一番保有期間の長い恩株の住友電気工業(以下、住友電工)だったが、最高値圏に達したこともあって売り始めた。
住友電工の値動きと売買
恩株が増えれば暴落時でも余裕綽々という記事の中で、一番保有期間の長い恩株として住友電工を一度紹介した。その記事では、2003年11月に883円で1,000株買った後、2006年4月に2.2倍の1,950円で500株売って残りが恩株になったが、それ以来一切売買せず放置してきたことも書いた。
しかし、住友電工は1983年頃からの超長期のボックス相場で、2,000円超えの期間はかなり限定的だった。前の記事を書いた時、改めてチャートを見て高値圏では売っておくべきだったと思った。また、後述するが、EV化の進展で利益の柱であるワイヤハーネスが使われなくなっていく可能性が高いことや、最近の会長の言動が嫌な感じだったこともあった。
それで、3月7日に2,300円でまず100株だけ売った。これまでの上場来高値は2000年11月の2,295円で、上場来高値更新の記念売りも兼ねて指値売注文を出してあったのが成立した。住友電工の昨日までの年足チャートに私の売買を追記したものを以下に示す。
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今回売った100株による譲渡益は14.1万円、利益率は159.9%だが年利換算は7.9%しかない。放置が過ぎて保有期間が無駄に長くなったためだ。なお、一般口座分であるため、利益から税金と国保保険料で約31%は召し上げられる。
後述するように業績の回復、伸びが顕著になっているし、チャート的に見ても株価は超長期ボックス相場を上抜けした可能性もある。ただ、私は前述の理由により、今後は売り上がる方針でいる。終活面で考えると、一般口座分は相続発生後の取得価格の証明等でも面倒になるし。
住友電工の業績と配当の推移
2月5日に2024年3月期の連結業績予想の上方修正と増配を発表した。自動車生産の回復によって自動車関連事業の売り上げが想定以上になったことが主な理由だ。資料は以下からダウンロードできる。
2007年3月期以降の売上高と営業利益の推移は以下の通りで、最近は増収増益が続き、今期は過去最高益を更新する見通しだ。株価が上場来高値を更新したのは当然だとも言える。
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出所:マネックス証券|銘柄スカウター
2013年3月期以降の年間1株配当推移は以下の通りで、今期は増配になるものの配当利回りで見れば高くはない。私の取得価格に対する配当利回りでも7.0%に過ぎない。長期保有の銘柄は2桁利回りになってるのが多いのに。
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出所:マネックス証券|銘柄スカウター
幾つかの株価指標をメモしておくと、株価2,300円だとPBRは0.88倍、予想PERは14.9倍になる。予想ROEは5.9%、営業キャッシュフローマージンは6.6%で収益力が高い訳ではない。増収増益は続いているが割安感はあまりなく、私の銘柄管理表での分析による判断基準でも売り上がりは妥当だと思っている。
気になったニュースなど
次の記事は、昔の記事に追記してあったのをこちらに移した。だいぶ前の日経の記事だが、局所的にしかワイヤハーネスを使わないテスラ方式で、営業利益の4割を占める屋台骨(ワイヤハーネスが主力の自動車事業)が揺らぎそうだ。
最初に違和感を感じた松本会長の「経営騎士道」の記事。株主至上主義からの決別 なんて言ってるが、住友電工の株価や配当等の株主還元の推移を見れば、40年近く前からずっと株主至上主義なんてなかったと思う。自分の言葉に酔ってる感じがした。
松本会長は関西経済連合会の会長をされているが、 だからと言って会社の金で万博前売り入場券を30万枚(18億円)も買うような無駄遣いは止めてほしいと思った。
万博への協力に関する建設業界への松本会長の発言からは、自分は偉い、自分は権力者だと思っているのが感じられる。社内に対してはもっとひどく、悪影響を与えていそうに思った。
住友電工は技術力のあるいい会社だと思っているが、長年の業績、株価を見れば経営力は乏しかったなと思う。最近の会長の一連の言動は売る判断を後押ししてくれた。