これも早稲田通りの軒先物色散策で見つけたもの。いまや店頭で見ることもない作品なので、これは良い見つけものとよろこんで手にした。
しかし少し読んで、絶版になった理由がわかる気がした。面白いかどうかは判断がわかれるとして、表現法の雑さ、時代背景に引っ張られた一過性、それらがひっかかって、物語への没入を阻害するのだ。新しいものを、先端を描こうと力んだのかもしれぬが、どうにも長編小説として洗練されていない印象を受けた。
そういえば、フィッツジェラルドの小説に似ている気がした。人物を丹念に描くことはせず、作中人物たちのドタバタ劇の中で物語られるのである。新感覚派として、当時は実験的な挑戦だったのかもしれないが・・・
