投資のプロのレベル
普通、どの世界でもプロと素人の差は非常に大きい。ところが、長年幾つもの投資信託の運用成績を見ていると、投資の世界ではほとんどのプロは大した成績を上げられず、素人と変わらないということを実感する(投資信託の運用能力は低い 、ベトナム株の投資信託の成績検証)。「サルが投げたダーツで銘柄選びをしても大して変わらない」とかいうのは本当だと思う。
昔読んだ有名な『ウォール街のランダム・ウォーカー』に書いてあったと記憶している。チャールズ・エリスの『敗者のゲーム』も読んだが、同様にインデックスファンドへの投資で十分だと書いていた。著者は低コストのインデックスファンドで有名なバンガード社の社外取締役をしていたはずだ。
単純に考えれば、多くの投資家や投資信託等のファンドの成績の平均値がインデックスなのだから、半分はインデックスに負け、常勝でない限りは長く続けていればインデックスに近付く訳だ。そして信託報酬等コストの分だけ、成績はインデックスよりは劣ることになる。
反対にピーターリンチの『株で勝つ』は有望株を見つけて投資することを勧めていた。とにかく収益重視の考え方だった。バフェットのようにバリュー投資で長年にわたり成功している人もいるのは事実だ。しかし、そういった人はほんの一握りのプロ中のプロだけだと思う。
『マーケットの魔術師』シリーズにも数多くの投資家が出てきており、自分流のやり方で成功した人もたくさんいる。成功した人だけが、本に書かれているとも言えるけど。運用会社のサラリーマンのファントマネージャーが、全員そういった人たちと同等とは思えない。逆に会社としてリスク管理で制限を付けるので、運用の自由度が小さくなって思い通りにできないという面もあるかもしれない。
投資本と運用スタイル
有名な本を挙げたが、その他にも『生き残りのディーリング』を始め矢口新さんの本も何冊か読んだし、行動経済学関係、テクニカル分析の関係でチャートや一目均衡表の読み方の本も読んだ。投資関連本は延べ何十冊も読んだし、経済本を入れると多分100冊は超えている。もはや何を見聞きしても知ってるような話になってしまっている。大半の内容は普段は忘れていて、何かの際に少し思い出したりするだけだが。
これらの投資本は知識として一定の役には立ったが、影響は受けつつも結局は自分のスタイル、感覚で投資を続けている。既にブログにも書いたが、バイ&ホールド、フルインベストメント、逆張りの長期投資、自分が納得できる株価での売買だ。それでも税引後運用で19年で4.2倍にはなっている(2019年末の資産運用状況)。
私は、ファンダメンタルズを見つつチャートも確認して、個別に銘柄とタイミングを選んで投資している。多くのプロより自分の方が優れていると思ってそうしている訳ではなく、その銘柄にその時に投資したことを納得したいからというのが一番の理由だ。そうでないと長年続けていられないし、振り返り、反省することもできない。
メイン口座でフルインベストメントを基本にしているのも、投資のチャンスとなる暴落を待ってもいつ来るか分からないし、暴落が来たとしてもいつ入るのが適切か分からないと思うからだ。昔、何かの本で読んだのだが、暴落後に大きく上げ始めた時の最初の何日間かを逃すだけで長期パフォーマンスが大きく落ちるという事実がデータとともに書かれていた。フルインベストメントを続ける理由であるし、債券/債務バブル崩壊による暴落を気にしつつも逃げない理由でもある(次に崩壊するのは債券/債務バブル)。
時間をかけずに投資するなら、長期では、日本を含む先進国のインデックスファンドか、米国(S&P 500)のインデックスファンドの積み立てを続ければいいと思う。
しかし、自分の判断で投資をするなら、何事も基礎知識は大切なので、良書の投資本を何冊か読んでみるのがよいと思う。上であげた本を始め、Amazonのレビューとかを参考にすれば手ごろな本が見つかるだろう。大事なお金を運用する以上、投資本に投資するのは必要経費だし、勉強する努力は当然必要だと思う。
【2020.4.26追記】
本日の日経の初心者向けのマネー記事に、過去5年間の成績をみると7割のアクティブ型の投資信託はインデックス型に負けるというデータが明示されている。理由は、上述の青字部分に書いたことと同じで、勝ったり負けたりの繰り返しで平均に近付き、アクティブ型の分厚いコストが毎年積み重なる結果だと説明されている。
この記事には、前半10年で勝った投信が次の10年も勝つとは限らないことを示すデータも明示されている。また、「バフェット氏は長年好成績だったけれど過去10年は米国株の平均に負けている」との記載もあった。コロナショックを乗り越えた後はどうなっているかな。