よい子の読書感想文 

読書感想文46

『Portrait in Jazz』(和田誠 村上春樹 新潮文庫)

 イラストレーターの和田誠が描いたジャズプレイヤーの肖像画に、村上春樹が解説風のエッセイを添える。
 味のあるイラストと、春樹特有のムーディな文体があいまって、初心者にも面白いジャズ名鑑になっている。
 それにしても、収められた肖像画の表情豊かであること。写真では窺い知れない、プレイヤーたちの光と陰が、優しいタッチの色使いの中に表れている。作者は幾度もLPに耳を澄ませながら、筆をとったという。
 また村上春樹のジャズに対する知識は相当なもので、これに彼一流のイマージュが付加されるとき、肖像画のプレイヤーたちが、一歩身近に感じられてくるのだから、さすがという他ない。
 ただ、私は若干、春樹節とでも呼ぶべき文体、これが嫌いではないが好きになれない。デビュー当時から変わらぬこの文体は、好きな人にはたまらないものなのだろうが、私は少々飽いてしまって、耳につくようなのである。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「エッセイ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事