人間賛歌・もっちゃん4649

優しさの発信を (追憶の日々)


50歳の時に学年主任から障碍児学級担任になりました。


第三中学校が発足して8年目に 新たな障碍児学級を新設してほしいと言う要望が

地域から起こり 知的障碍と情緒障碍児学級が発足しました


2人から始まったみどり学級も 57歳頃には8人ほどのみどり学級生がいて

勢いがありました


校舎内を移動する時など 一人では不安なので 連なって移動していました


全校集会などで話をする回数も増えたし みどり学級から優しさの発信を

実際に行えていたと 自負している頃でもありました


園芸も生産も順調に進み 笑い声が響き 平和な空気がみどり学級から

全校へと広がっていた時でした


前にも述べましたが 障碍児学級を中核にすえた学校運営ができたら

素晴らしいと本当に管理職みたいなことを思っていたのです


校舎の片隅でひっそりと生活するのではなく 全校生の先頭に立って 

光り輝くみどり学級生であって欲しいという 当初の願いが具現化できたと

そんな思いの満たされた毎日となっていました


ーーーーーーーーーーーーみどり学級通信の抜粋から


朝の打合せが終わって みどり学級に行ってみると、教卓の上に

ビニール袋が載っていました。

「何かな?」と思って中をのぞいてみると、2センチ四方のサイコロが

48個入っていました。



すぐにだれだか分かりました。


これはFちゃんの仕事です。

Fちゃんの趣味は折り紙を折ることです。


実家の母は軽い認知症にかかっていますが、以前はとても器用な人でした。


ここ5年間 毎月第4土曜日に 介護で帰省しているので 折り方を次々と教えてくれて、

みどり学級の生産の時間にみんなに教え伝えていました。


母は近くの小学校にもふれあいの広場といって、年に何回かお年寄りと子どもの交流会があり

一日先生として折り紙講習をしていたのです。


たくさん教えてもらった中にあったサイコロという作品です。

もうとっくに私は忘れていました。

今では母もあれほど上手だった腕を 神様にすっかりお返ししたみたいで、

折り紙をさわろうともしません。


でも確実に次の世代へと受け継がれ、生き続けていたのです!

びっくりするやら驚くやら・・・


みどり学級では 優しい声かけや励ましを全校のみんなからもらっているので、

優しさのお返しとして自分たちに出来ることは何かを考え、木版彫刻のカレンダーを

1年がかりで毎年作っています。


私は園芸が趣味なので 園芸の時間を週2時間とって、鉢植えの観葉植物・ポトス・

ゼラニューム・折鶴ランなどを栽培し 学校の玄関や校長室・相談室などに配っています。


Fちゃんの作った2センチのサイコロは、職員玄関のクツ箱の上に 風で飛ばないように

壁際に三々五々並べてみました。


登下校するみんなのイメージを表現してみたのです。


赤や黄色など色とりどりのサイコロが 頬を寄せ合って並んでいる様はとても微笑ましく、

寒い北風の戸外から校舎内に入ってこられたお客さんにも

「きっと温かい思いが届くわね」とFちゃんとVサインをしてにっこり笑いました。


ミニ折り鶴用の小さな折り紙を6枚使って、1個が出来ます。


私が折っても1時間に2個できればよい方です。


Fちゃんはいつから折りためていたのでしょう?

ふゆ休み?

いや、教えてもらったときから貯めていたのかも~?


気の遠くなるような根気のいる 長い長い時間を要したことでしょう


自分のために?

いいえ、みんなに喜んでもらうためにです。


優しさをもらっているFちゃんは、無意識に優しさで応えているんですねえ。


みどり学級の8人は、みんなちがってみんなステキ~~


明日に続く~





山茶花です






PS

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