MZの手下の日記

なんということもなく、このたび、日記を開設しました。昔の文章のいくつかも、すこし手を入れて移しています。

佐久のピンコロ地蔵と伴野城跡

2020-03-20 17:00:00 | 佐久を訪ねる
少し前になるが、中込へ行った帰りだったろうか、急に思い立って、佐久岩村田のピンコロ地蔵を訪ねた。最近あちこちにできたピンコロ地蔵の中でも、比較的、はじめのころにできたものだという。成田山薬師寺の門前にある。



岩村田は、江戸時代を通じて、中山道の岩村田宿があり、内藤家一万五千石の陣屋が置かれた土地である。当時はこの地が佐久甲州街道の起点となり、栄えたらしい。近年、新幹線の佐久平駅ができるまで、佐久の中心は、ここ岩村田や中込などの東部にあったようである。



薬師寺の裏手には、伴野城跡の堀と土塁が残っている。伴野城は鎌倉時代から室町時代にかけて、伴野氏の居館があった場所で、戦国時代には城としても一時的に使われたらしい。土塁に囲まれた方形の居館の跡である。今は公園として整備されている。土塁好きの自分としては、少しテンションが上がった。



土塁は、北側と西側、そして東側の一部が残されており、それを取り巻くように堀が全周をめぐっている。堀とはいっても、戦のときに役に立ったろうかと思わせるような細い幅の堀である。なかには、「長野県史跡伴野城跡」と書かれた看板があり、由来が詳しく書かれている。



なんでも、鎌倉時代から室町時代にかけて、伴野氏の居館が置かれた跡で、戦国期の動乱を経て、江戸時代には官庫や陣屋などが置かれたとある。

ものの本によると、伴野氏は、信濃国の守護家であった小笠原氏の諸流で、鎌倉時代の初めには、のちの宗家をしのぐほどの繁栄をしたが、安達泰盛の乱に連座し、威勢が衰えたとのことである。



熱川バナナワニ園

2020-02-19 00:17:43 | 旅の記憶
網代温泉を出て、連れにどこに行きたいかと問うと、熱川のバナナワニ園へ行きたいという。どうしてそんなところに行きたいかは謎だが、ワニはじっとしているとかわいいという。さらに意味不明だが、ほかに行く当てがるわけでもなく、熱川まで足を延ばしてバナナワニ園を訪ねた。



熱川バナナワニ園は、伊豆急の熱川駅から、徒歩で数分の距離にある本園と、それより少し山側にある分園とからなる。東伊豆は海の近くまで山が迫り、急な谷が刻まれている。その急峻で狭い谷に、張り付くようにワニ園はあった。



ワニの種類は多く、世界各地のワニが飼育されている。多くのワニは温泉につかりながら、動きを止めているが、看板の注意書きによると、のそのそしているようだが、狩りのときの動きは早く、瞬発力もあり、絶対に柵から乗り出さないようにとあった。言われなくてもそんなことはしないよとも思うが、のへぇーとしている姿を見ると、そんなことを思う人も出てくると思う。



もう一つのみどころは、園名にもあるバナナである。このバナナも温泉の熱を利用した温室で育てられている。もっともバナナだけではなく、多くの熱帯植物、例えば モンテスラやハイビスカスなども育てられおり、個人的にはそちらの方が興味深かった。少なくとも植物の方が、素人目には多様性が簡単に理解できるように思える。ワニはアリゲーターだ、クロコダイルだといっても、自分には似たように見える。



一連の温室群の最後には、睡蓮や蘭の温室があり、どちらもとても美しい。温室を出て、海を眺めると、相模湾に伊豆大島が見えた。熱川の温泉郷の先に見える大島は思いのほか、大きく、伊豆七島はここから近いのだなぁと改めて感じさせられた。そして、やっぱり電車で来るべきだったと少し後悔しながら、渋滞の東伊豆をかえったのである。





思い出の網代温泉

2020-01-19 22:07:46 | 旅の記憶
令和初めの正月に、南熱海にある網代温泉を訪ねた。金色夜叉の貫一お宮で有名な、とは言っても、私などは碌に読んだこともないのだが、高層のホテルが立ち並ぶ海岸沿いを抜け、多賀を超えて、南に走っていくと、網代温泉がある。熱海市の一番南に位置する海沿いの小さな温泉である。この網代の「源泉湯宿大成館」に宿泊した。


案内された部屋は、相模湾に面しており、右手には、網代漁港を望む。漁港の前は俗に干物ストリートと呼ばれ、干物の直売所が軒を連ねている。宿は新しくはないが、中はきれいに手が入れられており、落ち着いた雰囲気でくつろげる。温泉は敷地内から湧き出るナトリウム・カルシウムー塩化物泉で、いかにも海岸沿いの温泉だと思わせる成分である。


毎分90リットルの豊富な湧出量のおかげで、大浴場も、最上階に二つある貸切風呂も、加水をしないかけ流しの風呂である。大浴場は、それぞれ露天風呂と内湯を備え、どちらも広くはないが、しつらえも良く、またよく手入れされており、風情がある。特に貸切風呂からの海の景色はよく、お勧めである。もっともガラス越しなので、外気が冷たいと、すぐ曇ってしまい景色としては少し残念かもしれない。



漁港が近いこともあり、夕食には、写真の旬の造り盛り合わせや、金目鯛のしゃぶしゃぶが供される。正月だからと、少しグレードアップして、活鮑の焼き物と伊勢エビの刺身を頼んだ。鮑の焼き物は、やわらかく、磯の香りが強くたいへん美味しい。また、勅書に出された鯵の干物は、ふっくらとして、干物の本場だということを思い出させる。


実は、この宿を訪ねるのは、40数年ぶりである。まだ子供のころ、父に連れられて、この宿へ来た記憶がある。そのころのことはあまりよく覚えていないけれども、温泉などには興味はなく、海水浴へ連れて行ってもらいはしゃいでいたような気がする。昭和の記憶の上に、40年以上も経って、令和の記憶が積み重ねられたわけである。遅い時間に宿を出て、海岸沿いに伊豆半島を南へ向かったのである。




湯島聖堂前の「テロワール・カワバタ」

2019-09-29 22:22:42 | お気に入りの店
湯島の聖堂の向かいにある「テロワール・カワバタ」は、いま、最もお気に入りのビストロだ。店の奥からは、階下を流れる神田川が見渡せる立地で、小さな店だが、たいへん素敵なフレンチを食べさせる。

ボキューズドール2003の日本代表を務めた川端清生シェフのお店でだが、カジュアルで、肩ひじを張らない雰囲気で、美味しい料理とワインが楽しめる。その「カワバタ」が御茶ノ水にお店を開いて、5周年を迎えるとのことなので、5周年記念メニューを食べに訪ねた。



シャンパーニュを食前酒にしながら、しばらく待つと、本日のスペシャリテのオマール海老を見せに来た。少しテンションが高くなる。「茄子のアミューズブーシュ」は、旬の秋茄子が本当に美味しい。


前菜の一皿目は、「富士の湧き水育ち 甲斐サーモンのスモーク」で、スモークはこの店の神田川に面したベランダで、燻されている。この自家製スモークサーモンは、名物のひとつで、はじめはそのままで食べ、つぎは、自家製のピクルスと食べ、最後にバケットにのせて、バターを塗って食べるのだそうだ。甲斐サーモンは、いつものサーモンよりもしっかりとしているように思う。



前菜の二皿目は、「久しぶりに作ったスペシャリテフォワグラのテリーヌ」で、フレンチの定番の料理である。三種類のソースが添えてあるが、右下の貴腐葡萄のジュレが美味しい。



魚料理は、「活オマール海老のアメリケーヌソース」で、先ほど見せられた、本日入荷したというオマール海老である。エビの殻でだしを取られたソースが美味しい。海老の腹には、米とオマール海老の味噌をからめた詰め物がされており、濃厚で大変満足した。



肉料理は「フランス産リ・ド・ヴォーと茸のパイケース詰め マデールソース」を選んだ。仔牛のリ・ド・ヴォーが柔らかく、ジューシーで、甘いマデールソースとよくマッチしている。きのこには松茸も使われていた。

ケースに使われたパイも添えられており、これがサクサクで柔らかい仔牛を食べながら、かじると楽しい。濃厚なソースも美味しく、パンにつけて食べてしまった。



チーズの盛り合わせを、しっかりした赤ワインで楽しんだ後、口直しに「無花果のコンポート」を、デザートに「津軽リンゴのババロアと洋ナシのソルベ」を食べ、大変満足したのである。そして、また来たいなと心から思ったのである。



軽井沢駅前の鉄板洋食

2019-09-16 10:30:42 | お気に入りの店
軽井沢駅前の鉄板洋食NISHIHATAは、お気に入りの洋食屋さんだ。鉄板を囲んだ10席のみの小さなお店だが、たいへん手の込んだ洋食を食べることができる。オーナーシェフは、神戸で修業を始め、東京で腕を磨いた人で、最後は軽井沢の星野エリアのホテルのシェフを務めたらしい。何といっても、お勧めは看板メニューの歯ごたえビーフハンバーグなのだが、他の洋食も美味しい。


写真のビフカツは、シェフ自慢の一品である。シェフは関西の出身なので、洋食のカツと言えば、ビフカツということらしい。NISHIHATAのカツは、揚げるカツではなく、衣をつけて、鉄板で焼くように作る。とても衣が軽く、肉はジューシーで、たいへん美味しい。


隠れたお勧めのひとつは、コンビネーションサラダだ。佐久・軽井沢でとれた」新鮮な野菜を使ったサラダで、自家製のポテトサラダ、そしてドレッシングも美味しい。サラダなんかは、野菜を切るだけで、どこでも同じと思いがちだが、だからこそ、素材を選ぶところから料理人の目の違いが出るのだと思う。


セットにすると、ライスと日替わりスープ、デザートが付く。日替わりのスープは、季節の野菜のポタージュが多く、写真はズッキーニのスープである。季節によって、アスパラガス、きくいも、たまねぎ、蕪、バターナッツカボチャなど、いろいろなスープが楽しめる。セットにはデザートとして、鉄板で焼いた焼きりんごが付いてくる。鉄板でゆっくりと焼いた焼きりんごはとても美味しい。リンゴで作ったシードルを少しかけて食べるのがおすすめである。


夕食のみの営業で、木、金、土、日の週4日の営業である。夏休み期間中や、五月の連休などには、繁忙期の特別メニューになり、予約はできない。もちろん夏は焼きりんごはなく、桃などが出てくる。

他にも、鴨の鉄板焼き、ボールキャベツ、オムライス、ステーキなど、どれを食べてもびっくりするほど美味しい。また機会があれば、他の料理も紹介しようと思う。