数カ月前のことだが、テレビで低音公害という番組を放送していた。音というのは空気の振動のことだが、1秒間に20回(これを20ヘルツという)の低音から2万回(2万ヘルツ)の間である。振動数がこれから外れた広義の音はいくらでもあるが、人間の聴覚には感知されない。古い電気冷蔵庫など10ヘルツ前後の音を出しているものがあるが、その電源を切ると、なんとなく頭がすっきりするものである。工事場付近や交通量の多い橋脚のあたりには、聞こえない音の被害が多く、身体のためにも、けっしていいものではない。
一方、人間に聞こえないほど高い音(超音波という)でも、犬、コウモリ、イルカなど、他の動物には聞きわけられるものが多い。
光も波であり、人間の視神経を刺激するのは、波長にして紫色の0.4ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)から、赤の0.7ミクロンの間である。ただし可視領域は、動物による差はあまりないらしい。波長の長い光(正しくは電磁波)は赤外線、熱線、電波などと呼び、短い方は紫外線、エックス線、ガンマ線という。
かりに人間が、もっと多くの波長を感知できたらどうなるか。テレビもラジオも無線も「見える」ことになり、情報過多でどうしようもあるまい。欲しいものだけを器械で受ける、現在の状態が一番いい。さらに可視光線はほとんどの固体表面で反射する。つまり人間は、ものにぶつかることはない。動物の可視領域波長をこのようにきめたことは、万物創造の神様もあじなことをするものである。
一方、人間に聞こえないほど高い音(超音波という)でも、犬、コウモリ、イルカなど、他の動物には聞きわけられるものが多い。
光も波であり、人間の視神経を刺激するのは、波長にして紫色の0.4ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)から、赤の0.7ミクロンの間である。ただし可視領域は、動物による差はあまりないらしい。波長の長い光(正しくは電磁波)は赤外線、熱線、電波などと呼び、短い方は紫外線、エックス線、ガンマ線という。
かりに人間が、もっと多くの波長を感知できたらどうなるか。テレビもラジオも無線も「見える」ことになり、情報過多でどうしようもあるまい。欲しいものだけを器械で受ける、現在の状態が一番いい。さらに可視光線はほとんどの固体表面で反射する。つまり人間は、ものにぶつかることはない。動物の可視領域波長をこのようにきめたことは、万物創造の神様もあじなことをするものである。
1989/06/17 北海道新聞朝刊 引用