ウポポイ訪問 |
2022/9/11 快晴 |
私の叔父二人(明治か大正生まれ)が北海道に口減らしのために渡ったことが北海道に対して特別の思い入れをしている理由かもしれない。 |
昨年、北海道を計画しているときに、旅の本として選んだのが「チーム オベリベリ」だった。amazonに注文して届いた本の厚さにびっくり。今まで私が読んだ本でこんな厚いのは初めて。厚さ4.5cm!ほんの少し読んだだけでつんどくにしていたものを今回は携行した。オベリベリ、帯広を当初そう呼んでいたそうだ。本は北海道の中でも手つかずだった帯広に最初に入植した人たちの話だ。本が重くて閉口し1/3しか読めなかったものの開拓時の苦労や様子が少しは感じられたかな。入植した人たちは、厳寒の地で過ごす知恵や鮭の捕獲を教わったり、アイヌの人たちと概ね友好的な関係を気づいていたように描かれている。北海道ドライブの最中、小説のことが思い出されて面白かった。北海道といえばロマンチックな景色が広がるというイメージだが、実際は(生産性の観点からは)不毛な土地がほとんどなのだ。 |
さて、ウポポイは昨年?オープンした「民族共生象徴空間」というまがまがしい説明のついた国立のアイヌを紹介する施設である。アイヌ関連の施設としては阿寒湖と屈斜路湖を訪ねたことがあるが、ウポポイはさすがに国立、広くてきれいでのんびりできる公園でもある。中央に資料館があって周りにアイヌの生活を体験出来たり見学できたりする建物が配置されていた。民族資料館というと展示品に埃がかぶっていたりでげんなりすることが多いが、さすがに新しい施設なのでそれはない。レプリカが多いせいか? |
ウポポイは想像していたより頑張っている感じを受けたが、やはり物足りない。絶滅したのが”物”であれば、展示で説明可能かも知れないが、消えゆく民族の記憶を残す時に、道具や技術や歴史を伝えるだけでは全く不十分だ。民族の”文化”を伝えるのは不可能だが、少しでも迫れるとしたら、芸術の力に頼るしかないのではないかと思うのだが、ここのところが不十分だと感じた。 |
民族共生象徴空間という言葉にも引っかかった。アイヌを駆逐してきた歴史はそろそろ忘れて、未来志向でともに歩こうじゃないかという、阿部元首相が言いそうな主張が聞こえてくる。真珠湾でも対韓国でも未来志向という口当たりの良い言葉が使われ、未来だけ見て過去は忘れようという幼稚な思考がここでも感じられる。世界的な先住民族へのリスペクトの動きに対して、日本もアイヌ民族を放置する訳には行かなくなり、建物は立てたが民族問題は決着済みだよとつぶやいているように思えて不快だった。深読みしすぎでしょうか? 翌日、二風谷のアイヌ資料館を訪ねたが、余計なものがなかったので、こっちの方が気に入った。知里幸恵の銀のしずく記念館も気になったが、古びた資料を見るに忍びなく訪問しなかった。 |
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