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英語が出来ないことで悩むインドの主婦が主人公。ただし文盲の低カーストではなく、広い屋敷に車を持つ恵まれた家庭の専業主婦なのだ。そんな階層でも英語の出来ない人物がいたのは興味深いが、チラシではストーリーを次のように紹介している。
―シャシは2人の子供と夫のために尽くす、ごく普通の主婦。彼女の悩みは、家庭の中で自分だけ英語が出来ないこと。夫や子供にからかわれる度に傷付いていた。姪の結婚式で1人NYへ旅立つも、英語が出来ず打ちひしがれてしまう。そんな彼女の目に飛び込んできたのは、「4週間で英語が話せる」という英語学校の広告。仲間と共に英語を学んでいくうちに、夫に頼るだけの主婦からひとりの人間としての自信を取り戻していく。
しかし学校に行っている間に幼い息子が怪我を負い、彼女は母親としての自覚や責任感に欠けていた自分を責め、卒業を目前に学校へ通うことを諦めてしまう。それでも学校の仲間たちは彼女と共に卒業しようと協力をするのだが、卒業試験の日が姪の結婚式と重なり…
この作品で特に印象的だったのが、シャシの作るインドの伝統的なお菓子ラドゥ。ラドゥはお祝い時などに出されるひよこ豆で作られる菓子で、インドでお祝い時には甘い菓子を出すのが習わしである。検索したら、料理サイトクックパッドにもレシピが載っていたが、映画で見たシャシの作ったラドゥはまん丸の淡い黄色の団子で、本当に美味しそうだった。シャシの作るラドゥは友人や知人にも評判で、彼女はそれを作って知り合いに売り、収入を得ることもあった。
いくら料理上手でも家族がそれを認める訳ではなし、特に反抗期真っ盛りの娘は母の拙い英語の発音をからかっていた。学校でも娘の英語の成績は優秀で、担当教師との面談で母が英語が英語が出来ないことがばれてしまい、ますます母を疎んじる。夫は娘をたしなめる際、「退学して、ラドゥでも作るつもりか」という。
夫は人前でも、「うちの女房は菓子作りしかできない」と腐したこともあり、シャシの心を傷付ける。シャシに一目ぼれして結婚したはずの夫だが、釣った魚に餌はやらないのはインドも同じらしい。せっかく料理に腕を振るっても、認められることは滅多にないのが主婦の辛さ。
そんな彼女を変えたのこそNYの英語学校。学校の生徒は彼女の他は6名で、アフリカ人、パキスタン人、フランス人、メキシコ人、中国系らしき若い女に南インド出身者。さらにアメリカ人教師はゲイ。様々な移民やマイノリティの集まるNYらしいが、無口なアフリカ人もまたゲイだった。
特にシャシを勇気づけたのがフランス人の男。彼はシェフをしているが、シャシとの会話では気持ちをうまく伝えることができず、互いに母国語がでることもしばしば。
英会話を通じ、フランス人との交流を深めるシャシ。美しいシャシに惹かれていったフランス男は、ついに愛の告白をするが、それはクラスメートから咎められる。もちろんシャシもあっさり不倫に走るような女ではない。
しかし、女にとって異性に認められるほど励みになることはない。仮に同じクラスメートで、家族持ちのメキシコ人ベビーシッターと親しくなったとしても、会話は主婦同士にありがちな家庭内の愚痴になりがちだし、まして未婚の若いアジア系の女なら関心の対象も違っている。
英題はEnglish Vinglish。Vinglish とは英和辞典に載っていない単語だが、検索したら意味のない言葉で語呂合わせらしい。この作品のキャストを紹介したサイトがあり、シャシ役のシュリデヴィは何と1963年8月生まれ。映画公開時では51歳となるのだが、本当に若い!シャシは常にサリー姿で登場しており、シュリデヴィ(※シュリとデヴィ、共に女神の名称)の名に相応しい美しさ。50歳であの美貌を保っているとは、どんな秘訣があるのだろう?
「「派手な歌とダンス」というボリウッドのイメージを良い意味で覆す、繊細で洗練された女性賛歌」が、私行きつけの映画館のHPにあった一文。挿入歌はあるがBGMのように静かだったし、ダンスシーンなしという異色のインド映画。私にはストーリーよりもサリーの美しさと美味しそうなラドゥの印象が強かったが、予想以上の佳作だった。
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この映画と『パルフィ!人生に唄えば』を観たくて、いつか機会があればと思っています。どちらもとても面白そうで、しかも女優さんの美しさは素晴らしいです。インドの女性は本当に綺麗ですね。シャシ役の女優さんが50歳とは驚きです。本当に秘訣が知りたいものです。上品ですし、内面から滲み出る美しさを感じます。
それにしてもラドゥは美味しそうですね。和菓子派の私は「きみしぐれ」を思い出します。食べてみたいですね。
インド映画自体、地方ではなかなか公開されないですよね。私も『パルフィ!人生に唄えば』を観たいですが、上映期間はせいぜい2週間程度。最近では地方のレンタル店でもインド映画のDVDを置くようになり、映画館で見逃した後でも鑑賞できるようになりました。
インドの女優さん、本当にきれいです。この映画の女優が50歳とは信じられませんでした。サリーがまた美しいですね。私が持っているインド製ストールと同じ模様のサリーを着てシャシが登場したシーンもあり、妙に嬉しかったです。
貴女も和菓子派でしたか。私も「きみしぐれ」はもちろんシンプルなお団子も大好きですが、インドのお団子も食べてみたいと思いました。