海の見える家から

瀬戸内海の見える家から、日々の出来事をつづります。

術後せん妄

2020年10月23日 09時38分00秒 | 日記
父の手術の翌々日の朝5時に電話が鳴り飛び起きました。
なんと、父本人からの電話。
どーしたの?と聞くと、直ぐに病院に来て欲しい。
大事な話があるから、とにかく直ぐに!!
電話では言えないと。
コロナ対策で面会できない事を説明するが納得しない。
じゃあ、看護師さんに後で聞いてみるね。と、納得させるがそれからも何度も電話がかかってくる。
ナースステーションに電話をすると、面会を先生に確認してみます。家族に会えば落ち着くかも。との事。父は、銀行に行くから、病院からタクシーに乗って出掛ける。と騒いでいるらしい。
え?銀行?なんだろう?私や母に思い当たる事がない。
母がなだめながら、こっそり電話で話したら?と囁く。
それでも、直ぐに病院へ来ての一点張り。
夕方、面会許可が出て急いで病院へ。
父は酸素と点滴をつけて、歩いていた!!10時間の手術をした人の翌々日とは思えない姿。
でも、やっぱりおかしい。
書くものがないか?と私にペンを求める。
え?なあに?大事な話って。
キョロキョロ周りを見回して、囁き始めた。
この病院にいたら、みんな殺されちゃうんだ。今日部屋で2人死んじゃったんだ。
年寄りを部屋に集めて、次はだれを殺そうか、今相談してるんだ。部屋の隣に死体安置所があるんだぞ。みんな、ニコニコして親切なフリをしているだけだ。
今日レントゲンを撮ったけど、あれで俺をコロナ患者に仕立てて別の部屋に引っ張られるんだ。
タクシーに乗って逃げるぞ。
と、目に涙を浮かべて必死。
腕時計をして、上着を着てポケットに財布を入れて逃げる用意は万端。
あのね、傷が治ったら退院できるよ。
痛くないのは、まだ麻酔してるからよ。
家に帰っても、私は注射できないし。と説得を試みるが父はイライラして、私では話にならない。弟を呼べ。と言い出す。
私も腹が立ってきて、弟に聞いてみろ!と電話をする。弟にも同じことを言われて作戦は叶わないと思ったのか少し落ち着く。
退院したら、大好きな焼肉屋さんに行こうね!と言うと、笑顔が少し。
落ち着いてきたので、一緒に自販機のコーヒーを飲み病室へ戻っていく。
銀行?それは、おれのはったりだよ。そー言えば、夕方までには銀行に行かせてくれる。それが父の作戦だったらしい。
看護師さんにその内容を伝え、迷惑をかけたお詫びを。
優しい看護師さんが、ご本人がそう思っているなら、それは怖い事ですよ。と、父に共感してくださった。術後せん妄と言って、よくある症状だと聞き病院を後にする。
そして昨日は、電話がなく静か。夕方、穏やかになった父から電話がかかる。
明日は雨だから、病院来なくていいぞーって。
母は、はったりなんて言葉遣わない父が何でそんな事を言ったのか?首を傾げる。
もしや、あの父が真の姿で普段の父は皮を被っているのかも。と、母と笑う。
色々な事があるものです。






コメント
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