単年/累計損益の推移グラフ
お恥ずかしいグラフなのだが、私のFXの単年/累計損益の2007年以降の推移が以下のグラフだ。生々しいので縦軸の金額等はカットした。
2008年9月15日のリーマンショック後（正確にはその後の10月の為替変動時）には投入資金を増やしていた全てのFX口座が連続的に強制決済になり、年収を上回る損失を出してしまった。少しずつ取り返してはいるが、まだ46%ほどの回復率に過ぎない。
巨額損失時の不思議な感覚
FXで巨額損失を出した時、少し現実感のないようなフワッとした気持ちになったのを覚えている。それがショックを受けた状態ということなのかもしれない。じんわりと深いダメージは受けたのは確かだが、食欲がなくなるとか、仕事が手につかないとかはなかった。リスクが増大しているのを覚悟して余裕資金でやっていたし、それまでの株式売買による累計利益よりは小さかったから精神的に耐えられたのだと思う。
サブプライムローン問題は周知の事実
リーマンショックのずいぶん前からサブプライムローンの問題はよく知られていた。象徴的な出来事も何度もあった。代表的なのは、以下の2つかな。
2008年3月には当時米投資銀行5位のベアー・スターンズが実質破綻し、ニューヨーク連銀の緊急融資とセットでJPモルガン・チェースに救済買収されるのが決定した。
2008年9月に入ってファニーメイやフレディマックの住宅金融公社救済も決定した。
米政府、ファニーメイとフレディマックを政府管理下に - ロイター
これらの出来事に加え、たくさんの解説記事も出ていた。当時、私でもこれだけ目にするぐらいだから、この問題は既に相場に織り込まれただろうと考えていた。大間違いだったが、それは多くの専門家も一緒だった。悲観論を言うのが好きで、たまたま当たったという評論家的な人もいたと思うけど。
ごく一握りだが、問題の根深さを正しく認識し、この機に乗じて大もうけした人もいた。『世紀の空売り 世界経済に破綻に賭けた男たち』というベストセラーがあり、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』という映画にもなった。
負けているのにポジション拡大
リーマンショックは、リーマンの破綻そのものよりも、それを受けた大量のデリバティブの崩壊とそれが各国にもたらした金融危機の影響が極めて大きかった（後だから言える）。リーマンショック時には各FX口座でずいぶん評価損が出ていたが、逆に今が大きく儲けるチャンスだと思い、資金を追加投入しながらさらにポジションを膨らませてしまった。欲ボケであり、後で冷静に考えれば、リスク管理が甘くなって典型的な失敗パターンにはまっていた。本来は、ポジションを減らして何とか耐え切ればよかったのだ。
強制決済されたFX口座の中には、スパイク的に下げた瞬間に決済され、証拠金残高がマイナスになった口座もあり、穴埋めを余儀なくされた。FXに投入した資金のほぼすべてを失い、気力も失って、少しの間はFXから遠ざかった。当時、取引所FX以外は損失の繰り越しすらできず、巨額損失だけが残った。
FXの損はFXで挽回
リーマンショックで手ひどいダメージを負ったが、FXの損はFXで取り戻そうと、少しずつ資金を追加してFXを再開した。その辺りの資金確保は定期収入のある会社員（当時）の強みだ。資金が減ったし、用心深くなってレバレッジを下げているので、少しずつしか挽回できてない。また、利益が出たら税金も引かれるので余計に時間がかかり、上述の通り未だ46%ほどしか挽回できていない。生きている内（ボケてしまわない内）に100%挽回したいと思っている。
リスク管理の重要性
今日の記事は、私の長年の資産運用の中で過去最大の失敗の話だ。これを乗り越えて、ＦＩＲＥ（早期退職の一番の理由は辞めても暮らしていけること）を達成できたのだが、それまでの資産運用結果の積み上げがあったからこそ、家計的にも精神的にも大丈夫だった。
自分と家族の生活を守るためにリスク管理は極めて重要だ。まさかと思うことも10年単位で見れば結構な頻度で突然起きる。ブラックスワンというやつだ。無理をしていて大失敗したら、再起不能になりかねない。
私は、これまでの自分の実践経験を紹介しながら、資産運用はした方がいいと思って少しは役立ちそうな記事を書いているつもりだ。そのため、資産運用を推奨する記事が多いが、資産運用が人生の足を引っ張ることがないよう、皆さまにはリスク管理にご注意いただきたいと切に願っている。
