ウォーク更家の散歩(東海道・中山道など五街道踏破、首都圏散策)

上野・東京都美術館 「日本三大浮世絵コレクション」 2020.8.25 

(写真は、「日本三大浮世絵コレクション」の 

 ポスター)


前回の六本木・森美術館に続いて、今回は

”美術館で浮世絵鑑賞”の2回目で、「日本

三大浮世絵コレクション(注)」です。

(The UKIYO-E 2020)

浮世絵の祖である菱川師宣から、歌麿、写楽、

北斎、広重など、浮世絵の歴史を網羅する

総勢60名もの絵師たちの代表作450点が

展示される史上初の贅沢な展覧会です!

(注)「三大浮世絵コレクション」とは下記の

①~③の浮世絵専門の美術館/財団を指します。

①「太田記念美術館」(東京・原宿)

 :東邦生命会長の太田清藏が収集。

②「日本浮世絵博物館」(長野・松本)

 :松本出身の豪商・酒井家が収集。

③「平木浮世絵財団」

:リッカーミシンの創業者・平木信二が収集

 ・設立。

今回の「三大浮世絵コレクション」の会場は、

上野公園の「東京都美術館」です。

(料金 1,600円 、期間:~9月22日、館内は写真

 撮影禁止、音声ガイドには神田伯山も出演。)

(入場にはインターネットでの事前予約(日時指定

 入館券)が必要です。)

 

JR上野駅で下車して、上野公園内の「東京都

美術館」へ向かいます。

今年3月、JR上野駅の「公園口」改札が、鶯谷

寄りに約100メートル移設され、写真の「公園口

・新駅舎」ビルが出来ました。

以前の公園口は、改札口前が車道で、上野公園

へのアクセスがスムーズではなく、歩きづらい

坂道を上っていました。

上の写真は、「新・公園口」改札の全体の外観

ですが、「旧・公園口」(赤色矢印の辺り)は、

閉鎖されました。

「新改札口」の目の前は、もう、上野公園内の東京

文化会館(コンサートホール)です。

「東京都美術館」に着きました。

未だ空きがあるのに窓口でチケットが買えない

のはおかしいと、係の人に文句を言っている

オジイサンがいました。

 

確かに、スマホやパソコンがない老人には厳しい

展覧会かもしれません。

 

しかし、この事前予約制のお陰で、会場は空いて

いて、自分のペースで見て回ることが出来ました。

当日券が窓口販売だったら、多分、炎天下で、

数時間待ちの行列だったでしょう。

 

それでは、皆さん、ご一緒に、浮世絵の発展の

歴史を順に勉強して参りましょう!

ps.

8/30(日)に、このブログの原稿を書きながら

テレビをみていたら、丁度、BSテレビ東京で、

半沢直樹で活躍中の市川猿之助の案内で

「浮世絵FIVE」をやっていました。

 

以下、そのTV解説も含めてご案内します。

 

浮世絵は、時代を追って鑑賞出来る様に、時代順

に展示されています。


「第1章 : 初期浮世絵」⇒菱川師宣、石川豊信等

 

浮世絵は、最初は、本の挿絵に使われたりした

そうですが、浮世絵のあまりの人気に、絵と

本文の割合が逆転してしまったそうです。

 

 

(菱川師宣「よしはらの躰 遊興の図」

 :テレビ東京BSTV「浮世絵FIVE」から)

 

お大尽風の遊客を中心に、遊女や女芸者らが宴席

を囲んでいます。

 

”浮世絵の始祖”と言われた「菱川師宣」の作品

ですが、初期の浮世絵は、墨一色の版でした。

 

 

(菱川師宣「若衆と娘」」

 

:テレビ東京BSTV「浮世絵FIVE」から)

若い男女の逢引を描いたものですが、注文を

受けた分だけを、工房で部分的に彩色した

そうです。

(石川豊信「花下美人」

:展覧会のパンフレットから)

満開の桜に、恋心を歌にした短冊を結ぶ女性の

着物は、当時の人気役者の佐野川市松が

流行らせた「市松模様」です。


「第2章 : 錦絵の誕生」 

⇒ 鈴木晴信、勝川春章 など  

このころ、多色摺の版画である「錦絵」が発明

されて、女性の着物を鮮やかに表現出来る様に

なり、これにより「鈴木春信」らの名作の数々が

生まれました。 

(鈴木晴信「風流うたひ八景 紅葉狩夕照」

:展覧会のパンフレットから)

この絵の元となる謡曲「紅葉狩」は、高貴な女性

に化けた鬼に、酒を飲まされ眠ってしまった

平維茂が、目覚めて鬼退治をする物語です。

 

この物語を、鈴木晴信は、平維茂を若衆に、

鬼を振り袖姿の若い女に置き換えて、

微笑ましい浮世絵に仕立て上げています。

(鈴木晴信「本柳屋お藤」

 :テレビ東京BSTV「浮世絵FIVE」から)

 

鈴木晴信は、浅草寺の境内にあった店の看板娘の

お藤(上の絵の左端の女性)という実在する

素人の町娘を主役に描きました。

浮世絵FIVEの解説によると、これが、AKB48

等の現代の””会いに行けるアイドル”ブームの

始まりだそうです。

握手会ではありませんが、言われてみれば、確かに、会いに来たファンが列に並んでいます。


「第3章 : 美人画・役者絵の展開」 

⇒ 喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川豊国 など

このあたりになると、おなじみの絵師が

登場します。

(東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」

:展覧会のパンフレットから)

世界的にも人気が高い写楽の大首絵です。

大首絵などの役者絵は、当時の有名な歌舞伎役者

の「ブロマイド」として人気がありました。

「半沢直樹」などのドラマに多く出演し、我々も

広く知る様になった各々の歌舞伎役者の「初代」

などが、この役者絵に描かれています!

(喜多川歌麿「歌撰恋之部 物思恋」

:特設ショップで購入したクリアファイルから)

女性の内面を追求した歌麿の傑作です。

過ぎた恋の思い出に耽る既婚女性を描いています。

紅雲母の柔らかな背景に、艶やかな黒髪が映え、

千鳥小紋の着物から覗く白い腕を美しく描いて

います。

浮世絵FIVEの解説によると、驚くことに、

髪の毛の生え際は、1ミリの幅の中に、

7本もの毛を彫ってあるそうです!

(歌川豊広「両画十二候 三月 三枚続」

:特設ショップで購入したクリアファイルから)

 

「第4章 : 多様化する表現」 

⇒ 渓斎栄泉、歌川国安 など

錦絵は、それまでの大らかな雰囲気から、

より細密な描写となり、画面に表す情報量も

飛躍的に増えてゆきました。

(歌川国安「水滸伝豪傑百八人ノ内 

 浪裡白跳張順」

 :特設ショップで購入したクリアファイルから)

 

国安は次の5章に出てくる国芳の兄弟子で、当時

大人気だった水滸伝の登場人物の格闘場面を

細密に描いています。

 

 

(渓斎栄泉「江戸不忍弁天ヨリ東叡山ヲ見ル図」

:展覧会のパンフレットから)

 

「第5章 : 自然描写と物語の世界」 

⇒ 葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳など

(歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」

:特設ショップで購入したクリアファイルから)

 

北斎の「富嶽三十六景」と広重の「東海道

五拾三次」は、単なる風景ではなく、雨、風、

雪といった気象が絵の大きな要素となり、

日本独特の美的感覚が生まれました。

 

(江戸時代の東海道と中山道の風景については、

ホームページ「中山道を歩く(完全踏破の

一人旅)」を見てね。)                                           

          

(葛飾北斎「八方睨みの鳳凰」

:テレビ東京BSTV「浮世絵FIVE」から)

(八方睨みの鳳凰については、

小布施(長野県)の岩松院」を見てね。)           

(葛飾北斎「百物語 お岩さん」

 :特設ショップで購入した

 クリアファイルから)

 

(お岩さんについては、「甲州街道を歩く」の

於岩(おいわ)稲荷田宮神社」を見てね。)   

 

 

(葛飾北斎「富嶽三十六景 凱風快晴」

:展覧会のパンフレットから)

 

(葛飾北斎については、「すみだ北斎美術館

を見てね。)        

 

(歌川国芳「通俗水滸伝豪傑百八人之壱人 

浪裡白跳張順」:特設ショップで購入した

クリアファイルから)

(歌川国芳「相馬の古内裏」

 :テレビ東京BSTV「浮世絵FIVE」から)

歌川国芳は、現代の漫画やアニメの生みの親と

言われ、上の絵の様に、全く古さを感じさせ

ません。

     

 

展覧会を見終わって、お昼は、この美術館の

2階のMUSE(上野精養軒の支店)で

「ハヤシライス」(1,080円)を食べました。


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コメント一覧

ウォーク更家
そうたる浮世絵 
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
ええ、私も初めて見るそうそうたる浮世絵師たちの展覧会で圧巻でしたよ。

そう、捨てられた浮世絵が輸出品に包装されていたのを、フランス人がその異文化の芸術性に気付いた訳ですから、フランス人の審美眼の高さに敬服します。

そうですか、葛飾北斎の未発表の下絵が見つかりましたか、それにしても北斎は、質量共に凄い絵師ですよね。

酔芙蓉の写真、初めて見ました、ありがとうございます。
もののはじめのiina
浮世絵 
https://blog.goo.ne.jp/iinna/e/12dcf43dec8e3099070fbb874f8998d0
> 浮世絵の歴史を網羅する総勢60名もの絵師たちの代表作450点が展示される史上初の贅沢な展覧会
そうそうたる浮世絵師たちの展覧です。^^

ひと昔前は、捨てられた浮世絵が輸出品に包装されて、日の目をむかえて芸術性がますます高まっています。

いま、葛飾北斎の未発表の下絵が見つかって、また脚光をあびています。


> 風の盆恋歌の小説も事前に読みましたが、読んでから行ったので、小説の通りで感激しました。
「酔芙蓉」の花は、そのはかなさ故に小説「風の盆恋歌」へ象徴的に使われたといいます。
ところが、八尾町に「酔芙蓉」はなかったらしく、流行して咲かせはじめたということでした。

「酔芙蓉」は、朝咲いた花がお昼に赤みをさしたほろ酔いから、夕方には赤く染まりすっかり酔ったようになるそうです。
https://blog.goo.ne.jp/iinna/e/dddf6672b83768f2a8df034e4e7424f5



ウォーク更家
しびれを切らして美術館巡り
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
そうですか、hide-sanさんは、新型コロナで未だ家にこもっていますか。

でも、毎日散歩をしているのなら、運動不足も解消しているから立派ですよ。

私は、長期間の自宅引き籠りに、しびれを切らして、3密でなければいいか、と活動を再開しました。

北斎の富嶽36景と広重の東海道53次の浮世絵は、何回見ても飽きないですよね。

なるほど、中山道は地元だから、板橋区のボランティアガイドさんに寄付したんですね。
hide-san
出歩けません
https://blog.goo.ne.jp/hidebach
新型コロナが怖くて、
毎日日課の散歩を除き、ジッと家にこもって居ます。

浮世絵は北斎の富岳36景と広重の東海道五十三次の
絵葉書を持って居ます。
今回、また広げて楽しみました。
中山道五十三次の浮世絵集は恵那市の美術館で購入し、
板橋区のボランティアガイドさんの書庫に寄付しました。
日光街道を歩いた折、墨田区の北斎美術館に寄って、
浮世絵も見ましたが、
武蔵の国の境界について学芸員に訊いたのが印象に残って居ます。
ウォーク更家
豪華なこちらも人気です
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
ありがとうございます。

実際に会場に行けない方にも、少しでも会場の贅沢な雰囲気を楽しんで頂けたらと思い、頑張ってレポートしました。

楽しんで頂けたみたいでよかったです。
tadaox
こちらも人気でしょう
https://blog.goo.ne.jp/s1504
いいですね。
楽しんでいます。

行かずに、ちょっと申し訳ない気持ち。
ありがとう。
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