「日本の財政 転換の指針」(井手英策著;岩波新書)
1月末の「公正な税制のあり方を考える」学習会で、基調講演をされる井手先生の3年ほど前に出された新書です。「財政」のことは苦手意識が強く、どちらかというと避けていた分野ですが、そうも言ってられないなとの思いで読みました。
近年の土建国家をはじめとする間違った方向での政策に批判をおこないつつ、どう転換するかについての考え方について説明した内容。人間の尊厳を第一に考えその権利を保障することが財政の追求すべき姿と指摘に強い共感を持ちつつ、先生も指摘するようにそうなっていない社会の現状を強く感じました。公共事業重視(土建国家)の間違った政策がいかに財政の規律を失わせ、日本のあり様を混乱させてきたかがよくわかりました。当初消費税に反対していた財界が、法人税引き下げ含めた企業負担の軽減に活用できると理解した瞬間に主張を転換させてきたというくだりは、本当にその通りだと思いました。
障害者給付に関する箇所では、障害者への対応が重要な社会的なニーズであることを社会的に共有することが重要であるとしました。そしてそれに基づいた具体化が必要との見解は、この間の一連の制度改革の中で「障害」に対する見方を広げてきた日本がもっと取り組まなくてはいけないことの一つだなと思います。
現物給付と現金給付・社会保険方式のことなど、社会保障・社会福祉制度のあり様を考える上でもっと財政論の勉強もしないといけない(ほんと自分でまだ整理がついていません)ことを考えることのできた一冊でした。もっと勉強しないといけませんね(^^ゞ。
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