いよいよ完結と思いきや、正編が終わったのであって、まだ続編があるというのを解説を読んで知った。正編を読み終えた今、続きをすぐに手にしたいような、とうぶんは読まなくていいような、おかしな心境にある。
その心境は、『ドン・キホーテ』を読んでみての印象そのものといっていい。古典ゆえの、わかりづらさ、出典の煩雑さは読むのにエネルギーを要したし、登場人物が無節操にどんどん増えていくのは閉口した。しかしだんだんと、ドン・キホーテとサンチョの間抜けっぷりに、親しみを抱いてもくるのだ。読み終えると一抹の寂しさがあって、荒唐無稽ゆえに読み流し気味だった冒険の数々が、懐かしい思い出のように感じられてくるから不思議だ。
そう遠くない機会に、続編を手にしたいと思う。訳者がいうには正編より良いという。また、この正編(三)によって、私はセルバンテスの小説の巧みさも知った。
