よい子の読書感想文 

読書感想文594

『ロング・グッドバイ』(寺山修司 講談社文芸文庫)

 通読して感想文をアップするのは三度目となる。今回もまた、手持ちの未読文庫本がなく、通勤電車用にチョイスした。
 前回、寺山修司作品を読んでから二年近くが経過している。(その間、映像作品は『田園に死す』と『書を捨てよ町へ出よう』を観た)。やはり読んで得られる感触は、その時その時で異なる。
 今回は、詩歌の言葉ひとつひとつに心を震わすというより、それらが喚び起こす寺山修司のイメージに身を委ねる読書となった。
 具体的にいえば、映像作品や、記念館で私の中に刻印されたもの(映像や音声或いはイメージ)が活字によって再生され、まるでコラージュされた走馬灯を眺めるように疾走していったのだ。
 かつての私ならば、活字のみで成り立つべき文学にとってそれは不純なことだと感じたろう。けれど少なくとも寺山修司に関しては、今回私の中で駆け巡ったものを、そのまま受け止め、鑑賞して良いのだと思う。
 職業“寺山修司”と自称した男は、そういう多面的なクリエイターだったはずなのだから。
(ちなみに、寺山修司に関する新聞記事をここ数ヵ月のうちに二つ目にした。ひとつは、昔、頭でっかちで津軽弁丸出しの話し方を揶揄して真似するのが一部の間で流行った、という昔話。もうひとつは、18歳の寺山修司が短歌誌編集長に宛てたという手紙が発見されたという報。評価は様々だが、いまでも話題に上り続けている、古びない人であるのは確かだろう。)
 そういえば、私が青森在勤時に通ったジャズ喫茶のマスターは、寺山修司と同級の親戚で、寺山があずけられた青森市の映画館の子だった。元気だろうか。しばらく会っていないのである。
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