お父さん 35年間の教職の勤めを終え 九州の実家へ帰ってきました
平成14年の3月下旬のことでした
修了式の午後の便で その日のうちに喜ばせてあげたいと思い 母に報告をしたのです
「よかったね、よくがんばったね~」と ねぎらってくれました
軽い認知症にかかっているから その時は良い返事をしてくれるけど
また同じ繰り返しになります
「3月29日に建て替えの許しをご先祖さんにもらって そしてこの家を壊し始めるからね」
「どこの家? まだいいよ、このままで」
「お母さん、いつまでもこのままで置いといたら、お化けがでてくるみたいだから
新しくきれいにして、1日でも長く 入りやすいお風呂や明るい部屋で
過ごしてほしいと思うのよ
私たち娘も、これから先、お墓参りにも帰ってきたいし・・・
150年も経っていると暗くて不便だしね。」
「ああ、そうね~」
「全部新しくなったら、お母さんがよその家に泊まっていると思ってはいけないから、
古い懐かしい家具や折り紙を集めた箱などはとっておいて、
お母さんの宝物の部屋をひとつ作るわね」
にこにこ笑って聞いています
「工事が始まったら、前の納屋の二階の部屋に 家具類は置いて引越しして、
そこで私は過ごすけど、お母さんは、足場が悪くってトイレやお風呂が危ないから、
短期入所のできるデイサービスの施設に お世話を頼むことにしたのよ」
ふん ふんとうなずいて聞いていました
「お母さんは住み慣れないところに 何ヶ月間か行くので大変ね~」というと
「私は気楽なところに行くから、何も大変なことはないよ!」と
よく理解できているような返事をしてくれました
その翌日 また話をきかせてあげました
前日と同じ繰り返しです
「建て替えるって、どこを? いつ?」
また説明をします
すると
「ヒロちゃんの別荘だね
奈良に住んでいて、大分に別荘のある人っていないでしょ!」と
新しい考え方が出てきました
さすが! 父さんの奥様はスゴイですよ
前向きの発想ができますよ!
「えっ、私の別荘?」と慌ててしまいました
35坪のバリアフリーの家は 母へのプレゼントとばかり 今の今まで考えてきました
なのに 母の口から「ヒロちゃんの別荘」と指摘されてしまいました
なんでも前向きにとらえる 母の壊れかけた思考回路には
まだきっちりと健在な部分が残って働いていたのです
お父さん 新しい家のことが 母にも了解できたようです
あれから5年 快適な暮らしを楽しんでもらえて 親孝行が一つ
間に合ってよかったな~と満足 の日々をいただいています
ベニカラコです
PS
置手紙のことづて欄が不具合中ですので、
コメントの設定を開始したいと思います。
皆様のお声を楽しみにお待ちしています(*^_^*)
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