レバレッジで損失が大きくなるという意味ではなく、レバレッジを使う投資信託等では株価等が上下すると基準価格が目減りしていく基本的な性質があるということである。自然減価と言っている人もいる。
前の記事ではレバレッジ型投資信託の最近の状況(レバレッジ型投資信託が悲惨な状況)を確認した。最近の相場環境のせいで大きく下げているのであるが、レバレッジ型の基本的性質を知らずに購入したりしている人がいると不幸なことなので、数値を出して補足しておきたい。
まずレバレッジなしで考える。最初100円だったものが、10%下がって90円になり、次に11.11%(正確にはずっと1が続く)上がって100円に戻るとする。10%の上昇だと99円にしか戻らない。
同じ値動きだとして、レバレッジが3倍の場合について考える。10%下がるとレバレッジが効いて30%下がって70円になる。次に11.11%上がるときもレバレッジが効いて33.33%上がるが、元本の減りが大きいので93.33円にしか戻らない。10%の上昇だとレバレッジで30%の上昇になるから91円にしか戻らない。
このような値動きを繰り返した場合の価格の変化をグラフ化すると、以下になる。
下げ上げを5サイクル繰り返したとすると、投資対象の株価等が元の100円に戻った場合でも、レバレッジ3倍の投資信託の場合は70.8円にしか戻らない。10%の下げ上げパターンだと、株価等は95.1円まで下がるが、レバレッジ3倍の場合は62.4円にまで下がる。これがレバレッジの損失拡大効果(私の命名)である。
これは割とよく知られている話ではあるが、レバレッジ型の投資信託を売る人は多分きちっと説明してくれないだろう。もちろん、上記のような単純な動きにはならないが、値動きがある以上、程度の差はあっても必ず生じるレバレッジ型の基本的性質である。複利効果のマイナス面であるともいえる。
同じ資産構成の割合であっても、レバレッジ3倍の投資信託を100買うのと、レバレッジなしの投資信託を300買うのでは必然的に値動きの結果が変わるのである。順調に右肩上がりを続けていればレバレッジ型は効率よく儲けられることになり、この性質はあまり分からないし、気にならないと思う。しかし、最近の米国株のように上下が激しいとかなり効いてくる。レバレッジ型投資信託に投資する場合、このことをきちっと理解した上で投資してほしいと思っている。