2020年11月19日訂正いたしました。


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