尾崎久仁子「日本における戦争犯罪の処罰について」
かなり歴史的にも、現行までも包括的に国内履行のための処罰規定を考察しているものであるといえる。特に旧軍における軍刑法は明確に記述されている。ただし、軍刑法及び軍事司法制度の紹介と第1次世界大戦以降の国際法の国内履行との関係は記述が十分網羅されていない。
なお、ジュネーブ四条約締結後、追加議定書批准までの間、刑事法規を所管する法務省の見解では、通常の刑法に基づく解釈でこれらの法令違反をカバーできて、特別な国内履行措置は不必要という見解が存在していた法曹時報論文が引用されていないので、若干懸念が残る。したがって、同論文脚注63の引用よりも、政府機関として法曹時報の論文の方が先に出ていたので、この脚注引用は、適切でない。
国際刑事裁判所規定(ICC)採択にあたって考慮すべき裁判の受諾に際しての考え方が示されてもよかったのではないか。 (11月の記述)というよりも高山佳奈子教授の「融ける境」所収論文(東京大学出版会)と近刊ジュリストの論文を読んで、180度考えを改めたので、この項は別項で詳細に記述することに変更したい。(4月1日の記述)
記述の方向性は、同規程を批准するといえども、国籍を有する人の国外管轄権の拡張と規程所収の犯罪類型での構成要件を国内刑事実体法の一部として制定し、それに対応した国内刑事司法制度の拡張をすることが望ましい。その方向で動いている国としては、既に規程を批准したNATO加盟国でも発生していますが。
http://www.mod.uk/DefenceInternet/AboutDefence/Organisation/AgenciesOrganisations/ArmedForcesBill.htm