
神保町の軒先で見つけた。確か、芝居や映画に特化した古書店だったと記憶している。
サブカル界隈では重宝されがちな寺山修司作品も、専門性の高い分野においては投げ売りの対象になるのだなと勉強になった。
本書を読み、その要因がよく解った。“虚人”というのは作者による“模倣の連続”という寺山評によるが、オリジナリティを貴ぶ専門家らには眉唾な作品も少くなかったのである。
とはいえ、寺山修司は、模倣やコラージュを悪いとは考えず、積極的に活用した人であることも再認識した。
エピグラフや引用の妙には私自身、大変惹かれてきた。オリジナルな創作ではないと見る向きもわからなくないが、あれができるのはコラージュの才能であり、読書量の凄さ故である。
寺山修司の伝記は初めて読んだ。三沢の記念館には、若い頃、何度か足を運んだけれど、記念館のモチーフは本書にみるような辛口の寺山評ではなく、天井桟敷に結実していったその奇才を堪能してもらうものだった。
若い頃の、盗作ギリギリの模倣には驚かされたが、そういった経緯を知った上でも、寺山修司作品は色褪せないように思える。
なにせ、現代のインターネット時代は、コラージュの氾濫だ。寺山修司は、先を行き過ぎていたのだろう。
最新の画像もっと見る
最近の「人物伝」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事