登山やスキーに縁のない半生を送ってきたために、この人のことを知る機会を失してきた。青森で8年も勤務したのに、三浦氏が青森出身というのも本書を読むまで知らなかった。
そんな私が三浦雄一郎氏を知ったのは、「ウルトラトレイル・マウント・フジ」という大会のDVDを繰り返し観るようになってからだ。名誉委員長である三浦氏は、トレイルランを「獲物を追い山を走ってきた人類にとっての最高の競技」と絶賛していた。登山家の一部で、トレイルランナーを批判的に見るむきがあるらしいので、三浦氏の影響で溝が埋まれば良いなと思っていた。
DVDでは老齢でのエベレスト登頂が紹介されていて、私の得た知識もそこまでだった。本書を読み、いかにぶっとんだ人(家族)であるかを知り、驚くとともに、勇気をもらうことができた。野田知佑さんを知ったとき以来のことだ。
やはり偉業を達成する人は、常識から外れたことをして、それを達成している。外聞なんて気にしない。達成されて報われているからいいが、きっと、常識外れな準備を続けて、顰蹙を買い、散財しながら、目標を達成できずに苦しんだ人は、表に出ないだけでたくさんいるんだろう。
私も恐れてやれることをやらないのでなく、失敗するかもしれないが、恥も外聞も気にせず、チャレンジできるときにチャレンジをしたい。死ぬときに悔いたくはないからだ。
そういう勇気をくれる読書となった。
一方、宣伝や資金集めに長じたその人間性にも才能があふれていて、まったく不器用で敵ばかり作った「孤高の人」を懐かしく思った。新田次郎の著書を再読しようか。
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