特定口座保有分を節税売りする想定で1月央に新NISAで予め買っておいたら、大赤字がさらに拡大する巨額の下方修正が後から出て株価が急落してしまった。
2024年4月22日に360円まで戻したので、特定口座分の内の500株は想定通り節税売りできた。追記しておいた。
住友化学の値動きと売買
総合化学大手で石油化学、医農薬、電子材料など色々やっているが、名前ぐらいはほとんどの方が知っていると思う。私は1980年代に売買して利益を得たこともあったが、その後は長く売買することはなかった。今は総合化学大手3社とも保有しているが、三井化学を中心に手掛けてきた。
住友化学に改めて投資したのは2018年10月のことで、年初の高値から下げてきて保ち合いを続け、一段安に入りかけたタイミングだった。米中貿易摩擦激化で多くの銘柄が年末に向けて下げ足を速めていた時期だった。
住友化学の月足チャートに売買履歴(買のみ)を追記したものを以下に示すが、2018年10月20日に580円で500株買ったのが最初だった。当時、業績は下降気味だったが、PBRは1.0倍、予想PERは7.3倍、ROEは14%、配当利回り3.8%という感じで割安株と言えた。
株式市場全体で見れば2019年は下げ止まって横ばいから戻し気味だったが、住友化学等の化学株は低迷し、さらに2020年に入るとコロナショックで急落した。その間、2019年5月と2020年7月には特定口座で少しずつ買い増した。また、2020年早々にはNISAでも200株買った。
株価は2021年には大きく戻したが、2022年以降は業績悪化が進み着実に下げて行った(業績悪化の話は後述する)。
2024年に入って日本の株式市場は一段と好調になったが、住友化学は相変わらずだった。それで、評価損の拡大した住友化学の特定口座分1,000株は節税売りに活用しようと思い、買い戻し損ねないよう新NISAで1月18日に345円で1,000株を予め買っておいた。
まだ1月で節税売りを急ぐ必要はなかったのに予め買いを入れたのは、安値更新を続けた来たので今期の業績悪化も概ね織り込んだだろうと思ったからだった(この思惑が外れた)。また、相場の地合いも良かったので、連れ高してしまう前に仕込んでおこうと欲が出てしまった。
住友化学の業績悪化
業績の推移はグラフで見るのが分かりやすいだろう。いつものごとくマネックス証券の銘柄スカウターから引用させてもらうと以下の通りで、2023年3月期から営業利益では赤字転落で、2024年4月期はさらに赤字が拡大する。
出所:マネックス証券|銘柄スカウター
総合化学は市況産業なので、自社の努力だけでは対応しきれない状況も起りえる。しかし、三井化学の業績は以下の通りで、今期に向け少しは落ちているものの住友化学よりは格段にいい。三井化学は3月22日に昨年来高値を更新して終値は4,540円を付けたが、それでもPERは17.26倍だ。来期の業績好転が見込まれていてPERが高めに買われている。各社のレーティングも強気が多い。
出所:マネックス証券|銘柄スカウター
これだけ大きな差がつくのは経営能力の差としか言いようがない。住友化学の現会長は経団連会長であり、会社の仕事よりも財界活動に熱心な人だったのだろうと思う。経営者側の論理だけで発言したり、政府・自民党に忖度したような発言を見聞きする度にそう思う。
以下、私のポストや関連ニュース等のまとめを記録として載せておく。
もう1年以上前になるが、2023年2月1日に2023年3月期の業績見通しを下方修正し、配当未定と発表した。その翌日のポストが以下で、特定口座分の評価損益がマイナスに転じた(NISA分も同様)。この時見限っていれば傷は浅かった。
その後、3月7日に年間配当は18円(前期は24円)と発表した。減配は想定の範囲内で、利益水準からは期末はゼロでも不思議はなかった。株価にもほぼ影響なかった。
2023年5月15日に2023年3月期決算と2024年3月期の業績見通しを発表した。ひどい見通しだったが、その後さらに下方修正を繰り返すことになるとは思わなかった。
この業績見通しを受けて、2023年5月17日の日経にも記事が出ていた。
6月には株主総会の案内が来たが、当然のことながら経営責任を問うべき会長と社長等は否で議決権を行使した。
2023年10月27日に上期最終を赤字拡大に下方修正した。通期は据え置いたが挽回できるからではなく、どこまで落ちるか分からないからだったのだろう。株価はもちろん年初来安値を更新していった。
東洋経済にまで経営判断の悪さを書かれる会長。
2024年2月2日に第3四半期決算と通期業績見通しの下方修正を発表した。通期の最終損益を従来予想の950億円の赤字から2,450億円の赤字に修正。上期最終を赤字拡大に下方修正した時から想定されていたが、拡大幅が大き過ぎて驚くレベルだった。
ペトロ・ラービクへの対応については決算説明会で質問した記者も苦笑するレベルの回答だった。ペトロ・ラービクはサウジアラムコと共同運営する石油化学プラントで、経団連会長も務めた米倉社長(当時)が旗振り役となって2005年から本格操業を始めた。実力者が暴走すると、後継者は軌道修正もできず追随して事態を悪化させるだけなのかも。東芝も経団連会長を出していたし。
割安かどうか判断して買うという私の基本スタンスからは外れてしまっているが、私は新NISAの残り枠を使って買い増そうとした。一段下げたことで想定以上の下方修正も織り込んだと思ったからだ。結局、株価は買指値までは下げなかった。
上のポストは以下の記事を引用した際のもの。
下方修正後、株価は300円割れまで下げていたが、最近は出直ってきて340円台に戻している。3月18日発売の四季報春号では来期は黒字化の予想だ。新NISAで買った時、1月高値手前の360円辺りで特定口座の500株をまず節税売りしたいと思っていた。そこに到達する可能性は高そうなので、到達したら実行に移したい。
その後は、5月の今期決算発表時の会社側来期見通しを確認したいところだ。ペトロ・ラービクや住友ファーマへの対応についても具体化しているだろう。それらを見て追加の節税売りを検討したい。また、ロールオーバー不可の2020年NISA分は買値の485円を超えてくることがあれば早めに逃げたいと思っている。まだまだ遠いけれど。
【2024.4.22追記】
本日、360円まで戻したので予定通りまず500株を節税売りした。個別管理上、2018年10月20日に580円で買った分なので、譲渡損益は▲11万円強、利益率は-38.0%、年利換算で-6.9%となった。口座上の平均取得価格は486円なので節税貢献分は▲6.3万円強に過ぎないが。
2018年10月に買った分に関しては利益が得られる機会(時期)は乏しかったので、想定通り節税売りしてNISAに移せたことで良しとしよう。そもそも、市況産業(化学株)に業績悪化途中のタイミングで投資したことが失敗だった。2022年以降の下げは個別の銘柄選定の失敗と言えるが。
【2024.7.25追記】
7月4日に360円で200株、7月25日に368円で300株をさらに売って、想定通り特定口座で1,000株分の節税売りを終え、節税売りした株価よりも少し安い345円で新NISAに移せたことになった。
4月末以降の関連するポストも張っておく。