毎週土曜日に為替トレンド確認のために個人的に行っているトレンド分析の8月31日分(8月5日~30日)。
分析結果と各ペア動きのまとめ
トレンド分析のサマリ部分(見方の説明は2020年2月3日の記事参照)。
分析結果と各ペア動きのまとめ
トレンド分析のサマリ部分(見方の説明は2020年2月3日の記事参照)。
各通貨ペアの日足チャート
出所:セントラル短資FX|為替チャート一覧
ドル円は、7月31日の日銀利上げと植田総裁のタカ派発言、8月1日のFOMC後のパウエル議長の9月利下げ示唆、8月2日の雇用統計の悪化を受けた急落が続き、8月5日には一時141.669円まで下げた。その後8月15日には149.3円台まで戻したものの143.4円台まで反落し、8月末は146.1円台で終えた。
8月5日のISM非製造業総合景況指数は7月の活動拡大を示唆したため、141.669円まで急落した後もみ合っていたドル円は翌日には一時146円台まで戻した。8月7日に内田日銀副総裁が「市場不安定な状況で利上げしない」と発言したため、ドル円は落ち着き、しばらくは146円から148円台のもみ合いが続いた。
8月13日の生産者物価指数の伸びは市場予想を下回り、8月14日の消費者物価指数もコア指数が4カ月連続で減速を示したため、9月利下げの論拠を補強する形になったが、影響は小さかった。
8月15日の小売売上高は7月は予想上回る伸びだったため、149.3円台まで急伸したが一時的だった。8月21日に予定されていた雇用者数年次基準改定が大幅な下方修正になるとの見通しのニュースが流れてドル円は下げ基調となった。実際の発表時間が予定より遅れて少し乱高下したものの、24年3月までの1年間の米雇用者数の伸びは81万8000人下方修正で予想の範囲内となり、ドル円は少し戻した。
また、8月21日に発表されたFOMC議事要旨では7月利下げの意見もあったが、大多数は9月利下げが適切になろうとの考えを示していた。想定の範囲内だったので、ドル円は少し上げた。
8月23日のジャクソンホールでの年次シンポジウムでパウエル議長が「政策変更の時が来た」と明言したため、9月利下げは確実視され、大幅利下げも選択肢との憶測も出て長期金利は低下し、ドル安が進んだ。8月26日には143.4円台まで下げた。
8月29日のGDPでは4-6月改定は3%増に上方修正、8月30日のPCEコア価格指数は7月は予想下回る伸びだったが影響は小さく、8月末は146.1円台で終えた。
ユーロドルは8月2日の急伸後も上昇を続け8月26日には$1.12017の年初来高値を付け、2023年12月の高値を更新した。2023年7月の$1.12756の更新にチャレンジする展開になっているが、8月末に向けて$1.105台まで調整した。8月安値は8月1日の$1.07773だった。
ユーロドルは8月2日の急伸後も上昇を続け8月26日には$1.12017の年初来高値を付け、2023年12月の高値を更新した。2023年7月の$1.12756の更新にチャレンジする展開になっているが、8月末に向けて$1.105台まで調整した。8月安値は8月1日の$1.07773だった。
ドルそのものの強弱はドルインデックスで見る方が適切だろう。6通貨(ユーロ58%弱、円14%弱の他、英ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ 、スイスフランと続く)との相対比較になって5年チャートは以下のようになっている。
出所:TradingView|米ドルインデックス
2023年7月安値99.914を下回ると、2023年からの長い保ち合い圏を下放れしていく可能性が高くなる。その分だけ円安修正が進んで、円高と言える状況になってくる可能性もある。
2023年7月安値99.914を下回ると、2023年からの長い保ち合い圏を下放れしていく可能性が高くなる。その分だけ円安修正が進んで、円高と言える状況になってくる可能性もある。
米国の金利高でドルが強かった訳であるが、既に利下げ方向に変わっている。今年2月に米議会予算局 (CBO)はGDP比の国債利払い費が2025年に第2次大戦時レベル超えると警告していた。
以前の記事の中に書いたが、米政府債務は持続不可能と言われているし、BRICSのドル離れも進み始めている。それら面に注意が向くとドルが弱くなっていく可能性も高い。欧州のユーロや日本の円にも強くなる理由はないが、その時の市場の関心や投機筋の動きで流れができてしまうので、思わぬ動きになることも意識している。
ユーロ円は8月5日に154.403円まで急落したが、その後は上げに転じて8月15日に163.880円を付けた。その後は下げ基調となって8月末は161.4円台で終えた。
各国の動きとニュース
米国関連
8月5日 ISM非製造業総合景況指数
8月13日 生産者物価指数
8月14日 消費者物価指数
8月15日 小売売上高
8月21日 雇用者数年次基準改定
8月21日 FOMC議事要旨
8月23日 ジャクソンホールでの年次シンポジウムでパウエル議長講演
8月29日 GDP
8月30日 PCEコア価格指数
EU関連
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日本関連
8月7日 内田日銀副総裁の発言
8月23日 衆院財務金融委員会の閉会中審査での植田総裁答弁