富田林を豊かにする会 代表 武藤宏 ~我が街、豊かに 

地方の繁栄、豊かさの実感
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図書館の将来

2018-03-20 10:53:34 | 日記
公共施設の一つ図書館について掘り下げてその将来像について考えてみます。

以下の記事を紹介します。

(1) 街おこしの鍵は、図書館!? 地方創生に必要な「異種結合」の発想

《本記事のポイント》
・ 地方への店舗誘致・企業誘致は「消費者が集まる場」があってこそ
・ 図書館を「にぎわい創出」の拠点とする事例が多い
・「にぎわい→店の進出→にぎわい」の相乗効果

地方創生が活発に議論されるようになってから数年が経ちます。しかし、復活の兆しのある地域はまだ少ないのではないでしょうか。

地方の活性化を実現する上で、何よりも欠かすことができないのが「人を集める」という観点です。人が集まらなければ、企業を誘致できず、雇用も生まれません。

逆に、人が多く集まれば、カフェやコンビニなどの商業施設が建設され、より多くの人が集まるようになります。それが雇用の創出につながり、経済の好循環が生まれ、地方が活性化します。

本欄では、PPP(Public Private Partnership)と呼ばれる官(自治体)と民(民間企業)の連携事業により、「集客」に成功し、地域の活性化につなげていった成功事例を3つ紹介していきます。


1.オガール紫波(岩手県紫波町)

最初に紹介するのが、岩手県紫波町にある「オガール紫波(しわ)」の事例です。

紫波町は盛岡市のベッドタウンであり、食糧自給率170%(2012年)を超えるほど、農業が盛んでした。しかし、少子高齢化や人口減少が著しく、雇用や働き手が失われ、町の財政状況も厳しい状況でした。

1997年、町は打開策を打ち出します。

紫波町の駅前の土地約10ヘクタールを28.5億円かけて購入し、開発事業に着手したのです。しかし、その年を境に町の税収が減少したことで、開発事業は止まってしまいます。その後、放置された土地は、以来10年間にわたって、「日本一高い雪捨て場」としてしか使用されてきませんでした。

2007年、町は再び「オガールプロジェクト」という事業を開始しました。



以前と異なるのは、町だけが開発の主役になるのではなく、「官民連携」による事業を展開したことです。コンセプトは、国からの補助金に頼らない「稼ぐ街づくり」。自治体と民間が連携して、様々なニーズに応えられるよう、複数の施設を組み合わせる「複合施設」を建設することにしました。

中心となっているのは官民複合施設「オガールプラザ」です。まずは町が、町民の強い要望に応える形で、図書館を建設しました。ただ、どこにでもあるようなものではなく、「そこにしかない図書館」をつくろうとしたのです。



町で盛んな「農業」に関する蔵書を増やすと同時に、館内ではBGMを流し、飲食を持ち込めるスペースを設けるなど、親しみやすい空間を心がけます。さらに、キッチンスタジオや子育て支援センター、学習塾なども併設。本好きの人以外も利用できる施設をつくりました。

このように、従来型の「図書館」から脱却することで、より多くの人が集まるようになったのです。

ただ、町のつくる図書館は、人を集め、企業進出を促す「呼び水」でしかありません。そこに民間が、コンビニやカフェ、産地直売所などを展開します。図書館などの利用者がそこで消費を行い、経済的な利益が生まれるのです。お店が増えれば、場所の魅力は高まり、さらに人が集まるようになります。

その他にも、町は体育館と宿泊施設などの複合施設を展開するなど、拡大を続けています。



「オガール紫波」は見事集客に成功し、年々来訪者が増加し、今では年間100万人以上が訪れるようになっています。これは紫波町の人口3万3000人の約30倍以上に当たります。



2.OKEGAWA hon プラス+(埼玉県桶川市)

次に紹介するのは、埼玉県桶川市(おけがわし)の「OKEGAWA hon プラス+」です。



桶川市は、東京のベッドタウンとして発展してきたものの、多くの人が自動車を利用する社会変化(モータリゼーション)、人口減少と高齢化を背景に、中心部は衰退して空洞化していました。

一方で、市民を対象に行われたニーズ調査では、図書館の拡充などの要望が高い状況にありました。そこで市は、官民連携による事業を展開し、本やイベントを通じて人がつながっていくことで、地域の活性化を目指します。

従来別々だった、図書館と大型書店を隣接させ、さらに、カフェを中心としたリラクゼーション施設の3つを融合した複合施設「OKEGAWA hon プラス+」建設したのです。その中の共有スペースなどで積極的にイベントを開催し、にぎわいの創出につなげています。

また、図書館と書店を自由に行き来できるようにし、互いの蔵書、在庫を検索できる端末を設置するなど、図書館と書店が一体となった運営を行っています。そうすることで、双方の蔵書を購入、貸出、閲覧できるなど、顧客が望むスタイルで利用でき、カフェなどでリラックスしながら本を読めるなど、幅広いニーズに応えることができるようになっています。

「OKEGAWA hon プラス+」年間の来館者数は、複合前の3倍以上の70万人となっています。


3.シリウス(神奈川県大和市)



最後に紹介するのが、神奈川県大和市(やまとし)の「シリウス」です。

大和市は2つの課題を抱えていました。

1つ目は文化施設が少ないという課題です。かつて人口20万以上の自治体が指定された「特例市」の中でも、文化施設の整備率が低かったのです。

2つ目は、「大和駅東側第4地区」という地区の再開発です。再開発計画が1990年代から検討され始め、2007年に再開発組合の設置認可に至りました。土地を所有していた市も地権者として参画。しかし、建築資材の高騰や、リーマンショックによる不動産市場の低迷により、事業計画の見直しを迫られていました。

そんな中、「文化施設の整備」と「再開発事業の成立」という2つの課題を同時に解決する提案が行われ、実行に移されることとなったのです。

そのプロジェクトによって建設されたのが複合施設「シリウス」です。シリウスは、図書館や芸術文化ホール、生涯学習センター、こども学習広場、民間商業施設などで構成されます。




近年、図書館が街づくりの核として見られるようになってきた中で、市民に求められる新しいスタイルの図書館を検討した結果、「図書館を中心とした複合施設をつくり、市民の居場所を提供しよう」という発想が生まれたのです。

図書館は、以前より面積を広げ、6560平方メートルとし、最大で57万冊の蔵書を可能にしました。さらに、文化施設として、1000席を超える芸術文化ホールを併設。その他にも、保育所や子供の遊び場、予約で利用できる複数の会議室があります。

民間の施設としては、1Fにはスターバックスがあり、館内への飲料の持ち込みが可能で、読書ができます。また、床屋、神社もあります。地下にはイートイン付のローソンもあります。

もともと、駅から離れていた図書館を、駅の近くに移転し、子育て支援施設を新設することで、集客性や利便性の向上を目指しました。さらに、民間の商業施設の展開に加え、シリウス内のいくつかのサービスを比較的安価ではありますが、有料とすることで収益につなげています。

施設全体を一つの図書館としながら、ルールで縛らない自由な運営方針が絶大な人気をよび、2017年には全国で初めて年間の累計来館者数が300万人を超えました。

これまで3つの事例を見てきました。

共通するのは、一見異なる目的性を持った施設を組み合わせることで、幅広い層のニーズに応えていった点です。とりわけ、今回取り上げた事例においては、「図書館」が集客の大きな役割を果たしており、その施設内、あるいは周辺に商業施設を整備することで、経済的な利益を得ることにつなげていました。

地方を活性化するためには魅力ある施設をつくり、集客力を高めなくてはなりません。市民の多様なニーズに応えるためにも、「異種結合」は大きな鍵を握っているのです。(HSU未来創造学部 上條湧大)



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